LIVE REPORT
GRANRODEO
2024.10.12 @Zepp Haneda (TOKYO)
Writer : 長澤 智典 Photographer:キセキミチコ
2025年11月23日にデビュー20周年を迎えるGRANRODEO。記念すべき日に向けて彼等は、2024年1月より様々な企画を展開している。e-ZUKA(Gt)とKISHOW(Vo)それぞれのソロ・アルバムのリリースとツアー、9月にはGRANRODEOとして最新シングル『GR STORY』を発売した。その上で、次なる攻めの一手として打ち出したのが、全国ツアー"GRANRODEO LIVE TOUR 2024-2025 「GREAT ROAD STORY」"だった。この記事を目にする頃の2人は、まさにツアーの真っ最中。激ロックは、同ツアー始まりの地になったZepp Haneda (TOKYO)での2デイズ公演の内、10月12日に行われたライヴに足を運んだ。満員の観客が詰めかけたこの日の模様を取り上げ、ここにお伝えしたい。
最新シングルを手にしてのツアーだけに、収録した3曲とも、流れを持ったセットリストの中で重要な位置に並べてきた。瀧田イサムの唸る高速ベース・ソロから始まる「Pepper Cave」では、瀧田自身がステージのセンターに立ち、白いスポットを浴びながらゴリゴリに攻めた演奏を披露。そこへKISHOWの雄叫びのような声が重なるのを合図に曲本編へ突入する、スリリングで胸踊る演出を見せた。この曲でのKISHOWは、スタンドマイクを振り回し、観客たちへ挑みかかる姿で歌っていた。ドラマー、SHiNのブラストビートと瀧田のリズム隊が描き出す豪快な音の上で、e-ZUKAのハード・ロック然としたギター・プレイが炸裂。途中、e-ZUKAと瀧田が寄り添い演奏を始めれば、そこへKISHOWも加わり、3人で顔を見合わせて歌い奏でる場面も。サビでは、時にキックをするアクションも見せるKISHOWの高らかな歌声や荒ぶるプレイに気持ちを重ね、満員のオーディエンスも拳を高く突き上げて祭り上がる。後半はKISHOWとフロアが手で文字を作りながら、この曲でフィーチャーされている瀧田に向け"TKT"コールを作り上げていた。"Pepper Cave"と声を上げるごとに生まれる一体感がある。
ザクザクとした印象深いリフを刻むe-ZUKAのギターの音が、感情のストッパーを一瞬にして壊す程、身体の内側から熱情した気持ちを沸き立てた「Floating Story」。冒頭から誰もが拳を突き上げて騒いでいる。開放感を持ったアッパーなロックンロール・チューンの中で晴れ晴れとした声を上げて歌うKISHOWに思いを重ねるように、共に声を上げたい衝動に何度も駆られた。もちろん、一緒に歌いながら熱狂していた人たちも大勢いた。心踊ったのが、KISHOWが"ticktack×2"、"dingdong×2"と手を振りながら歌うたび大勢の人たちが同じように手を振り、歌っていたこと。互いの気持ちを1つにしながら楽しさを共有する。これは「Floating Story」に限らず、今回のライヴで披露したいろんな楽曲の中に描き出された景色。参加型の楽曲も多いGRANRODEOだけに、ぜひ今後参加する方も人見知りの心を解き放ち、すぐ側にいる同じ"好き"を共有した仲間たちと一緒に歌い、叫んでもらいたい。
メンバーと観客たちが一緒になって浮かれ騒ぐ楽しさは、「大往生Everyday」にもあった。話は前後するが、メンバーが登場するオープニングのテーマとして流れたのが、「大往生Everyday」の原型となった印象的なインスト・ナンバー。e-ZUKAの軽やかに跳ねるブルース・ギターの音色が鳴り響き、同じく、軽やかにスウィングしたリズム隊の演奏が始まるのと同時に、心がウキウキとはしゃぎだす。もちろん「大往生Everyday」でもそう。この曲のイントロが流れた途端、満員のオーディエンスが身体を揺らし、曲が進むにつれて、演奏に身を預けその場で飛び跳ねていた。ともに身体を揺らしたい。一緒に声を上げて歌っていたい。本当に無条件で楽しい気持ちに心を満たしてゆける、最高のパーティー・ロック・ナンバーだ。
他にもこのツアーではGRANRODEOのライヴに欠かせない楽曲はもちろん、懐かしい曲たちも取り上げていた。いわゆるシングルの表題曲を並べたベスト的な形ではなく、GRANRODEO通のロデオボーイ/ロデオガール(※ファンの呼称)たちならニヤッとするレアな楽曲も、いろいろピックアップしているのが嬉しい。時にはスケールの大きなバラード系の楽曲を歌い上げて触れた人たちの心を濡らし、LAの爽快な青空へ向けて歌い上げるように観客たちの心を晴れ渡るほうへ導く曲や、たくさんのオレンジのサイリウムがフロアを燃やす場面も。もちろん、軸になっているのは豪快且つハード・エッジなロックンロール・ナンバーたち。つまり、マイクスタンドを持ち背中を逸らしながら歌い上げるKISHOWや、力強く腕を振り下ろしギターをかき鳴らすe-ZUKAを何度も味わいながら、自らも気持ちを解き放ち、体力の限界を忘れた少年や少女になって騒いで、盛り上がれる曲たちが次々と投下されるということ。もちろん、初見でもすぐにノれる曲たちばかりだから、臆せず楽しんでもらいたい。
最後にもう1つ見どころを語るなら、e-ZUKAのMCだ。昭和感満載の駄洒落が次々飛び交えば、毒舌な発言もたびたび飛び出す。無法地帯と化すe-ZUKAのトークを巧みにいなすKISHOWとのやりとりも楽しいので、ぜひMCにも注目してもらいたい。
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