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INTERVIEW

SPYAIR

2015.10.20UPDATE

2015年10月号掲載

SPYAIR

Member:IKE(Vo) UZ(Gt/Prog) MOMIKEN(Ba) KENTA(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-"ハイキュー!!"もそういう描写がすごくリアルですものね。"そんなに簡単に急成長する奇跡なんて起きないぞ""何でもうまくいくわけではない"ということをちゃんと描ききって教えてくれる。

UZ:そうですね。1歩ずつ成長していくキャラクターたちを、音楽で出せたらと思って作っていきました。

-SPYAIRは力強い曲が多いけれど、「アイム・ア・ビリーバー」はそれに加えて開放感や包容力、他者を招き入れる余裕がある気がして。そういうところでチーム感があるなと。すごく爽やかでナチュラルな曲だと思いました。

UZ:俺ら自身もこれだけたくさんレコーディングをして曲作りをしてると、やっぱ昔よりは周りが見えるようになったし、余裕を持って1曲ずつに取り組めるようになりましたね。今思うと、「イマジネーション」のときは"もっと売れなきゃいけねえ"という力みがあったかな。「アイム・ア・ビリーバー」は今年の2月に制作をして、6月にレコーディングをしたんですけど、"もっといい音にしよう"というところも意識できたから。そう感じてもらえたのは、そういうことが影響してるのかもしれないですね。

-IKEさんのヴォーカルも、とても澄んでいます。

IKE:これまでにいろいろ録音してきたことで、自分の声を客観的に観察できるようになったんですよね。歌い方が根本的にグンと変わったかと言われると変わってないんですけど、いいところに落ち着いたな、という印象が自分でもあって。"あ、これが素直な声なのかな......?"みたいな手応えを少し感じることができたので、声に関しては新しい1歩を踏み出すことができたのかなと思います。その1番いい部分を収められたのが「アイム・ア・ビリーバー」。澄んで聴こえる、というのは、僕にとってすごくありがたい意見です。自分の狙いとしている部分が出ているということなので。

-肩肘張った印象はないですね。

IKE:そうっすね。そういう表情が出せるようになってきました。要は今、すっごくリラックスしてるんですよ。今までグッ!と張り詰めてやってきたのが、ちょっと力が抜けて、いい声になってるなと僕も思います。

-その表情の豊かさは、キーワードな気もします。例えば、UZさんの作る曲のコードの使い方もそうだと思うんですよね。「アイム・ア・ビリーバー」の1番のサビで言うなら"誰かにもし~"の部分は、コードが変わることでちょっと切なさが出て琴線に触れる。

UZ:ああ、好きなんすよ(笑)。わかりやすくコードとメロディで歌われているときに、どんな激しい曲でもちょっと心が......テンションが上がるというよりはキュンとする、その瞬間にその曲を好きになったりするんですよ。他人の曲聴いててもそうなんで、自分の曲にはそういう要素はふんだんに入れて。まさにその部分はメジャー進行の中でマイナーに変わるから、キュンとするんですよ(笑)。これは俺のツボですね。自分自身が好きなことをしていて"ここいいっしょ?"って感じで。

-「イマジネーション」のサビも似たコード使いだけれど、「アイム・ア・ビリーバー」はそれがより効果的に響いているのも特徴的かと。

UZ:あ、「イマジネーション」はBメロでコードを落としてて、サビから急激に転調するんですけど、「アイム・ア・ビリーバー」はBメロからストレートに展開してるから、サビのその部分のポイントが響きやすいのかもしれないですね。

-SPYAIRの音楽が好きな人は無意識のうちにそこに惹かれてるんじゃないかなと思います。爽やかさの中に切なさが出てくるところが、表情の豊かさに繋がっているなと。それを支えるベースとドラムの安定感も心強いです。8ビートならではの疾走感が心地いい。

KENTA:「イマジネーション」は8ビートで刻むにはテンポが速すぎるから、ああいうドラム・フレーズでしか疾走感を出せない曲なんです。「アイム・ア・ビリーバー」のデモを初めて聴いたときに、1番フックになるのはサビの"So What?"の部分のオケだなと。そこにグッときて、ここでどれだけサビの疾走感が盛り上がるか、もっと駆け抜けるよう聴こえるためにはどうするかが重要だと思って。サビのそのポイントでさらに加速するために、あえてブレーキをかけるような8ビートを叩こうというのは決めてましたね。手数を入れればいいわけではないから難しいと言えば難しいけど、よりドラマーとしては試されてると感じたので、いいグルーヴをそこで出すために頑張らなきゃ、と思いましたね。

MOMIKEN:どうしてもレコーディングをしていると、狙いたいポイントがあるけどそこに行けないこともあったりするんです。でも「アイム・ア・ビリーバー」に関しては、自分の欲しい音が、弾き方も含めてそのままきれいに入っていったんですよね。そこは自分にとっても収穫というか。オケを全部支えつつも、ヴォーカルや聴かせたいものを邪魔しない。疾走感もしっかりと出しつつ、土台としてしっかりと役割を果たしている。そういうことができたと思います。

-リズム隊であり弦楽器というベースならではの特徴を活かした、絶妙な音色です。そこにも表情を感じられました。さらに歌詞も、今までには見たことがない面があるなと。まずは"人から言われた言葉"を気にする描写があるところ。

UZ:それ俺も思いました。"こいつ人のこと気にしすぎだろ!"って(笑)。

MOMIKEN:"ハイキュー!!"に影響されているところはありますね。それこそUZがさっき言った"中1が中2になる"感じかな。中学校くらいのときって、人の言うことがめっちゃ気になりません?