INTERVIEW
e-ZUKA from GRANRODEO
2024.04.24UPDATE
2024年04月号掲載
Interviewer:フジジュン
GRANRODEOのギタリスト e-ZUKAがソロ・アルバムで覚醒! 2025年にデビュー20周年を迎えるGRANRODEOの一大プロジェクト"GRANRODEO Road to G20th"が始動した。3部作の第1弾リリースとなるのは、超絶ギタリストとして名高いe-ZUKA from GRANRODEOのソロ・アルバム。高いスキルを誇るギタリストとして、天才メロディ・メーカーとして、アニソン界、ロック界、ヘヴィ・メタル界でも孤高の存在であるe-ZUKAによる待望のソロ・アルバムは、ファンの期待に応えるヘヴィな曲から、ポップ・センスが生かされたキャッチーな曲、真骨頂と言える壮大なメタル・チューンに渋いブルースにと、様々なアプローチで表現するギター・インスト楽曲が全7曲収録。思わずギターを手に取りたくなる、ギターの魅力が存分に詰まった今作について、e-ZUKAにたっぷり話を訊いた。
-2025年のGRANRODEO結成20周年に向けた"GRANRODEO Road to G20th"第1弾となる、ソロ・アルバム『LET'S GET STARTED』が完成。まずは20周年を目前にってところでの心境からおうかがいしたいのですが。
みなさんよくおっしゃることですけど、本当にあっと言う間でした。しかも若い頃の1年って長いけど、僕は38歳からなので(笑)。"1年短いな"みたいなこととか、物事の仕組みとかがわかってきて。この年齢からいろんなことに挑戦するのも、どうなんだろう? って思ってるときに、"GRANRODEOとして、2人組でアーティストとしてやってみませんか?"という話があって。"30代最後の記念にやってくださいよ"みたいなことを言われてやったので、こんな長く続くとは思わなかった! だから、一番最初のアルバム(2007年リリースの『RIDE ON THE EDGE』)はすごく一生懸命に作ったんです、これで終わりだと思ってたから(笑)。自分のロックとか、ヘヴィ・メタルとか、ハード・ロックとか、そういうのを詰め込んだ1枚にしようと思って頑張ったんですけど。まさかそこから20年続くとは、想像もつかなかったです。
-でも、そういう気持ちでやって来たのであれば、結成時の30代の気持ちを未だに保ち続けたままできてる感じもしますが?
もっと言うと僕、10代の気持ちのまま、ここまで来ちゃってますからね。社会人としては相当ヤバいんですけど、それでも生きていける日本っていい国だなと思って(笑)。そういうのを許してくれた環境とか、親や兄弟にも感謝してますし。なんでこんなに好きになっちゃったんだろう!? と、自分にもびっくりしてますけど。ずっと情熱を持ち続けて、やり続けられるギターというものを見つけられて、本当に良かったなとは思います。小学校5年生のとき、KISSに出会ったときの衝撃や初期衝動。それでずっとやれてるのがすごいなと思うし、それだけ好きなものに出会うのはすごいことだなと思います。その中でもGRANRODEOの20年はあっと言う間の20年で、最初の頃はイライラしたり、周りのスタッフと喧嘩したり、いろいろありましたけど。今はお互い丸くなって、隠居みたいな20周年になりそうな感じもあって(笑)。そこを隠居させないように新しい会社を立ち上げたり、さらに頑張っていこうという気持ちもあるので。ソロ・アルバムのタイトルも"LET'S GET STARTED"と名付けてみました。
-"さぁ、始めよう"と、またここから新たなスタートを切るわけですね。e-ZUKAさんとKISHOW(Vo)さんのソロをリリースしたあと、GRANRODEOの最新シングルをリリースというアイディアはどこから出てきたんですか?
もちろん自分たち発信のアイディアではないんですけど。自分としてはすごく楽しめてますし、KISHOWも"いいものができそうで面白いんだよね"なんて言ってます。アルバムを作るとき、2曲同時に曲を作ったりするじゃないですか? 僕はそれがイヤなんだけど、今回はなかなかいいペースでやらせてもらえて、それも良かったなと思って。もともと、HIGHWAY STARという事務所にGRANRODEOとして所属していたんですけど、コロナ禍で個人名義でも所属したんですよ。そこで、"何かやりたいことはないですか? ソロでアルバム作りませんか?"と言われたのが2021年で。"だったら、自分ひとりでどこかに行ったときやセッションをやるときに演奏できるような、自分の財産になるような曲を作りたい。ソロ名義のインストのアルバムが作りたい"と言って。"いつ発売って決めずに1年くらいのタームでゆっくり作りましょう"と話をしていて。コロナ禍で、自分と向き合う時間もすごくあったので、"俺、どんな音楽好きだったかな?"って、子供のときに好きだった音楽から聴き返したりして。何曲かはスケッチ的にインストの曲を作っていたんですけど、そのうちライヴもできるようになって、GRANRODEOが忙しくなってきたりしたら、アルバムのことは忘れかけてて(笑)。それが今回の企画でソロ・アルバムというのが再浮上してきたので、何曲かはそのときのモチーフになった曲があったりするんです。
-そんな経緯もあったんですね。それぞれがソロを作ることで、GRANRODEOにはどう反映していきたいと想像していますか?
振り子の原理じゃないですけど、ソロでやったことはGRANRODEOでやらない気がしてて。例えば、僕の曲で言うと「Make It!」なんて曲は、明らかに「Can Do」(GRANRODEOの2012年リリースの16thシングル表題曲)を意識していたりするんですが。"自分の売りってなんだろう?"と考えたとき、ああいったキャッチーなものだと思ったので、それを落とし込んだ曲を作って。GRANRODEOに帰ったとき、またああいう曲をやろうということにはならないと思うんですね。だから"俺が俺が"がなくなると思うんです、ふたりとも。俺はずっとギターを弾いてるし、KISHOWはKISHOWで歌に専念するから、歌をひけらかすような歌唱法になるでしょうし(笑)。それがまた一緒にやったときに、すごく力の抜けた作品になるかも知れなくて。お互いにいい意味でリフレッシュして、結成20周年を迎えられるのかな? という気はしています。
-リフレッシュすることで、GRANRODEOを客観視できるかも知れないし。自分自身と向き合うことで、相手がすごく良く見えるようになるかも知れないですしね。
ただ、わからないですよ? KISHOWのソロを聴いて、嫉妬する可能性もありますから。"カッコいいな、負けてられないな"って気持ちで、それを超える曲を作ろうと思うかも知れないし。"やっぱ、大したことねぇな"と思うかも知れないし(笑)。あとソロを作って思ったのは、自分から出てくる言葉とかフレーズ、旋律というものを再確認できたということで。本当は自分をもっと大きく見せようと思ってたんです。"もっと頭いいんだぞ"とか、"こんなこともできるんだぞ"とか、背伸びしたところを見せつけたかったんですけど、無理だなと思ったし。やっぱり、今の自分の等身大を出すほうがいいなと思って。だから、ギター・ソロでも"このフレーズ、よく弾くよね"みたいなのがいっぱい出てきてると思うんですけど、それでいいかな? と思って。