INTERVIEW
Pay money To my Pain
2013.11.08UPDATE
2013年11月号掲載
Member:PABLO (Gt) T$UYO$HI (Ba) ZAX (Dr)
Interviewer:ムラオカ
-では3月8日の献花式の前にある程度その辺りは決まってたのですか?
T:ある程度は。
P:12月30日のイベントのことは特に日にちも出てなかったし、何をするのかってこともその時は何も決まってなかった。
T:そもそも献花式の時に“夏にアルバム発売”って扉に貼ってましたからね。だからその時にアルバム出すことは決まってたんです。全然夏じゃないですけど(笑)。
P:今が夏なんだよ!夏が来た!P.T.Pの夏が遅れてやってきた。
-(笑)アルバムに収録している曲は、すべて「Sweetest vengeance」と「Innocent in a silent room」完成以降の曲ですか?
P:最後にレコーディングしたのが9月だったんでベスト・アルバムの時点でオケは全曲録り終えてました。ヴォーカル・トラックは録り終わってる曲を全部出してますね。
-今回の収録曲のオケは当初から変わってないんですか?例えばゲスト・ヴォーカルに合わせて新たに作り直したりとか。
P:ないですね。去年の6月の時点でバック・トラックは全て録ってました。
-そうなんですね。あとでまた話題に出しますがゲスト・ヴォーカルと楽曲の相性が素晴らしいので、何かしら手を加えているのかと思いました。アルバム・タイトルですが『gene』って、和訳すると“遺伝子”という意味になると思いますが、このタイトルに決めた理由は?
P:タイトルも早い段階から決まっていました。曲を作っていく中でいろいろ考えてて、激ロックの取材でムラオカさんに言われたことも僕の中で結構大きくて。例えば“P.T.Pは日本のラウドロック・シーンの基礎を築いてきたバンド”みたいな話をインタビューでされて、そういう風に言われることって自分たちでは全く意識してなかったのですが、パブリック的なイメージとしてバンドについてきてることを受けとめようという気持ちもアルバムを作る時にあって。今までP.T.Pが作ってきた音楽もいろんなバンドとツアーしたり、いろんなバンドのライヴを観たりと、たくさんの刺激を受けてできてるんですよね。それはお客さんと話したり気持ちの交換をしたりというお客さんとの絆でもあり、そういういろんな関わりがあって今の自分たちができている、それが自分たちの音楽、すなわち自分たちの分身、自分たちの“遺伝子”、そういう意味なんですよね。だから自分たちP.T.Pは音楽をやってきた歴史というほどは長くないですが、メンバーみんな10年以上音楽をやってきて、その中で今できてる俺たちの“遺伝子”ってそういう作品にしたいなって。今の自分たちを封じ込めたかったかなっていう、そういう時代性とかに囚われない自分たちを形成する全てのものを表現したかったっていう気持ちがありました。例えば自分たちの作品がお客さんのもとに届くことによって、その自分たちの音楽がその人の中に入って、その人の心と結びついて、ひとつになって残っていけばいいなって願いもあって『gene』っていうタイトルを思いついて、“このアイデアどう思う?”って聞いた時、“Kもそれでいいんじゃない?”って言ってたと聞いて、じゃあ『gene』にしようかってなりました。
-流行に左右されるものではなく、時代に風化されない作品という意味も含んでいるんじゃないでしょうか。流行に乗って売れても、5年後に聴いたらダサいよねっていうものでなく。
P:まさにそうです。実は俺はそういうものに今まで囚われすぎてたのかなってことを、自分の過去の作品を振り返って思ってたところがあって。人の心に響いて印象に残るものってそうじゃねぇよなって、で、何だろうって、ヘヴィ・ミュージックだけでなくいろんな音楽を聴きましたね。それでもっと自分の感情や自分の心を曲にするっていうか、そういう気持ちでリフだったりフレーズだったりを作る作業を重ねました。
T:基本的に今回のアルバムは8割方ZAXとPABLOで曲の原型を作って、そこにKが歌を乗せるって感じだったから、あんまりそこで“俺はこういうの弾きたいんだけど”っていう要望はなくて、その世界観のまま自分のプレイをすることを心がけました。まぁ結果的には「Sweetest vengeance」と「Innocent in a silent room」、あとは「Respect for the dead man」だけですが、Kと一緒に歌メロを作るところで参加しましたね。Kと2人でスタジオに入って、ZAXとPABLOが作ってきたものに対して仮歌を入れて、それを録音して。“そこのメロディはもっとこうした方が良くない?”とかそういうやり取りを2人でやってて、俺は楽しかったし、良い時間だったかな。
P:そういう意味でいうと今まで俺は“Kだったらこう歌うだろうな”っていうのを考えながら曲を作ってたんですけど、そういうのをこの作品では止めたんですよね。結局そこで自分の振り幅を極限まで振り切らないと越えられない壁を感じてて、そういった自分との向き合い方はすごくあったかもしれないし、P.T.Pを始めた時の自分の気持ちに近いところがあったかな。だからある種メンバーに対して喧嘩を売るって気持ちはあったかな。まぁその中でKと手を繋いだものを作っていくやり方ももちろんやりたかったんで、スタジオ入って一緒にメロディを考えた時もありました。けど、ものを作っていくことってその人のペースがあって、昼間が1番冴える人、夜中の3時が1番冴える人、そういうのってその人の生活のバイオリズムとか如実にあって。初めての試みでいろいろやってみたことはあるんですけど、うまくいったりいかなかったりってことはありました。
T:思い出したんですけど、4ヶ所位いろんな場所のスタジオの会員になりましたもん。Kとスタジオ入る時に、“今日のスタジオはここ”みたいな(笑)。渋谷で入ったり、溝の口に行ったりとか。あと二子玉川の川原ですごく晴れてる時に気持ち良さそうだなと思って、Kに“今度川原でやろうぜ”って言って。“スタジオ籠ってやるんじゃなくて、電源の問題もあるけど考えすぎないで川原でビール飲みながらやろう”って言ったら“あぁ、それも面白いね”って言ってて。とにかくあいつは自分でどんどん重い荷物を勝手に背負っちゃうところがあるから、それを降ろす作業を手伝いたかったというか。あいつは環境とか雰囲気にすごく左右されるんですよ。だからまずは雰囲気作りをもっとしたかった。あいつは暗い部屋へ貝のように閉じこもっちゃうから、気分転換とかもしつつ、もっと一緒に歌を作ったりしたかったなぁ。