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INTERVIEW

SPYAIR

2013.11.08UPDATE

2013年11月号掲載

SPYAIR

Member:IKE (Vo) UZ (Gt/Pro) MOMIKEN (Ba) KENTA (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-シンプルなサウンドなので、改めてIKEさんの声の強さや濃さを感じることもできました。2番のAメロはベードラとヴォーカルですし、ここまで音数を抑えられたのは自信の表れだとも思ったのですが。

UZ:……それもなくはないかな。昔だったらこういうことは恥ずかしくてできなかったけど、そこは“こういう音楽をやる”というコンセプトがはっきりしていて、そこに向かって曲を作っていくなかで中途半端にやっても仕方がない。割り切ったというとすげえマイナスに聞こえるかもしれないけど、しっかりそっちに向かって作れた。それは自信なのかもしれないですね。昔は多分できなかったから。

-各々の楽器、ヴォーカルはどういう心持ちでこの曲に向かい合ったのでしょうか?

KENTA:『MILLION』で「STAND UP」という曲をやって、言葉も雰囲気も“こういう感じいいよね”という話も出てたから間違いなくこういう方向に行くだろうなと思ってたし、そのあとUZから“スタジアム・ロック”“デカいところで鳴らして気持ちいい音楽”という話を聞いたときに、やっぱりこの4人で成り立つ音楽に行くんだと思って。そうすると自分が叩くドラムがダサかったら曲がダサくなってしまう。だから自分がかっこいいドラムを叩けばその分何倍にも良さが跳ね上がる。そういう責任を感じました。……それを含めてやっぱり『MILLION』のレヴェルじゃだめだなと思って。しっかりと自分がプレイヤーとしてドラムに自分を反映させることを考えていて、でも「JUST ONE LIFE」のレコーディングの段階ではまだそれに納得できてなかったんです。……そこをずっと考えてたかな。マイクを通すこととか、自分が気持ちいい音とか、そういういろんなものを乗り越えて、しっかり届く音を作らないといけないなと思っています。

UZ:ギタリストとしても作曲家としてもそうなんだけど、完璧主義だからちょっとずれてるだけでも俺は嫌になっちゃうんです。だからちょっとずれただけでも何回もやり直して、完璧を求めて作っていくのが自分のやり方だったんですけど……ここまでさらけ出してる楽曲だとそういうことじゃなくて。まずドラムの段階で揺れまくってる。ボトムでも揺れてるから、ギターがしっかりグリッドに合っていても違和感でしかなくて。だから単純に、ドラムとベースが作ったリズムに乗っかって自分の音で弾けば、勝手にギタリストとしての今の自分が出るというか。だからドラムとベース聴きながら立ってノリノリで一発でオッケーみたいな、そういう風に録音してったから、ギタリストとしては今までと全然違いますね。昔に比べたらより存在感も出たと思うし、人間らしさや呼吸感は尋常じゃないくらいあるから。これが完成度としていいものかどうかはわかんないけど、これがSPYAIRなんだなと言われれば自分でも納得ができる。だからすごい気に入っています。ちょっと恥ずかしいんすけど、素直にかっけーなぁ!って思えるから。

-UZさんは先程から何度も恥ずかしいとおっしゃいますね(笑)。

UZ:恥ずかしいんですよね、さらけ出してるからか揺れてるからなのか。

KENTA:両方あるかもね。

UZ:プレイヤーとしてはちゃんと整えられているものは“どうだ!”と言えるけど、ちょっとここミスってんだよなーっていうときはちょっと恥ずかしいです。でもレコーディングして今の時点で2ヶ月くらい経ってたまに聴くと“なんだこれ超かっこいいじゃねえか”ってのも感じられてるから、バンドらしさが出て良かったなと思います。

-素直な音ですからね。

UZ:そうっすね、そのまんまですから。丸裸ですよ(笑)。

-ははは、確かに。IKEさんはいかがでしょうか。

IKE:その丸出し感が刺激的なサウンドを作っているのもあるんですけど、やっぱりこの曲で必要だったのは叫びや人間味で。この曲は熱を出さないと生きないから、バックのオケがうねってるなかに、どう人間らしさを出すかはちょっと考えました。整えて整えてやっても人に響くものにならない気がしたから、熱量の方向から見ることができたのはいい変化だったと思います。クールなかっこよさじゃなくて、熱すぎてかっこいいもの。熱すぎないとダサかっこいいものは出てこないから、そこをしっかり見ようと思って歌いました。それまではSPYAIRでダサいものを表に出す恥ずかしさがあったんだけど、メジャー・デビューしてから3年という時間が経って、3枚のアルバムを出して、恥ずかしさは残ってるけどようやくダサかっこいいものが出せられるようになったことを実感しています。ミュージック・ビデオも今回アメリカーン! ジャケ写もアメリカーン! な感じで攻めました。

-そうですね、アー写も含めて振り切った感がすごい(笑)。MOMIKENさんはベーシストとしてどう向かい合いましたか?

MOMIKEN:「STAND UP」のときに、音数が少なくなるとベースはドラムとギターを繋ぐ役割なんだなと強く認識したというか。レコーディングしている最中や、作品になったものを聴いて改めてものすごく自分の役割を感じました。「JUST ONE LIFE」もカップリングの「Radio」も全部、最近の曲は自分の繋ぐ役割を感じられる音作りだなと思っていて。だからベーシックなことをやるのがすごく楽しいんです。音数が減ると、同じ音をずっと弾き続けているだけでも、1音1音力加減が違うこともわかる。それが呼吸みたいなものだし、バンドのグルーヴにもなってきていると思います。