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INTERVIEW

MUSE

2012.10.11UPDATE

2012年10月号掲載

MUSE

Member:Matthew Bellamy (Vo/Key/Gt) Christopher Wolstenholme (Ba) Dominic Howard (Dr)

-オリンピックの聖歌リレーに参加した感想は?

Chris:聖歌リレーはすごかった。参加を依頼されたのは確かイベントの1ヶ月前くらいのことだったけど、聖歌リレーが僕たちの故郷の街を通過するのは前から知っていたし、そこで少し走ってほしいと頼まれたんだ。でも聖歌リレーで走るのがどれだけすごいことなのか、自分には分かってなかったね。僕たちはまず故郷の街から5マイル(約8キロ)くらい離れた地点に集合し、そこで他の聖火ランナーたちと共にバスに乗り込んだ。聖火の受け渡しは300メートルおきに行われたんだけど、素晴らしかったよ、聖火ランナーの人々と知り合いになり、彼らがどういういきさつで走者に選ばれたのかを知るのはとても興味深かったから。正直そこで聖火リレーの全体図の中における自分たち自身の小ささを思い知らされもしたね、中にはちょっとした人士も混じっていたから。移動のバスの中で他のランナーたちとおしゃべりすることになったんだ、“こうしてここにいる理由は?”“聖火リレー参加を頼まれたのはなぜか?”という風に。で、中には彼らが経てきた驚くべき体験だとか彼らが他の人々に対してやってきた素晴らしいことを語ってくれる人たちがいてさ。そんな人々の前で、いざ自分たちのことを話すことになった僕たちは“あー、バンドをやってるんで参加しました”みたいな。僕たちにリレー参加のお声がかかったのはだからだろうけど、妙だったよ。それでもバスに揺られてリレーのルートを回っていくうちに、それこそ7マイル(11キロ強)くらいの間、通りを観衆が埋めていてさ。リレーを目撃すべく人々が家から外に出て来て、自宅の庭でパーティーしている人たちもいた。大して長い距離じゃなかったけど、恐らくあの日バスで通過しただけでも、僕たちは何万もの人々を見かけたんじゃないかな。それから僕たちが走る受け持ち地点に着いたところでバスから押し出され、人々に取り囲まれるうちに誰かが聖火に点火してくれ、自分たちのリレー部を走り出したっていう。あっという間だったよ。たかが1分程度だったろうけど素晴らしい体験だったし、自分としてはもっと走れた、みたいな。それくらい僕は楽しんだね。

Matthew:オリンピック聖火リレーへの参加は、僕がこれまでやってきたことの中で僕の母親がもっとも誇りに思ってくれることだろうな。母はいまだに感動さめやらぬ感じだからね。で、自分たちのホーム•タウンを聖火を掲げて走る、あれは素晴らしかった。僕たちはショードンとティンマスを繋ぐ橋を渡る地点を担当したんだけど、あそこはいわば僕たちが学校に通い、バンドを結成し、共に育った場所なわけで、だからあの橋を走り抜けるのは最高だった。学校時代の旧友達、昔のガール・フレンドなんかも見かけたし、かなり不思議な気分だったな。僕たちの家族もみんな集まってかなり強烈な体験だったけど、とても楽しんだよ。

Dominic:僕たちは橋を隔てた向かいの街(ショードン)から自分たちが生まれ育ったホームタウン(ティンマス)に入る部分の聖火リレーを走ったんだけど、とにかく変てこな気分だった。非現実的、みたいな感じなんだよ。今季オリンピックにまつわるすべて、聖火リレー参加からオリンピック向けに曲をやること、閉会式での演奏まで、開催地がロンドンだからとはいえ、そういったことに関与し体験するのはそれこそ一生に一度のチャンスだからね……というわけで僕たちは始めた。聖火トーチを自分たちの生まれた街に走って運ぶところから始めたわけだけど、とにかく実にシュールな体験だったんだ。僕たちが走ったのはたかが300メートル程度の距離でね。僕はそれこそ2マイル(約3キロ)くらい走らされるのかと思ってたんだけど。それでも自分たちの生まれ故郷のためにトーチを振りながらああやって走るのにはへたばらされたけど、誰もがきっちり組織だって行われたイベントだったよ。どの聖火ランナーも分担は300メートルだったんだ。でもクールだった。とにかくね。僕たちはショードン橋を走り抜けたんだけど、橋に並んだ8000人くらいの観衆が皆、走る僕たちに歓声をあげる感じで。とにかくクレイジーだったよ。でも僕自身長いことティンマスに行っていなかったから、ああやって聖火トーチを運びながら生まれ故郷に戻るってのはかなり不思議な、でもクールな瞬間だったと言えるかな。エキサイトさせられたよ。

-アルバム収録曲について順番に聞かせてください。まず「Supremacy ~ 覇権の終結」。

Chris:アルバムのオープニング曲を選ぶのは毎回苦労するけど、このアルバムに関しては1曲目の候補がかなりあったんだ。でもあの曲に関しては特に、1曲の中にとにかくものすごく多様性があるんだよね。さっき話したように今回のアルバムは1曲ごとに相当違うわけだけど、とりわけあの曲はビッグで俗っぽい感じのメタル•リフから始まって、でもストリングスが入るとほとんど別の方向に向かってしまうという。とても映画的な曲だし、聴き手をちょっとした旅に連れ出すんだ。曲のセクションがそれぞれ違うイメージを生み出すというのかな。ヴァースは映画か何かみたいだし、一方でリフはまったく別物、そして中盤にものすごくクレイジーな箇所があるっていう。僕たちもとにかくあの曲はひとつの旅、変化に富んだ旅路をたどる曲だと感じたし、アルバムのオープニングにそういう曲を持ってくるのはグレイトじゃないか、と。

-「Madness ~狂おしい愛」は。

Chris:「Madness」に取り組んでいた時にあの曲について僕が強く感じたのは、これまた“今まで自分たちがやってきたこととまったく違う、非常にかけ離れた曲だ”ということで。Mattが最初に僕たちにあの曲を提示してくれた段階では、非常にラフなベース•シンセととてもシンプルなドラムのサンプリングくらいでね。けれどあのベース•ラインの繰り返しのフック、あれが僕にはとても催眠効果のあるものに感じられて。で、Mattがあの曲をプレイしながらハミングし始めて、そこで“この曲はマジにすごい曲になる”と感じたのは今でも覚えてる。あれはとてもシンプルな曲だけど、メロディといいベースのフックといいドラム•ビートといい、実にうっとりするような催眠効果があるんだ。そしてあのヴォーカル•メロディ、あれは聴き手を即引き込むものだよね。でもあの曲は、今作の中でも本当にスタジオで作られた1曲だったと思う。というのも、あの曲を活かすにはMattが最初に狙っていたとてもシンプルなエレクトロのヴァイブを持たせること、そこにかなり忠実であるべきだと僕たちも分かっていたからね。で、その上にあのグレイトなメロディがのってるっていう。だから恐らくあれは他のどの曲よりもスタジオで発展した曲だと思うし、アプローチもこれまでと完全に違ったんだ、あの曲でバンドが実際にプレイしている部分はそんなに多くないからね。そうやって楽器をちょっと脇に置いて、音楽に対してまったく異なるアプローチをとるのは実はナイスでもあるんだ。それから……。

Dominic:「Madness」は本当の意味で前に進んだ曲だと思う。僕たちはこれまでにも多少エレクトロに取り組んだことはあったわけだけど、今回は特にあの曲で、バンドにとって本当に、本当に新鮮な何かをやれたと思ってる。

Matthew:「Madness」で僕たちは本当にもうちょっとシンプルかつ削ぎ落としたものに留めたかったし、歌詞の面でも共感しやすくあまり凝りすぎない歌を書こうとした。実際12小節のブルース進行がベースになっているようなものだし、そこは僕たちにしてはとても珍しくもあるんだ。曲の影響はゴスペル•ソウルあたりから来ていて、もちろんR&Bもそう。だからこの曲は僕たちにとって音楽的に完全に新たな領域なんだよ。しかもとてもシンプルな歌で。このアルバムの中で、恐らく僕にとってもっとも誇りに思える曲があれだろうな。