DISC REVIEW
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2015年に古巣であるRise Recordsに復帰、リリースされたEP作品『Space』も記憶に新しい、THE DEVIL WEARS PRADA。去年から今年にかけて、創立メンバーのギタリストとドラマーが脱退するというアクシデントを乗り越えて制作された本作は、通算で6枚目となる最新作である。極端なブルータリティとメロディックさとのコントラストを力技で表現し、大仰なシンセ・サウンドも含めて、シーンに衝撃を与えた2006年のアルバム・デビューから10年という節目を迎えた彼らの音楽性は、自らが生み出した方法論を軸に、よりダークに、よりシリアスに洗練され、オリジネイターとしての風格を感じさせる説得力に満ちているのだ。先述したEP作品でも強く感じた、悲哀を帯びた叙情性、際立ったメロディの美しさも印象深い。新機軸などなくとも、決して揺らぐことのないTDWP節を堪能すべし。 井上 光一