INTERVIEW
HEAD PHONES PRESIDENT
2012.06.01UPDATE
2012年06月号掲載
Member:Anza (Vo) Hiro (Gt) Narumi (Ba) Batch (Dr)
Interviewer:ムラオカ
-『Stand In The World』完成おめでとうございます。フル・アルバムで考えると、前作『Folie a deux』以来5年ぶりのリリースになりますね。感慨深いものがあるのではないでしょうか?
Anza(以下A):ありがとうございます。リリース自体はDVDとかミニ・アルバムなどが続いていたので、メンバーとしてはそんなに時間が空いているって感覚がないんです。でも毎回フル・アルバムを出す毎に同じようなことを言っている気がします(笑)。また時間空けちゃったってところではありますね(笑)。
-ファンから催促されるんですか?
A:“いつ出すんですか?”とは言われるんだけど、“この間出したからいいじゃん!”ってサラッと流してきちゃったんです。よくよく考えるとフル・アルバムを出してないっていうのはまずいし、なおさら5人から4人編成へ変わったHEAD PHONES PRESIDENT(以下HPP)としての作品がまだDVDのみでしたし……。私としては今回ミニ・アルバムを出そうと考えていて、フル・アルバムはあと2年ぐらい掛けて出すつもりだったんです。4人編成になったHPPの名刺代わりのミニ・アルバムを出したいと思ってたんですけど、やるからにはフルじゃないかという話になりました。ようやく念願のフル・アルバムを作ることが出来て私たちメンバーも嬉しいですね。
-去年のインタビューの際には年内に出したいとおっしゃっていましたが、約半年予定より遅くなりましたね?曲作りに時間が掛かったのですか?
A:両方ありますね。ミニ・アルバム用の曲を考えていたんだけど、曲作りが遅れたわけではなくて逆にわりと良い曲、候補となる曲が何曲もあったっていうのが事実で、これだけ曲があるんだったら、内容たっぷり盛り込んでフルを作った方がいいんじゃないかなって話になって、9月か10月ぐらいにフル・アルバムを作ろうということに決めたんです。決定してからがちょっと遅かったんですけどね(笑)。
Hiro(以下H):その時は勢いで2枚組みにしようとか言ってたよね!イケるでしょって(笑)。
A:そんなこと言ってたけど、出来た曲の詰めの段階に入ってくると、曲を持ち帰ってはアレンジを考え直してという繰り返しで、1曲1曲に時間を掛けるようになってしまったので、結局年内リリースは無理という形になりました。
-RADTONE MUSICとの契約がある程度固まった状態でアルバム制作に入ったのでしょうか?
A:いや、全くですね。
-リリース先などは考えずに制作に入ったということですか?
A:とりあえず、決まらなかったら自主でもいいかなって考えてたんです。でも、声を掛けて下さってたレーベルが何社かあって、その中でもドンピシャでRADTONEさんだって思ったんです。今年に入ってからじゃなかったかな?
H:Anzaのソロ・ライヴに来てらっしゃったから、12月じゃないかな。
A:クリスマス前に一度お会いして、熱くHPPをやりたいと仰ってくれました。デモを3曲聴いていただいて、“大丈夫!これですよ!”って言ってくれたのがRADTONEさんだったので、そこに惚れてくれるならこちらこそぜひお願いしますって感じでした。
-そのデモというのは今作に収録されているんですか?
A:入ってます。「Stand In The World」、「In Scrying」、「Dive」の3曲ですね。
H:そのデモを聴いてダメだって言ってたレーベルもあったよね。“ギターがいまいちだ”とか“ギターがイカさない”とか……。“ふざけんじゃねぇよ!”ってずっと言い続けてました。あの一言で僕は完全に吊り上げられましたね(笑)。
-アルバム・タイトルですが『Stand In The World』と非常にシンプルな英単語を使ったものになっていますね。他のバンドなら流すところですが、HPPさんの場合、シンプルさが逆に新鮮に感じました。どういった心境の変化があったのかなと思ったのですが。
A:曲が色んな意味でストレートなので、捻くれなくなったというか、より伝えたいことを伝えるためにシンプルで分かりやすい言葉を持ってくるようにしました。捻ることも私たちの良さなんだけど、中学生くらいのレベルの語学力で分かる作品があった方が良いと思ったんです。実は今回私は一切曲のタイトルを付けなかったんですよ。私がタイトルを付けるとそういう難しいものになってしまうので今回はジャケットの案から曲のタイトルまで全てNarumiに決めてもらいました。
Narumi(以下N):そもそも今までのHPPの作品って怒ったりとか悲しんだりとか泣いたりとか、そういった感情をぐっと閉じ込めたみたいな作品が多かったんですけど、今回はここに閉じ込めるというよりは、伝えたい、ここから発信したいという思いが強かったんです。だから言葉はシンプルにした方がいいだろうと考えて、歌詞もAnzaと一緒に作る中でなるべく難しい言葉を使わないようにしました。実は今回歌詞を作る上で中学1年生用の辞書を新しく買って、そこに載っていない言葉は絶対使わないようにしました。
A:日本語で書いたものを英語に訳してもらう作業が発生するのですが、分かりやすくて、それでいて私が言いたいこともきちんと伝わるというものにしたくて英語担当のNarumiと話し合っていくのですが。英単語って1つのものに対して色んな意味合いがあって、今まではどうしてもぶつかってしまっていたんですよね。でも今回は見事にお互いの理想に近いものが作れたよね。いつもだったらぶつかって、それしかないならしょうがないかってところに落ち着くんですけど、今回はよりシンプルで分かりやすくすることで作りやすくなったのかなとも思います。