INTERVIEW
GRANRODEO
2024.09.25UPDATE
2024年09月号掲載
Member:KISHOW(Vo) e-ZUKA(Gt)
Interviewer:長澤 智典
2005年11月にシングル『Go For It!』発売し、華々しいスタートを切ったGRANRODEO。声優でありながら、高い歌唱力を誇るKISHOWこと谷山紀章。ハード・ロック/ヘヴィ・メタルを軸に据えた辣腕ギタリストとして活動してきたe-ZUKAこと飯塚昌明。2人が手を組みGRANRODEOが誕生してから、来年で20周年を迎える。記念すべき年に向け、今年からGRANRODEOは"Road to G20th"と題し、様々な展開を描き始めた。その1つ、"Road to G20th 3部作"として、4月にe-ZUKAがソロ・アルバム『LET'S GET STARTED』を、7月にKISHOWが『深夜零時』をリリース。そしてこのたび、第3弾となるGRANRODEOの最新シングル『GR STORY』 が9月25日に発売される。10月からは、全20本にわたる年跨ぎの全国ツアー"GRANRODEO LIVE TOUR 2024-2025 「GREAT ROAD STORY」"もスタート。20周年に向けて、今2人がどんな思いを胸にしているのかを、ここにお伝えしたい。
-来年の11月で、GRANRODEOはデビュー20周年を迎えます。
e-ZUKA:THE ALFEEさんの50周年に比べたらまだまだですけど(笑)、正直ここまであっと言う間の日々でしたね。
KISHOW:こうやって数字を示されると"20周年に向き合おう"という意識も生まれますけど、20年という月日も、日々をしっかりと積み重ねたなかでの1つの成果。周りが20周年を盛り立てて、いろんな提案をしてくれるのは嬉しいけど、本人らは意外と常温(いつも通り)の気持ちでいるのも事実です。
-20周年へ向かう上で、GRANRODEOは今年"Road to G20th"という企画を立ち上げ、それぞれのソロ・アルバムと、GRANRODEOの新作を作り上げる"Road to G20th 3部作"を展開しています。最初にe-ZUKAさんがソロ・アルバム『LET'S GET STARTED』を4月に発売しました。以前サントラ盤を手掛けたことはありましたが、ソロ・アルバムの制作への興味は......。
e-ZUKA:ありましたね。一度コロナ禍の時期に企画が立ち上がるも、いろんな制作が立て込んだことで、そのときは形にできなかったけど。今回の3部作の展開を描いたことで、再びその機会が訪れたのは素直に嬉しいことでした。実際の制作においても、アルバムを構成する上でのバリエーションは意識しましたけど、自分の中にない要素を無理やり加えて作るのではなく、これまでに培った自分らしい音楽を形にしようと制作して。どの楽曲へも素直に向き合ったことで、わりとGRANRODEOで見せる姿に近い曲たちを集めた1枚になりました。中から見えるいろんなルーツ音楽へのオマージュも、いつもの自分らしさですからね。
-KISHOWさんは、GRANRODEOでは見せない音楽性をソロ・アルバム『深夜零時』に詰め込みました。
KISHOW:僕にとって、ヴォーカリストの原点となるのがGRANRODEOの活動で、それは今後も主軸として続くものだからこそ、ソロ・アルバムを作る以上はGRANRODEOではやらない音楽を形にしようという意識がありました。お互いそうでしたが、アルバムの発売後にはソロ・ツアーも組んでいただけたように、1つの想い出としてアルバム制作とツアーを経験するのもいいですけど、ソロ活動をやる以上はそれをいかにGRANRODEOへ持って帰り、反映していくかが大事なことで。それを具体的に反映していくのはこれからでしょうけど、本作を作ったことでいろんな刺激を新たに背負えたなという感触は持っています。
-それぞれのソロ展開を踏まえて生まれのが、GRANRODEOの最新シングル『GR STORY』になります。リード・トラックになった「大往生Everyday」は、"Road to G20th"の発表を告げたティーザー映像で流れた楽曲がモチーフになっていますよね。
e-ZUKA:もともとはティーザー映像用に作った短いインスト曲だったけど、チームの中から"この曲に歌を乗せたら面白いんじゃないか"というアイディアが生まれて。そこからなんですよ、自分ときーやん(KISHOW)のアルバムの中でその楽曲を膨らませて、最終的にGRANRODEOの楽曲へ繋げて完成させようという展開が生まれたのは。
-その楽曲をe-ZUKAさんはアルバム『LET'S GET STARTED』に収録した、アコギとウッドベース、ブルース・ハープの演奏で表現したジャジーな「DD BLUES」へ昇華しました。
e-ZUKA:あのときは、自分も影響を受けたカントリーやブルース色も持ったジャジーな楽曲として提示して。その上で、きーやんがね。
KISHOW:アルバムにインタールード曲として収録した「深夜零時」で、e-ZUKAさんの作った「DD BLUES」に乗せて鼻歌感覚で歌い叫んだんです。あの当時、僕のアルバムを聴いた人たちからの"あれ?? e-ZUKAさんのアルバムに入ってる曲じゃない??"という声は僕らのもとへしっかり届いていました。その上で、3部作の最後に当たるGRANRODEOの最新シングルに収録した「大往生Everyday」へ繋げたわけです。
e-ZUKA:「大往生Everyday」は、自分のルーツミュージックの1つとしてあるディキシーランド・ジャズ的な楽曲をイメージしてアレンジしました。ただし、普通すぎても面白みに欠けるので、お馴染みのフレーズの後にいきなりラップが始まれば、Aメロも2段階に転調していくなど、いろんな遊び心を施したけどね。
-クラリネットやトロンボーンなど管楽器を入れたことで、とても華やかなパーティー・チューンにも仕上がりました。
e-ZUKA:いつもはサックスで参加しているマルチプレイヤーの庵原(良司)君に、クラリネットを吹いてもらいました。本当はFキーだとめちゃめちゃ吹きやすいんだけど、あえて半音上げたことでより華やかさが増したから、結果的に良かったなと思います。中で彼が吹いている演奏は、キメのところ意外はアドリブでプレイしてて。それも、この曲の雰囲気を膨らませた要因になりましたね。僕もギター・バンジョーの演奏を加えました。もともとギター・バンジョーは「フォルテ」(2019年リリースの30thシングル『セツナの愛』収録曲)を演奏するために購入した楽器で、それを再び活かせたのも個人的には嬉しかったです。
-言葉遊びやシニカルな表現も見えてくる歌詞に、KISHOWさん自身はどんな思いを乗せたのかも気になります。
KISHOW:毎日を大往生するような気持ちで楽しもうじゃないけど、自分なりの思いも根底にはありつつ。基本は、楽曲を聴いたときに浮かんだ言葉たちをその都度メロディへ乗せていく形だから、正直あまり整合性は意識せずに書いています。あえて言うなら、自分たちでGRANRODEOの自分たち自身を面白がってるというのかな。10周年のときに出した「バラライ」(2015年リリースのベスト・アルバム『DECADE OF GR』収録曲)はGRANRODEOの10周年を祝うアンセムとして作ったけど、あれから10年近く経って、より大人になった自分たちがメタ(俯瞰的な)視点で自分たち自身を面白がっているところはあるかな。「大往生Everyday」の歌詞は言葉遊びを含め、それぞれに想像を巡らせてもらえたらなと思っています。それに、「大往生Everyday」はパーティー感のある楽曲。20周年に向けてパーッと明るくいきたいじゃない。