DISC REVIEW
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とても重いテーマを据えた作品だ。先に、前作『サリドマイド』に収録された「カルテ2『サリド×マイド』」を聴いてほしい。母親が望まずして授かり、流産した胎児。前作はサリドマイド薬害事件という実際にあった負の歴史を題材にしていた。本作の「『サリドマイドII』」ではその胎児の心を、実際に母親に捨てられた経験を持つ八咫 烏(Vo)が表現。本当は産んでほしくなかった彼自身の心の慟哭を、攻撃的な楽曲と痛々しい言葉に乗せて毒々しく投影。同じく「『中絶』」も荒ぶるサウンドに、"産んでほしくなかった"思いを叩きつけている。八咫 烏の実体験を通した心の叫びを破壊力満載な音に乗せた2曲。この思いに、あなたは何を思うだろうか......。 長澤 智典