DISC REVIEW
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コロナ禍前の2020年初頭には日本での初となる単独公演を行い、前作『Bad Blood』が洋楽デイリー・チャートで1位を獲得するなど高い人気を誇るデンマーク発のロック・バンド、H.E.R.O.。彼らの2年ぶりの新作となる3rdアルバムは、フロントマンであるChristoffer Stjerneのパーソナルな体験を反映し、今まで以上にラウドな作品に。MEWのベーシスト Johan Wohlertが正式メンバーとして加入したこともあり、ソリッドなリズム隊とギターで生み出されるリフは実に重厚。これがバンドの持ち味である、憂いを帯びたエモーショナルなメロディと融合し、強烈なカタルシスを生み出している。モダンなリフと胸を締め付けるサビのTrack.1、神秘的で壮大なサウンドスケープを描くTrack.4、バンド史上最もヘヴィでありながらキャッチーなTrack.5に加えて、ポスト・ハードコア・バンド NORMANDIEのフロントマンを迎えたTrack.2や、RAGE OF LIGHT/AD INFINITUMのシンガー Melissa Bonnyと男女混声の美しいハーモニーを奏でるTrack.8といったコラボ曲も注目ポイント。普段洋楽はあまりチェックしていないという本誌読者にもおすすめしたい傑作だ。 菅谷 透