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FEATURE

MUSE

2015.06.09UPDATE

ジャンルを横断するMUSEの7thアルバム『Drones』にギター・ロックとラウドロックふたつの視点から徹底解析

MUSE流のハードロック/ヘヴィ・メタル作品が完成

あえてこんなふうに言ってみよう。『Drones』はMUSEによるハードロック/ヘヴィ・メタルのアルバムだ、と。そもそもデビューしたときから彼らはそういう要素を持っていたはずだが、それだけをバックグラウンドに持っているわけではない彼らは、ハードロック/ヘヴィ・メタルの影響を殊更に強調することはなかった。
 
それがここに来て、一気に露わになった。もちろん、今回は『The Resistance』以来のロック・オペラ作品ということで、人類を支配しようとするドローンズなる闇の力と人類の戦いを物語る、さまざまな演出やプログレ風の展開が随所に加えられてはいるが、ここまでハードロック/ヘヴィ・メタルの影響を前面に押し出した作品は、ひょっとしたら初めてなんじゃないか。きっかけはダブステップにアプローチするほか、エレクトロニックなサウンドを追求した前作『The 2nd Law』からの反動だったようだ。ベースのChris Wolstenholmeはこんなふうに語っている。
 
"エレクトロニックな面は今のところ十分追求したような気がするんだ。これ以上追求するとしたら、完全にエレクトロニックなバンドになっていただろうね。でも現時点ではそうなりたくないと思ったんだ。エレクトロニックではやるだけのことをやったから、ここらで一旦ギター、ベース、ドラムスといったものに回帰して、ロック的な要素をまた紐解いてみよう、プレイに自分たちの個性をまた反映させよう、と思ったんだ"
 
自分たちがもともと持っていたハードロック/ヘヴィ・メタルのバックグラウンドに改めて取り組もうという彼らのアプローチは、プロデューサーの人選にもはっきりと表れている。今回、MUSEが起用したのはRobert John "Mutt" Lange。AC/DC、DEF LEPPARD、Bryan Adams、NICKELBACKなどを手がけてきたベテランだ。これまでJohn Leckie(THE STONE ROSES、RADIOHEAD他)やRich Costey(FOSTER THE PEOPLE、DEATH CAB FOR CUTIE他)らとアルバムを作ってきたことを考えると、かなり意外に思えるLangeの起用からも今回、MUSEがロックはロックでもデビュー当時、影響を指摘されたグランジ/オルタナではなく、メインストリームで通用するハードロック/ヘヴィ・メタル・サウンドを求めていたことがうかがえる。Langeの起用がピンポイントなのか、何人かいる候補の中から選んだのかわからないが、例えば、Bob Rock(BON JOVI、METALLICA他)、あるいはBob Ezrin(KISS、PINK FLOYD他)と組んでも面白いものになったんじゃないか。そんなことさえ想像させる面白さが『Drones』にはある。
 
激ロック的な聴きどころは、ハード・ロッキンなブギ・ナンバーのTrack.3「Psycho」。これはちょっとMARILYN MANSONっぽいところもある。それからメタルの要素満載の3部構成の組曲のTrack.5「Reapers」。リズム隊が活躍するヘヴィなメタル・ナンバーのTrack.6「The Handler」。そして、QUEENを彷彿とさせるTrack.8「Defector」とTrack.10「Aftermath」。Matthew Bellamy (Vo/Key/Gt)は全編でハード・ロッキン、あるいはメタリックなリフやソロを奏でているが、特にこの5曲には、今回のハードロック/ヘヴィ・メタル志向が顕著に表れている。「Reapers」のギター・ソロなんてちょっとVAN HALENぽいかも?!
 
もちろん、それだけに留まらず、エレクトロニックだったりオーケストラルだったりするアレンジやたしかなテクニックに裏打ちされたアクロバティックなアンサンブルを加え、MUSEらしいと思えるアルバムになっているところが、彼らがMUSEたる所以なのだが、今回はMUSE史上、最もハードロック/ヘヴィ・メタル色の濃いアルバムとして楽しむべきだろう。彼らを小難しいUKロック・バンドと思っているラウドロック・ファンにこそ聴いて欲しい。 山口 智男

 

全編カタルシス、しかも驚愕のエンディング! MUSEにしか創れないコンセプト・アルバム

PRINCEがグラミー賞のプレゼンターとして発し話題になったあの言葉、"みんなアルバムって覚えてるかい?"――リスナーのアーカイヴがプレイリスト的になった最近のリスニング傾向に対する彼なりの音楽愛を示唆した言葉には、もちろんもうひとつの大きな意味もあったが、アルバム単位で音楽を聴く気にさせる作品そのものの強さも、同時に問われている。そこで肝心のMUSE、約3年ぶり、通算7作目となるオリジナル・アルバム『Drones』の登場だ。
 
今作のリリースがアナウンスされた今年3月、同時に配信されたTrack.3「Psycho」のMVで、印象的なヘヴィ・リフと偏執的な"A fucking psycho"のメロディが、アルバム全体のストーリーを想像させたが、そのあともTrack.1「Dead Inside」、Track.4「Mercy」、Track.5「Reapers」、Track.6「The Handler」とリリック・ビデオを公開。このアルバムがフィクションであったとしても、現実世界で起きている限定された思想を持つ強力な組織の横暴に震撼している様と重ねあわせて見ることが、決して大げさではないことを1曲また1曲と公開されるたびに実感した。そして、これら公開された5曲がアルバムの前半に位置することがわかると、後半のストーリーや楽曲がどう転がっていくのかが最大の興味になってくる。実際、その展開こそがアルバム『Drones』がアルバムであることの存在意義にもなっているからだ。
 
因みに本作にはAC/DCやDEF LEPPARD、Bryan Adams、MAROON 5やNICKELBACKを手がける世界的なヒット・プロデューサー、Robert John "Mutt" Langeを協同プロデューサーに迎え、MUSE初期のソリッドなロックを彷彿とさせながらも、楽曲によってはさらにUSのラウド/ヘヴィ・ロック的なニュアンスもあり、且つ彼らならではのクラシックを想起させるコーラス・ワークなども随所に盛り込み、カタルシスの塊のようなサウンド・スケープを展開。しかもサウンドの細部はアップデートされている。
 
Matthew Bellamy (Vo/Key/Gt)の言葉を借りれば"僕が考える『Drones』とは脈絡のない精神病質的な行為を可能にする比喩状のサイコパスのこと"だと言う。冒頭の「Dead Inside」は、ある種洗脳を感じさせる不穏な空気を漂わせ、件の「Psycho」で、主人公は自我を剥奪されるように闇の為政者にコントロールされる。
「Mercy」ではMatthewならではのエモーショナルで荘厳なヴォーカル、クランチなリフ、部分的には四つ打ちまで登場。1曲に搭載された要素の多さは若いリスナーにとっても中毒性の高い内容と言えるだろう。そしてMVで公開されていない重要な後半部へのキーとして引用されているのが、その名もTrack.7「[JFK]」と題された、John F. Kennedyの演説の引用。その後のTrack.8「Defector」、Track.9「Revolt」といった楽曲でコントロールされていた人間の本来の感情や強さを取り戻していくような展開に向けて大きな意味を果たしている。に、しても「Revolt」のメロコア的ですらある開放的なサビ・メロと背後に迫るヘヴィ・リフの融合......やはりMUSEでしかないアレンジだ。そして人間的で平穏な世界への帰還......いや、そんな予定調和はこのアルバムにはない。重層的な構造を持つ、その名もTrack.11「The Globalist」のジェットコースター級、ロック・オペラ調のカタルシスの後、ラストに据えられたのはタイトル・チューンTrack.12「Drones」。しかもこれ、まるで賛美歌を思わせるアカペラ・ナンバーである。ハッピー・エンディングどころか、ここからまた現実の不穏が始まるような怖さが残る。まるで1本の映画を見終わったあとのような一貫したストーリー性を3ピース・バンド究極のダイナミズムと繊細で表現したアルバムだ。
 
果たして、フジロックのセットリストはどうなるのか? これだけコンセプチュアルなアルバムの楽曲をどう配置するのか?そんなことも想像しながら聴くと楽しみは何倍にも膨らんでいく......。 石角 友香

 


MUSE
『Drones』
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1. Dead Inside
2. [Drill Sergeant]
3. Psycho
4. Mercy
5. Reapers
6. The Handler
7. [JFK]
8. Defector
9. Revolt
10. Aftermath
11. The Globalist
12. Drones

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