INTERVIEW
H.E.R.O.
2020.03.26UPDATE
2020年03月号掲載
Member:Christoffer Stjerne(Vo/Gt) Søren Itenov(Gt) Anders "Andi" Kirkegaard(Dr)
Interviewer:菅谷 透
2019年はSLASH(GUNS N' ROSES)のソロ来日公演のオープニング・アクト出演や、1stアルバム『Humanic』の発売など、躍進の1年となった北欧デンマークのロック・バンド、H.E.R.O.。彼らが、ニュー・アルバム『Bad Blood』を完成させた。モダン且つオールドスクールな新世代のロックを提示した前作から1年を経て、今作はバンドの持ち味であるキャッチーなメロディはそのままに、エレクトロをふんだんに取り入れつつ、ヘヴィでありながらポップという一見矛盾した要素を見事に融合させた力作に仕上がっている。激ロックではバンド初となる単独来日公演の翌日、メンバー全員に取材を敢行。新作について話を訊いた。
-1stアルバム『Humanic』を昨年2019年の4月にリリースしましたよね。それからは、どのような活動をしていましたか?
Søren:ニュー・アルバムに向けて、ずっと曲を作っていたよ。曲を書いて、書いて、書いて、レコーディングして、レコーディングして、レコーディングして......という感じだったね(笑)。
-ライヴなどは特にしなかったんですか?
Andi:少しおかしな話になるけど、実は『Humanic』をリリースしてからはほとんどライヴをしていないんだ。昨年4月と5月に1回ずつ、デンマークでやっただけなんだよ。それからは新曲の制作とレコーディングをして、今は日本に来て――このあと3月からデンマークで行うツアーが『Humanic』を引っ提げたツアーなんだ。遅いって思うかもしれないけど、まさかこんなに早く2ndアルバムができあがるとは想定していなかったからね(笑)。
-そうなんですね(笑)。昨年5月にはChrisさんがプロモーションで来日していましたが、そのときの思い出を教えていただけますか?
Chris:とてもいい時間を過ごすことができたのと同時に、スケジュールがきつくて忙しかったから、ストレスもあったのを覚えているよ(笑)。でも全般的に言えば、すごく楽しかったね。
Andi:どれくらいインタビューを受けたんだっけ?
Chris:5日間で、38から40本くらいだったかな。
Andi:そうか......頑張ったな(笑)。
Chris:ありがとう(笑)。個人的には、ガールフレンドを日本に連れてくることができたし、彼女に日本を見せてあげることもできたから、それも嬉しかったね。
-プロモーションの一環として、アコースティック・ライヴもやってましたよね。
Chris:ああ。各地のラジオ局の番組で披露したり、インストア・ライヴとして渋谷のTOWER RECORDSでやったりした。俺たちはバンドでアコースティック・ギターを使うことは基本的にないから、個人的にも新鮮な体験で楽しかったよ。
-それはいいことですね。続いて、昨日おととい(1月31日、2月1日)と日本では初となる単独公演が東京と大阪で行われましたが、ライヴの感想はいかがでしたか?
Søren:ビューティフル。
一同:(笑)
Andi:最高だったね。今回は、ようやくフル・セットを披露できたんだ。これまでの日本でのライヴはショーケース・ライヴだったりSLASH(GUNS N' ROSES)のサポート・アクトだったりで演奏時間が短かかったから、あっという間に終わってしまう感じだった。けど、今回はフル・セットだから「Fear」や「Fall Apart Together」(ともに『Humanic』収録曲)みたいなスローな曲も演奏することができたのが良かったね。だからバンドとしても満足しているよ。オーディエンスも本当に素晴らしかったね。どちらのライヴもあんなに大勢の人が来てくれて感謝しているよ。
-東京公演の会場(代官山SPACE ODD)は、バンドの初来日公演(2018年11月開催の"HOKUO LOUD NIGHT")が行われた場所でもありますね。
Andi:そうだね。家に戻ってきたみたいだったよ。
Søren:環境に慣れていたこともあって、すごくやりやすかったよ。会場自体もいいところだしね。
Chris:これまでは、必ずしも自分たちのファンではないという人たちの前でも演奏しなければならなかったし、いかにバンドを印象づけるかという部分もあった。だけど今回のライヴは全員がH.E.R.O.のファンだったから、ひとつの大きなファミリーという感じでプレイできたのもとても良かったよ。
Søren:大阪も東京も、オーディエンスとバンドがひとつになることができて良かった。まるでオーディエンスがバンドの中にいるみたいだったね。
-東京公演を拝見しましたが、Chrisさんが会場全体のひとりひとりに視線を配っているような仕草が印象的でした。あれは意図的なものでしたか?
Chris:そこで起こったことすべてを目に焼きつけようと思ってたから、そう見えたのかもしれないね。正直、始まる前まではどうなるか予想がつかなかった。もしかしたら会場に10人しかいないかもしれないし、あるいは満員かもしれない――そういう気持ちでライヴに臨んだんだけど、実際にステージに立ってみたらフロアは満員になっていて、会場の上の方を見ても人がいたんだ。本当に素晴らしかったし、あの光景は一生忘れないよ。
-今回のライヴはMEWのJohan Wohlertがベーシストとして参加していましたね。彼はどういった経緯で参加したのでしょうか?
Andi:Johanとは昔、彼がMEWから離れていたころにやっていたTHE STORMというバンドで一緒にプレイしたことがあるんだ。Johanと知り合ったのはそのときだよ。それ以来、彼がMEWに復帰してからも連絡を取り合う仲だったんだけど、ある日"なんでお前のバンドでベースを弾くのが俺じゃないんだ?"と言ってきてね(笑)。たしかにそうすべきだなと思ったんだ。MEWは今ちょうどオフに入っていて時間があるみたいだから、彼がライヴに参加することができてラッキーだったね。彼はナイス・ガイだし、才能に溢れたベーシストだから、俺たちにとってもありがたいことだよ。
-なるほど。では続いて、ニュー・アルバム『Bad Blood』についてうかがっていきます。リリースを控えた心境を教えていただけますか?
Chris:すごくワクワクしているよ。
Søren:リリースが待ちきれないね。
-アルバム自体の構想はいつぐらいからあったのでしょうか?
Chris:実際に制作作業を始めたのは、日本でのプロモーションから戻ってきたころの、昨年の夏くらいかな。プロモーションで来日しているときにレーベルから"早くアルバムを作ってほしい"と言われて(笑)、そこでアルバムを作る必要があることを確信したんだ(笑)。それで、戻ってからメンバーに"そろそろアルバムを作らないといけないみたいだ"と伝えて、そこから構想を練っていったよ。