INTERVIEW
SPYAIR
2013.08.05UPDATE
2013年08月号掲載
Member:IKE (Vo) UZ (Gt/Prog) MOMIKEN (Ba) KENTA (Dr)
Interviewer:沖 さやこ
-そのプロデューサー目線が、流れのいいアルバムを作っていると思います。
UZ:やっぱり流れは意識しましたね。それこそ設計図の時点では曲順も違ったんですよ。プリプロやって1曲ずつが出来上がって並べてみて"なんか違ぇなぁ"って。やっぱりアルバムって最初から最後まで聴けて成立すると思うんですよ。そういうものが俺は名盤だと思うし。"名盤を作りたい"という思いがあるから、最初から最後まで聴いて飽きないもの......集中力が切れないというのは無理だから、敢えて集中力を切れさせるような心を軽くさせる曲を真ん中に入れたり。それが「Are You Champion?~」なんですけど。そういうことを考えて、流れを作っていきました。
-そういうのもあって「Are You Champion?~」にはチアガールの声も入れているんですね。
UZ:そうですね。やっぱIKEの声ってキャラ濃いから11曲歌われちゃうと疲れちゃうんですよ(笑)。
-ははははは(笑)。
IKE:そうなんですよ、疲れさせちゃうんですよ。
UZ:だからっていろんな歌い方が出来る器用なタイプではないから......。(IKEの歌をぶっ続けで聴くのは)7曲もたないよね(笑)?
IKE&KENTA:7曲もたないねー(笑)!
UZ:だから他の人の声が入るとそっちに耳が行くわけで。休憩というか、更に聴きたくなる要素――それでIKEの声が後半もかっこよく響いていく。
KENTA:遊び心ですよね(笑)。
UZ:楽しかったです。本物のチア・ガールにレコーディングでユニフォーム着てもらって......音に関係ないっていう(笑)。
IKE:そういうものは大事ですよね。それがないと、すげぇストイックなものになっちゃうし。だから本当に曲に救われたと思いますね。今まで2枚のアルバムを作って、世の中にはいろんなアーティストのアルバムが存在して。いろんなアルバムのいい点と悪い点、それを踏まえて出来上がったのがこのアルバムだから。今の俺らの最高点だと思います。
-他の人の声が入ることでIKEさんの声の響き方も変わってきますからね。
IKE:やっぱり自分だけで歌ってても楽しくないんですよ(笑)。人の声が入ってきたりすると心地いいし、ライヴでもコール&レスポンスがあることで凄く気持ちいい瞬間はたくさんあるから、それがCDの中に入っていてもいいと思うんですよね。
-UZさんが曲を作って、MOMIKENさんが歌詞を書いて、IKEさんとKENTAさんが曲のレンジを広げる。それぞれ個性の違う4人の役割分担がしっかりしていて、段階を踏んでどんどんバンドのものになっていくというのも、SPYAIRの長所だと思います。
UZ:ずっとこれをやってきているから、いいのか悪いのかも分からない(笑)。当たり前の形なので。でも確かにヴォーカルが歌詞を書かないというのはあまりないかもしれないですね。
IKE:よく言われる。"UZさんの歌詞いいですよね"とか"IKEさんの歌詞いいですよね"とか。どっちも書いてないけど(笑)。
-(笑)。他の人が書いた言葉を歌うという感覚はいかがなのでしょうか?
IKE:んー......ラクですよ(笑)。歌詞があって、そこに自分の生きてきた世界観を引っ張り出してそこで歌えるというのは、カラオケで歌う感覚にそっくりだと思うし。でもそこに......歌うときは少なからず心情を乗せるじゃないですか。俺はバンドの活動の中でそういうものに慣れてきたし、それをより人に届ける立場だと思ってるんで。それがどう届くのかということも考えるようになったし。そこを熟練させるのが、このバンドで俺がやるべき役目だと思ってます。
-MOMIKENさんは曲ありきで歌詞を書かれるのですか?
MOMIKEN:俺は"こういうことを書こうかな"と思っててもメロディがないと書けないんですよね。もともと"詩"を書く人間ではないので、歌詞を書き溜めておくことが出来なくて。インスピレーションがないと言葉が出てこないし、メロディとの兼ね合いを大事にしています。文脈がおかしくてもそのワードがここに来るとグッと来るな、とかそういう感覚で書いているので。それをIKEが歌う、このバンドが歌う意味、聴いてくれる人たちの顔を思い浮かべての作詞をするということを意識していますね。
-とても器用ですね。いろんな人の思いや性質をうまく吸収して言葉にしているから。
MOMIKEN:んー......ずっとこれをやってきたんでそれが器用かどうか分かんないんですけど、それは俺が歌ってないからだと思います。ヴォーカリストが歌詞を書いていて、これだけタイアップをもらっていたら、どっかでコケてます。書けないと思う。それは自分で歌っているから。やっぱり自分が伝えたい思いや吐き出したい思いと、うまく兼ね合いを取ってやるというのは、凄く難しい。それは歌って伝えていく人だったら尚更、とても出来ないと思う。やれる人がいたら相当器用か、自分を俯瞰して見ている人だと思います。
-なるほど。このアルバムはSPYAIRだけでなく、メンバーそれぞれの音楽人生の集大成とも言えますね。
UZ:そうですね。2ndはいろんなことを吸収して新しいことをやろうとしていたんですけど、今回は"昔のカップリングに同じような曲あったじゃん?"っていうツッコミどころもあると思うんですよ。それも敢えてで、今までやってきた音楽を更にブラッシュ・アップする。"似ているのは当然だ"という気持ちでやっているから。音楽人生の中でも、特にデビューしてからの3年間が色濃く出たアルバムだと思います。