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INTERVIEW

SPYAIR

2013.11.08UPDATE

2013年11月号掲載

SPYAIR

Member:IKE (Vo) UZ (Gt/Pro) MOMIKEN (Ba) KENTA (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-ありがとうございます。それではシングルのお話に。「JUST ONE LIFE」はいつ頃作られた曲なのですか?

UZ:これは『MILLION』のレコーディング真っ最中です。もうそのときには『MILLION』の曲はできていたしアルバムの形も見えていたから、“『MILLION』出したあとのシングル”という気持ちの切り替えも完全にできたので良かったですね。

-『MILLION』の次に出すシングル、ということでの『MILLION』との差別化は具体的にはどういうことだったのでしょうか。

UZ:『MILLION』ではひとつの音楽を完成させたと思っていて。“じゃあこの先どうしよう?”と考えたとき……同じような音楽を鳴らすことは簡単にできるし、次なる「現状ディストラクション」を求めている人も多い。ただ、それじゃあやっぱつまんないなっていうのが自分自身にあって。当たりはいいかもしれないけどそれだとお客さんも飽きちゃうと思うんですよ。だからひとつ次に向かいたいという気持ちがあって……すげえ簡単に言うと、デカい音を鳴らしたいというのがありまして。“デカいって何だろう?”と考えてYouTubeでいろんな動画を見たりして……AC/DCの超デカいスタジアムでのライヴ映像を見たのが結構でかくて。本っ当にバカっぽくてダサいんですけど(笑)、これだな!って。いまはこういう時代だからコンピューターで音楽を作れるし、すげえ繊細に曲を組み立てることもできると思うんです。エレクトロなんてそっちの象徴じゃないですか。俺も個人的にそういう音楽が好きだから、そういうもので完璧に音を組み立てていくことに魅力を感じるんだけど、この先ロック・バンドとしてSPYAIRが立っていくためには完璧なものよりデカさを追求した、ギターがジャッと鳴ればジャッとスタジアムに響き渡るような音楽をやりたいなって。“スタジアム・ロック”というものを突き詰めていけば、他のバンドとの差別化もできるだろうし、俺らが演奏することもライヴをすることもより楽しくできるんじゃないかと思って。その方向に進みたいという第1ラウンドでこの曲を作りました。

-アメリカン・ロック的で、ひとつひとつの音がとてもシンプルなのも驚きでした。いままでのSPYAIRにはないアプローチでしたので。

UZ:いままでシンセ重ねたり、ギターも何本も重ねたりして、より完成度の高さを求めてたんですけど、それも全部やめました。4人でライヴでやってもそのまま再現できる曲にしたいというのもあったんで。俺ライヴよく見に行くんですけど、ドームで同期がバリバリだと音がもわもわして何やってんのかわかんなかったりして。ただVAN HALEN見に行って……ドームだから音は良くないんですけど、バンド・メンバーが何やってんのかちゃんとわかるんです。“これがデカいバンドなのかな”と思って、構成をシンプルに成り立たせました。

-“成り立たせた”というと、なんだかそう仕向けたという感じがしますが(笑)。

UZ:うん……やっぱ寂しいっすよ俺は(笑)。音楽に対しては完璧主義なんで、もっとグリッド合わせて、キラッとしたシンセの音を入れたい欲望に何度も駆られたんですけど……そこはちょっとグッと堪えて。こうやって形にすることでよりバンド感が出たんじゃないかと思います。

-MOMIKENさんはそのスタジアム・ロックのイメージとタイアップの作品『サムライフラメンコ』のイメージをもとに歌詞を書いていったのでしょうか。

MOMIKEN:『MILLION』の中に入ってる「STAND UP」は、『MILLION』から先を見ている曲になっていると思っていて。個人的に最近の音楽全般に飽きていたので(生々しいバンド・サウンドである)こういう方向性はすごくいいんじゃないかなと思ったんです。だから懐かしさと新しさを兼ね揃えている「JUST ONE LIFE」という曲がグッときて。メンバーひとりひとりの呼吸がわかる曲というのを、新しい部分として出していきたい。大きいところで鳴らす音には大きいところで発するメッセージが必要だと考えて書いていきました。内在する自分の不安を歌って“俺も同じだよ”と歌うことは今まででやってきたから。インディーズのときは無鉄砲というか右も左もわからないまま自信を吐いていた。でも今は1周回ってそういうものをわかった上で自信を吐いているメッセージを打ち出しています。一見“この人何も考えてないんじゃないか?”と思うくらい前向きなメッセージを、次のステージでは出していきたいと言葉を選びました。だから『サムライフラメンコ』のタイアップはたまたまそういうものと合っていたんです。それを普通に自分で書いたとしても、自然とはまっていった。

-そうですね、タイアップ曲だけれど、いまのSPYAIRにぴったり当てはまる歌詞だとも思って。

MOMIKEN:タイアップのプロットを読んだときに、いい意味で(タイアップ作品について)考える必要がないと思ったんです。考えると俺らよりポジティヴになっちゃうくらいの作品だから、自分たちのいつも通りで全然大丈夫だと思って。今までもタイアップに影響されて“こうしなきゃ”というのはあんまりないんです。どこかしら自分たちに似ている部分があったりするし、言葉の詰め方は考えますけど、メッセージの軸がずれるから悩むことは今までもないですね。