DISC REVIEW
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2018年にKyle Pavone(Vo/Syn)が急逝したWCAR。そんな彼らが、約5年ぶりとなるアルバムを発表した。繊細で心地よく響くKyleのクリーン・ヴォーカルが失われてしまったことで、音楽性が変わってしまうのではないか、という心配を抱えていたファンは多かったと思う。しかし、こうして彼らは5人で歩んでいくその姿勢を形にしたのだ。たしかにそこにKyleの声はないのだが、依然としてWCARたる音楽性がある。壮大なスケール感とヘヴィなサウンドを併せ持ち、そこに温かでエモーショナルなメロディを織り交ぜた、その美しい世界観に変わりはない。足りないピースを埋めるかのように、丁寧に重ねられた重厚なサウンドからは、Kyleに捧げるWCARの深い思いが感じられる。 山本 真由