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INTERVIEW

H.E.R.O.

2020.03.26UPDATE

2020年03月号掲載

H.E.R.O.

Member:Christoffer Stjerne(Vo/Gt) Søren Itenov(Gt) Anders "Andi" Kirkegaard(Dr)

Interviewer:菅谷 透

俺たちは制約のないバンドだから、それがベストな曲を作るためならなんだってやるんだ


1stアルバム『Humanic』のインタビューでは制作に2年ほどかかったとおっしゃってましたが、今回は1年足らずでのリリースとなりますね。制作はスムーズにいったのでしょうか?

Chris:そのとおりだね。デビュー・アルバムでは、最初ということもあって自分たちがどういう音楽性を打ち出していくのか、バンドのDNAとは何かを探し出す作業が必要だった。そうした作業を経た今回は、もう自分たちのやりたいことが明確にわかっていたから、流れにまかせてスムーズに制作していくことができたよ。

-では、今作ではどのような作品を目指したのでしょうか?

Andi:1stアルバムでやっていた、キャッチーでメロディックな音楽を継続していくことだね。

Chris:実はふたりに話したことはなかったけど、俺の中にはしっかりとしたマスター・プランがあったんだ(笑)。さらにエレクトロニック且つヘヴィなサウンドにしたいと思っていた。でも、特にふたりと話し合わなくても自然とその方向へと進んでいったよ。

-メンバーで共通の認識があったんですね(笑)。

Chris:ああ、まさにそのとおりだね(笑)。

-アルバム・タイトルの"Bad Blood"の由来はなんでしょうか?

Søren:そういうタイトルの曲があったからだね(笑)。制作の中盤から終盤にさしかかったときにその「Bad Blood」ができた。作っているときは特に何かを意識することなく、ただひたすら曲を書いていたんだけど、できあがったらとてもいい曲に仕上がったし、タイトルもキャッチーで、歌詞の内容やタイトル自体も結果的にアルバムの全部を言い表している感じがしたから、"これはアルバムのタイトルにちょうどいいな"と思ったんだ。

-たしかに「Bad Blood」は、エレクトロニック且つヘヴィというサウンドの方向性も含めて、アルバムを象徴するような曲になっていると感じました。

Chris:そうだね。H.E.R.O.が持っているすべての要素が詰まった、クラシックな楽曲になったと思うよ。ギター・リフがあって、エレクトロニックなヴァースに壮大なコーラス......まさにH.E.R.O.だ(笑)。

-(笑)続いて、歌詞のテーマなどは楽曲ごとに設けられているのでしょうか?

Søren:一曲一曲を書いているときはあまりテーマについて意識していなかったね。全曲が完成して、アルバムのブックレットに載せるためにChrisが歌詞をすべて書き出してたんだけど、それを眺めていたときに、各曲というよりはむしろアルバム全体に一貫したテーマがあるということに初めて気づいたんだ(笑)。テーマはいくつかあるんだけど、簡単に言うと、何かを失うことや、人生がすべて変わってしまったあと、そこから立ち直って世界をまた違った方法で見ていくことについてだね。

-なるほど。音楽的な面についてもうかがいます。今作では新たにヒップホップやトラップなどの要素がヴォーカルの譜割りなどで取り入れられていますが、これは意識的なものでしたか?

Chris:そもそも俺はヒップホップみたいな音楽をよく聴くんだよね。ヒップホップのサウンドの鳴り方や雰囲気が好きなんだ。

Søren:俺たちに制約はないんだ。Chrisがヒップホップ的な要素を追加したかったとして、それがクールで効果的だと思えば取り入れるだけだよ。

Andi:すべては曲次第だよ。Sørenが言ったとおり俺たちは制約のないバンドだから、それがベストな曲を作るためならなんだってやるんだ。

-ヒップホップやトラップがポップなサウンドを構成する要素だとすれば、その一方でギターはこれまでのようにコードを鳴らす代わりに単音で弾くフレーズが増えていて、ヘヴィな印象を与えています。こちらも意図的なものですか?

Søren:単音リフで弾こうというアイディアは、実はChrisが持ってきたものなんだ。

Chris:ああ。間違いなく狙ってやったものだね。

Andi:そのアイディアは、激しいバンドを聴いているときにインスピレーションを得たものだね。例えば、俺はGOJIRAの大ファンなんだ。今までよりもさらにヘヴィなリフと、さらにポップな音楽を組み合わせようというところからアイディアがスタートしているよ。

Søren:今回の制作プロセスでは、全般的によりエクストリームなアイディアへと進んでいく傾向があったと思う。"できる限りハードにしよう"、あるいは"できる限りポップにしよう"みたいに、両極端の要素を組み合わせていった。例えばスタジオで「Bad Blood」を制作しているときに、Chrisが"君はこういうの好きじゃないと思うけど......"って言いながら、ギター・リフに乗せて"bad blood give me bad blood~"とTaylor Swiftみたいな感じでメロディを歌ったんだ(笑)。"それ、いいじゃん!"と返したのを覚えているよ(笑)。

-(笑)そういったエクストリームな要素は「Avalanche」にも感じられます。この曲は昨日のライヴで2回も披露されていましたね。オーディエンスもかなり盛り上がってました。

Søren:ステージから見ていても同じ気分だったよ。特に2回目が盛り上がってたね(笑)。

-そうでしたね(笑)。曲作りでは、ライヴを意識している部分もあるのでしょうか?

Chris:実は、曲を書くときにはライヴのことはそんなに意識していないんだ。いかにいい曲を作るかということしか考えてない。ただ、曲を作り終わってから、リハーサルのときにスタジオで"これはいったいどうやってライヴでやったらいいんだ?"と悩むことがよくあるよ(笑)。

一同:(笑)

Søren:これはAndiのために付け加えておきたいことなんだけど、いいライヴをやるためには優れたドラマーが必要なんだ。そこが機能していれば、他もうまくいくからね。その点、Andiは素晴らしいドラマーなんだ。どんな曲を書いたとしても、Andiがいるからライヴでもうまくやれるだろうという安心感があるよ(笑)。

Andi:(笑)どうもありがとう。

-みなさんの連帯感が窺えますね(笑)。では最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

Søren:ライヴに来てくれた人、アルバムを買ってくれた人、ラジオで好きになってくれた人......みんなにただただありがとうと言いたいね。どれもこれもファンのみんなのおかげなんだ。こうやって地球の反対側にある、世界で最も素晴らしい場所のひとつにやってきて俺たちの音楽を演奏できるなんて、かけがえのないことだよ。本当にありがとう!