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INTERVIEW

THE DILLINGER ESCAPE PLAN

2010.03.18UPDATE

THE DILLINGER ESCAPE PLAN

Member:Ben Weinman (Gt)

Interviewer:米沢 彰

-ニュー・アルバム『Option Paralysis』のリリースおめでとうございます。あなた方のMyspace上では、リリースまでのカウントダウンも行われていますが、リリースを目前にしての気持ちを教えて下さい。

正直なところ、凄く忙しい。このアルバムの制作作業自体はこれまでと比べるとかなりリラックスした雰囲気で出来たんだけれど、一度完成させると周りの状況がどれだけエキサイティングか信じられないくらいで。『Option Paralysis』は自分達自身でも凄く満足のいく仕上がりだよ。ただ全ての物事があまりにも早く起こるというか、何ヶ月前にも書き上げた曲は一連のプロセスの始まりにしか過ぎなかったんだと感じている。

-今作のタイトル『Option Paralysis』とは、金融業界や現代社会への批判を意味するタイトルなのでしょうか?”Track.7「Chinese Whispers」といったタイトル・トラックも相まって“Bankruptcy of Lehman Brothers”(注:リーマンショック)を想起させるアルバム・タイトルのように思えますが。

文字通り色々な選択肢があり過ぎて決断出来ない状況を表しているんだ。アメリカ文化の象徴的なものとして、加えて財政的な状況との関連性についてのことさ。今人々は簡単に情報に触れられるだけでなく、常にありとあらゆるものに執着してしまうような、過剰なまでの刺激に溢れた時代に生きている。それによって何が一番重要なのか誰も分っていないような風潮を生み出しているし、こういう流れはカルチャー全般が衰退していく最大の理由になっている気がする。全てに対してのインパクトが強過ぎる。ジャーナリズムの観点から、アートの観点からもね。歴史上初めて、人ではなくテクノロジーが人間生活と考え方に影響を及ぼしているんじゃないかな。経済上でいえばこういった状況は歓迎されるべきものなのかもしれないけれど、ミュージシャンとしてはアートの停滞を生みかねないものとして、過敏に反応してしまうね。簡単に手に入れ易いものはすぐに価値を失ってしまうし、本来重要なものは手に入れにくいものなんだ。

-前作『Ire Works』は打ち込みが随所に入った“インダストリアル”の要素の強いアルバムでしたが、今作では一転してほとんど打ち込みが無くなり、より純粋なメタルやハードコアのスタイルに変わっていますが、THE DILLINGER ESCAPE PLANの中で何か音楽的な変化があったのでしょうか?

アルバムを作る時はある特定のゴールを目指して取り組まないようにしている。それよりも自分達が素直に良いと思えるものを徹底的に追求するんだ。自分達が置かれている状況や精神的な状態は作品作りに大きな影響を与えるね。このアルバムは言ってみればバンドとして王道のやり方で作った。今回は『Ire Works』を作った時に対処せざるを得なかった急なメンバー・チェンジや誰かの怪我にストレスを感じることも無かったしね。『Option Paralysis』はストレートでアグレッシヴなアルバムだと思うけれど、いざ作り終えるまでこういう感じになるかどうかは想像もつかなかった。

-前作までは必ず1分~2分台の短いトラックが入っていましたが、今作はそれがありません。曲の長さにも変化がでてきていますね。

うーん、そこについては意識しなかったな。“アルバムの雰囲気を匂わすような短い曲が入っているとクールじゃないか”と思うことはたまにあるけれど。完全な1曲としては発展しなかったものの、アイデア自体は十分に面白いっていうような曲。単純にDEPは全てが凄くて、ショボい部分がひとつも無いものを作りたい。『Option Paralysis』は今までのアルバムで一番収録時間が長いけれど、自分で聴き返してみても長過ぎると感じる曲は全く無いんだ。そういう意味ではソング・ライティング面での進化を感じるかな。

-今回のリリースは、自分達で立ち上げた新しいレーベルから行われるそうですが、レーベル移籍ではなく、自主制作の道を選んだのはどういった意図があるのでしょうか?

俺達はデビューした頃からずっとRelapseと仕事してきたんだけれど、全ての契約が満了になった時、これからは音楽を作るにあたって全ての面においてもっと自分達でコントロールしていきたいと思ったんだ。誤解の無いようにハッキリと言っておくけど、Relapseとの間にはただの一つも問題は無かったし、これまで一緒にやってきた全てのことを誇りに思っている。クリエイティヴな面で居心地の良いところだったし、今でもあそこに所属しているバンドは大好きだよ。ただ、今は音楽に対してクリエイティヴであることが重要なのと同じくらい、ビジネスとして自分達の音楽をどうやってリリースしていくかに関しても、クリエイティヴにならないといけないんじゃないかと考えている。初めてだからやることも多いんだけれどね。確かに色々なレーベルからたくさんのオファーをもらったけれど、何年にも渡って拘束されて何枚ものアルバムを作らなくてはいけない、という契約条件ではやりたくなかった。Party Smasherはこれまでとは違うことをやりながら、同時に全てをひとつに関連付けていくための基盤なんだ。