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INTERVIEW

Pay money To my Pain

2013.11.08UPDATE

2013年11月号掲載

Pay money To my Pain

Member:PABLO (Gt) T$UYO$HI (Ba) ZAX (Dr)

Interviewer:ムラオカ

-けなすならライヴは観てから、音源は聴いてから、ということですよね。

T:そう。とにかく素晴らしい歌詞だし、素晴らしい歌だと思う。

-この曲は8分越えていますが、今までこの長さはなかったですよね?

T:ないですね。コード進行も一緒ですからね。

P:1回もコード進行変わらないんです。この曲の最初のコードを弾いた時に“遂にキタな!”って思ったんですよ(笑)。アルバム収録曲を作り始めてちょうど真ん中ぐらいで生まれて、やっと何かを越えられた気がして。P.T.Pで今まで自分が取り組んできた「Home」だったり「Same as you are」だったりいくつかバラード曲があったけど、やっとそれを超えれるものが作れたっていうのがすごくあって。だからこの曲を聴いて1番泣いてましたね。この曲をどれだけ俺はKに歌ってほしかったかっていう……。Takaに歌ってもらったからそれで自分が満足してるわけじゃないし、もちろん。

T:当初の予定ではこれがアルバム最後の曲っていうイメージはありましたね。

-確かにバラードが2曲続いて終わるというのは、ゲストを迎えているからこその構成なのかなと思っていました。これがもしK君が全て歌っていたらまた違う曲順になっていたのかなと。そして最後を飾る「Rain」は切ないバラードですね。革新性や複雑な構成はありませんが、K君の温かみのあるヴォーカルが胸に沁みます。この曲はアルバムのラストを飾るには相応しい曲だと感じました。

P:1番最後にKが歌録りをした曲でもあるし、“Rain”って言葉にまつわることもいろいろ身の回りでもあったり……。12月30日も雨が降っていたし、マスタリングの日も雨が降ってて。キーワードとして“雨”っていうものがあって。あの曲の歌詞を読むとKが歌ってるけど自分の言葉のようにも聴こえるというすごく不思議な曲。不思議なことが多いし、ただの偶然という結び付きで捉えられないことを自分では感じることもあって。雨が降ると、あいつが悲しんでるのかなとかいろいろ考えたりもしてて。でも俺が思ったのは、あいつ雨好きじゃないから、太陽が好きだから1人占めしてんだなって思って。雨を降らせて俺たちには太陽が届かないけど、その雲の上で太陽の光を1人で浴びてるんだろうなって最近思いますね。今までたくさんのインタビューやライヴで“生涯忘れられない”って言葉を多くのミュージシャンが言葉にしてるし、それを否定するつもりも全くないけど、その何倍も強い意味で自分の生涯に刻み込まれる曲だなって思ってます。

-この曲は聴いていると安心しますね。アルバムのなかでも1番落ち着いていて、温もり、安らぎを感じる曲なので、この曲でアルバムが終わるのは良い流れだなと思います。

P:マスタリングで「Voice」を最後にするか「Rain」を最後にするか1番悩んだのもそこでしたね。俺も最初「Voice」が最後がいいと思ってたんですよ。で、家で何回かアルバムを通して聴いたんだけど「Voice」を聴いて終わるとずっとモヤモヤした気持ちが残ったんですよ。モヤモヤして終わった感じがしないっていうのがあって、それで「Rain」を最後に持ってくると安心するし、少し前向きな気持ちになれるっていうのもあって「Rain」が最後がいいんじゃないのって話をしたらT$UYO$HIが“Kはもうこの世にいないんだよ。それをちゃんと分かった方がいいし、伝えた方がいいから、俺は「Voice」が最後でいいと思う”って。

T:確かにPABLOの言う通り「Voice」で終わるとすごいモヤモヤなんですよ。Kが歌う「Rain」が終わった後の「Voice」ではTakaがKがいなくなった後を歌ってるじゃないですか。Kの歌が終わった後にTakaの歌がくると、噛み締めないといけないもの凄い現実感があったので、そうすると他の曲が全く聴けないんですよ。それぐらいインパクトが強いのが「Voice」だったんです。あとは元々「Voice」が最後だねって言ってたから。だけどそこでどっちの方が最後に相応しいのかなってなった時に、P.T.Pのアルバムだから最後はKの声で終わった方がいいのかなっていうことで、最終的にこの並びになったんです。

P:そこで俺は思ったのが、Kがよく言ってたんですけど“俺は暗いことを歌ってるけど、絶望させたままでは終わらせない。絶対どこかに必ず希望を入れるんだ”って言ってて。俺はそれを表現したかったので、そこで最後に一筋の光を「Rain」で残すのがいいのかなって思って、最後まで悩んでたんですけど、最終的にこういう形になりました。

T:名曲ですよね。俺昔から言ってるんですけど、シャウトしてるKより歌ってるKの方が好きなんですよ。なんかプライベートの部分でのあいつの印象が強くて。ステージで殺気立ってる感じより、ゴロゴロしながら“今日T$UYO$HI君、何か食いに行く?”って世間話してるような、そういうプライベートのKの印象が強いっていうか。歌詞はすごく切ないけど、いかついKっていうより、雨降ってる日に自分と静かに向き合ってアコギ弾きながら歌ってるKって感じなのかな。シャウトしてる姿もかっこいいけど、そういうウェットな部分の方が俺はKを感じる。

P:こないだ雑誌のインタビューで話していて改めて思ったんだけど、ウェットな歌声の部分でKはすごい秀でてるヴォーカリストだけど、でもヘヴィな音楽が好きで、そういう激しいことをやって一泡吹かせようぜって集まってやってるのが俺たちP.T.Pなんだって思うし、そうやってライヴもやってきた気がする。激しいことをやってみんなをビックリさせたい。だから叫ぶし、だから速い曲も作るし激しい曲も作る。P.T.Pってそういうバンドなのかなって思った。だからそういう音楽に出会ってなかったら、Kはシャツとか着て歌っててもおかしくないと思うし。でもそういうヘヴィ・ミュージックに出会って人生が変わった人間たちで集まって、そういう音楽をやって、いろんな旅をして、いろんな経験をして。でも自分たちの大事な優しい部分ってのはいつも表現してきたし、なるべく等身大の自分たちでいようとずっとしてきたし、そういうバンドなのかなって思った。

T:言葉を選ばなきゃいけないかもしれないけど、メガネかけて細身の格好してる人たちがただ歌モノを歌うのと、あいつが歌うのとは訳が違うというか。そっちがあるからこっちが引き立つというか。ヤンキーが猫に餌あげてるのと同じですよ(笑)。