－中盤の"意地張って叫んで泣いて　僕らの世界は変わらなかった"の歌詞は切ないですが、ここにはどんな気持ちを込めて？

Ikeda：僕の中でそれは皮肉です。その"世界"というのは政治や世の中のことじゃなくて、自分の世界に当てはめてほしくて。俺、ライヴでもよく言うんですけど、バイトしたり、社会に出て、理不尽だなと思うことに対して"これは譲れないっす"と言えたら、それだけで世界が変わるんじゃないかと。それで評価されるか、会社を首になるかわらないけど、どちらにせよ、モヤモヤした自分の世界は変えられるじゃないですか。皮肉でどうせ世界は変わらないからと言ったときに、強気で"俺、変えるわ！"と言って来てほしいんですよ。元気出せよ、という僕なりのメッセージです。

－あと"Hello"を繰り返すフレーズはNIRVANAの「Smells Like Teen Spirit」へのアンサーですか？

Ikeda：それ別の人にも言われたんですけど、全く意識してなくて（笑）。完全に響きだけで、NIRVANAを意識したつもりもなくて。

－聴いたことはありますよね？

Ikeda：当然ヘヴィ・リピートで、「Smells〜」は特に聴いてました。だから、意識せずに出てきたのかもしれない（笑）。NIRVANAの影響も受けてますからね。

－Track.2「FIGHT IT OUT」も口ずさめるようなわかりやすいリフで、Ikedaさんはポップなもの、キャッチーなものに対する嗅覚が鋭いんだなと。

Ikeda：わかりやすいものが好きっすね。特に、直球に投げてもらえる音楽が好きですね。

－経験や作品を重ねると、シンプルなことって避けたくなるじゃないですか？

Ikeda：それはすげえわかります（笑）。超シンプルが好きなのかもしれない。100曲作ったら、絶対どこか似てくるじゃないですか。でもその中で変化を付けることは逆にすごく難しいことだと思うんですよ。だからこそ、俺はシンプルに作りたいのかなって。難しいことをやりたいと思う時期が来たら、チャレンジするんでしょうけど、俺はそっち側の人じゃないと毎回感じるんでしょうね（笑）。

－この曲のアイデアはどんな感じで？

Ikeda：POLYSICSとTHE MAD CAPSULE MARKETSをすごく聴いてて、MADってほんとに凄いと思うんですよ。「GOOD GIRL」、「PULSE」とかワン・ワードを永延繰り返してるけど、キャッチーでポップでヘヴィじゃないですか。POLYSICSもサウンド面が半端じゃないじゃないですか？いろんな楽器入ってたり、変則的なリズムだったり、格闘技で言ったら、フリースタイルみたいな。それは同じ格闘家として憧れます。

－格闘家、ですか（笑）？

Ikeda：はははは、すいません！同じ音楽をやってる者として、ヤバイなと。自分の中でキャッチーで乗れてハッピーな曲が作れないかなと思って。だから、ビートは変則的だけど、ツーステ踏めるところもあるし、縦にジャンプできるパートもある。昔、石野卓球さんが人間が乗れるリズムって、縦に飛ぶことなんだみたいなことを言ってて。原始人は体で喜びを表現するときに、まず縦に飛ぶと。遺伝子に訴えかけるのは縦のリズムだから、タテノリの曲を作ろうと。

U：この曲は「EMILY」とは対極で自分のパートも少し多めだし、いままでの感じもあるよって思ってもらえるかなと。

Maru：この曲はギター的にいちばん簡単なので、僕は好きです（笑）。この曲をライヴでやったら、みんなにジャンプしてほしい。早くライヴでやりたいですね。

roku：「FIGHT IT OUT」はいちばんシンプルな曲じゃないですかね。ぜひライヴハウスに来て、一緒に飛びましょう。

－最後になりますが、6月にニュー・アルバム＆ツアーも発表されてますけど、どんな作品になりそうですか？

Ikeda：めっちゃバラエティに富んでると思います。iPodシャッフルで10バンドぐらい違うアーティストを流してるくらい1曲1曲色が違うと思います。ヘヴィなものもあればバラードもあるし、えっ、こんな曲もやるの？みたいなものあるので、楽しみにしてもらえればなと。