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INTERVIEW

MUSE

2012.10.11UPDATE

2012年10月号掲載

MUSE

Member:Matthew Bellamy (Vo/Key/Gt) Christopher Wolstenholme (Ba) Dominic Howard (Dr)

-「Panic Station」は。

Chris:「Panic Station」に取りかかり始めた頃から、あの曲にはとにかくフレッシュな感覚があった。歌うまでもなく、とにかく本当にめちゃ高揚させられるヴァイブがあったっていう。ある意味、これまで僕たちがやってきた音楽にはないヴァイブというか。かといって自分たちのやってきたことがどれもネガティヴという話じゃないけど、とにかくあの曲には本当に高揚感があるし、ファンクっぽいものの影響を受けたのも僕たちにはあれが初だったんじゃないかな。

Dominic:「Panic Station」にはちょっとした過去からの離脱という雰囲気があるね、というのもそもそもやるのが実に楽しい曲だったから。思うに……このバンドにまつわるたぶんもっとも大きな誤解というのは、僕たち3人はとにかくこの世の終わりだの黙示録めいた啓示を歌う生真面目な奴らだってことで。実際はそんなことないと僕は思うけど、「Panic Station」は僕たちにとっていつもとかなり違う曲なんだ。僕たちが楽しんでいるのがよく分かる曲だし、あのグルーヴに乗ってジャムり始めるや自分たちがスラップ•ベースを使おうと思い立ったこと自体相当に笑えたし、うん、とにかく僕たちはあの曲で目一杯楽しんだ。聴けば分かってもらえるというかな、あの曲で自分たちがどんなに楽しんだかが僕には聴こえるよ。聴くと笑顔が浮かぶっていうか。聴くと踊りたくなるとか、そういう曲だな……。

Matthew:うん、「Panic Station」は僕たちも確実に楽しんだトラックだね。あの曲で僕たちはこのバンドを結成した頃、自分たちがガキの頃に入れ込んでいた類いの音楽と再び結びついたっていうか。僕たちは15歳でこのバンドを始めたけど、自分が子供の頃に“ゴーストバスターズ”や“ロマンシング•ストーン 秘宝の谷”といった楽しい80年代の娯楽映画があったのを覚えていて、そういった自分たちの好きだった音楽が持っていたファニーな面をこの曲で僕たちも少し捉えたかったんだ。ある種直球なファンク曲だし、金管楽器セクションも加えて。リード•トランペット奏者はStevie Wonderの「迷信(Superstition)」でトランペットを吹いた人なんだけど、あのトラックに影響を与えた曲のひとつだから、その意味で素敵な偶然だと思った。ブラス•セクションのレコーディングをやった時、そのセッション•ミュージシャンがその日、あるいはその週は彼が「迷信」のレコーディングをした時からちょうど40年にあたると話してくれたのはナイスな結びつきだと思ったし、うん、ともかくこの曲で僕たちはただ子供になって楽しんでいるんだよ。

-「Follow Me」は。

Chris:「Follow Me」はかなり3人編成のバンド曲っぽく始まった曲だった。あの曲がアルバムの中でもとても重要な歌になるだろうというのは僕たちも承知していたけれど、バンドとしてレコーディングしてみたところ、新機軸がまったくない曲になってしまった気がしたんじゃないかな。そのアプローチは既にやりつくしたって感覚があったんだろうし、完全に違う方向に持っていくことで曲にメリットがもたらされるだろう、とにかく僕たちはそう感じた。というわけであの曲はいくつか異なる推移を経てバンド曲という本来の形から一種の中間点、半分エレクトロニックで半分バンド•サウンドといったものになっていったんだけど、その時点で自分たちでもどういう音なのか分からなくなってしまって。とにかくやや混乱した音だったんだ。そこで僕たちはバンド曲に戻すのか、あるいはエレクトロニックでやるのなら中途半端じゃなく完全にエレクトロでやろうぜと決めて、そうしたわけ。その方向性は曲によく合っていると思うし、おかげで曲も何かしら新しい響きのある、これまでの自分たちのどのアルバムにも入り得なかったものになったっていう。

Matthew:「Follow Me」はロック曲として取り組んでいたものだけど、手を加えたい、誰かに何かやってもらいたいと思っていた。そこでしばらく時間を置いて再び取り組むことで曲に対する僕たちの見方をすっかり変えようとしたんだけど、歌そのものの伝統的なロック調アレンジやエネルギーなんかは失いたくなかった。それでNERO(英出身のダブステップ~エレクトロ•デュオ)に曲をミックスしてもらって、その結果がアルバム•ヴァージョンとして入ることになったんだ。いったんあの曲をレコーディングしたところで僕たちは何もかもエレクトロに、エレクトロニック•サウンドだのサンプリングだのに置き換えてね。だからほとんどすべてエレクトロニックで作られたようなものになったけど、それが僕たちの選んだことなわけで。たとえエレクトロでも、あの曲にはロック•バンドのエネルギーとサウンドがあると思うな……。

Dominic:そうだな、「Follow Me」はとてもエレクトロニックな音だし、実際NEROにもちょっと噛んでもらった曲ではあるけど。あの曲に彼らが少しプロダクションを追加してくれたんだ。だからほとんどもう軽いコラボレーションと言っていいし、彼らとやるのはとてもクールだったからいずれまた彼らともっとやれたらいいなと僕は思ってる。

Matthew:あれはアルバムの中でもより個人的な曲のひとつ。僕があの曲を書いたのは自分の子供が生まれる前後のそれぞれ1ヶ月くらいのことで。要するにあの曲は父親になること、そこにもっとも影響された曲というわけだし、生後数週間の赤ちゃんの存在ってもう、とにかく信じられないくらいすごいんだ。守ってやりたい、安全な環境を作ってあげたいという感覚があるし、あれは基本的にそうした思いについて歌った曲だよ。赤ちゃんが生まれる少し前に、僕の恋人が赤ちゃんの心拍音を聞ける装置をお腹に巻いてくれてね。その音をiPhoneで録音したもの、赤ちゃんの心拍のリズムとテンポを曲の冒頭で使っているんだ。だから曲の始まりで僕の息子の子宮内での鼓動を聴いてもらえるし、それがある種あの曲のベースになってもいる。本当はあの鼓動をもとにオーケストラ曲を書こうと思っていたんだけど、それがどんどん発展していって、最終的にはこの「Follow Me」という曲に落ち着いたっていう。