INTERVIEW
e-ZUKA from GRANRODEO
2024.04.24UPDATE
2024年04月号掲載
Interviewer:フジジュン
-とはいえ、7曲それぞれがまったくアプローチの異なるギター・インスト・チューンになってて、僕は逆にe-ZUKAさんのマルチぶりに改めて驚きました。
いいところに落ち着いたかな? って感じはすごくしてます。本当はあと3曲くらいあったんですけど、7曲と決めた時点でそっちに集中したいんで、手をつけないようにしようと思って。暗いバラードとか、フュージョンっぽい曲とかあったんですけど、ちょっとやめて。7曲に絞ったことで、全部が違う感じの曲になって良かったと思います。
-KISHOWさんが歌うGRANRODEOの楽曲や、ゲームやアニメの提供曲とは違って、自身のために作った曲というところで制作時の意識って全然違いました?
以前にe-ZUKA名義で2枚(2009年リリースの『I got you under my skin』/2010年リリースの『咎狗の血 オリジナル・サウンドトラック「Light My Fire」』)出してるんですけど、それはサウンドトラックみたいなもので、曲なんだけどBGMなので。それとはまったく違ったインスト・アルバムとして作るとき、どういうのをやりたいかな? と思って、いろいろ聴いたんです。Andy Timmonsとか、Joe Satrianiとか、Steve Vaiとかいろいろ聴いて、"こういうのカッコいいな"と思いながらも、やっぱりギターでメロディを弾くのが合ってるんだろうなと思って。GRANRODEOも自分で作ってるわけだし、それをギターに置き換えたらレンジも広くなるので、いろんなメロディが作れるしと思って。そういう感じで作り始めましたね。
-いろいろ聴いた結果、自分の武器や持ち味が再確認できたというか。
そう。「Make It!」なんて最後にできたんですけど、2年前にはこういう曲はやらないつもりで作っていて。悩んで悩んで、開き直ったらこれができて。"やっぱり、キャッチーなこの路線のほうが俺には合ってるんだな"というのをすごく感じたし。「neo」はMICHAEL SCHENKER GROUPの「Captain Nemo」の影響を受けてたりして、誰か気づくかな? と思ったり。RUSHっぽくもあるんですけど、サビは勇者っぽいイメージで、勝利のテーマみたいな曲になってたりして。下世話な話になっちゃいますけど、"タイアップつかないかな?"みたいな気持ちでは作っていました(笑)。
-テーマを与えられたわけじゃないけど、一曲一曲にテーマを持って作って。
そうですね、"これは勝利したときに流れたらいいな"とか。だから、「Make It!」を作った以外は、悩んで作ったみたいなことはなかったかも知れないですね。「LET'S GET STARTED」もBメロとサビくらいはコロナの頃に作ってて、繰り返し聴いてるうちに中毒みたいになってきて、"いいな"と思って、ブラスもバンバン入れて。
-ブラス・アレンジしてってイメージも最初からあったんですか?
最初は考えてなかったんですけど、アルバム通して聴いたときに「HOPE for」にはストリングスを入れたいなと思ってて。その対比としてブラスも入れたいなと思って、「LET'S GET STARTED」にはブラスを入れました。僕ら世代だとTHE PHENIX HORNSって、EARTH, WIND & FIREの"パパパ、パパパパ♪"って血が出るんじゃないか? って、細かいホーンに憧れたんで、そんなのも浮かんできちゃって入れてみたり。「DD BLUES」もなかった曲だったんですけど、"(GRANRODEO)Road to G20th"のティーザーを作るってなったとき、画に合わせて作った1分半くらいの曲がベースになっていて。"DD"は"Double Decades"って意味で。"20th"という意味なんですが、そこをモチーフにしてブルースにするのもいいなと思って今作に収録しました。
-アルバム通して聴いたとき、渋いブルースで雰囲気変えるのがすごく効果的ですし。前半の壮大な楽曲から、「DD BLUES」~「HOPE for」のラストへの流れがすごくいいです。
「HOPE for」は、"ラララ"でサビのメロディを歌おうと思って、コロナ禍でモチーフを作ってたんですけど。アルバムを作るってことになって、この曲を入れようと思っていたら、1月に能登半島地震があったじゃないですか? そこで元気づけたいというか、何か希望を持たせたかったんです。それとその頃、顔と名前を知ってるようなファンの方から、"持病が悪化して、次のライヴに行けないかも知れない"って手紙を受け取ったり、僕も周りにもそういう方がわりと多くて。ちょっと希望が欲しいなと思ったとき、"もう全然、綺麗事でいいから希望を届けたいし、とにかく一緒にいてくれればいい"という気がすごくしたので、KISHOWにそういう話をして。最初に"HOPE for"というタイトルを付けて、歌詞を書いてもらったら、それがすごくハマって。
-テーマを考えて曲を作ったとお話ししてましたが、「HOPE for」に関してはテーマというより、伝えたいことや思いがあって作った曲だったんですね。
そうですね。歌詞もお互いのソロなので、KISHOWに頼む必要もないんですけど。どういう言葉を乗せるというよりも、誰が書いたか? が重要な気がして。だったら、聴いてくれるのは俺のファンやGRANRODEOのファンがほとんどなので言葉も強いし、想いも伝わるだろうと思って。ほとんど聴こえないと思いますけど、KISHOWにも歌ってもらってて。ファンの人にも歌ってほしいなと思ってYouTubeで募集して、約200名の音声データを送ってもらってミックスしたんです。
-みんなの想いを形にして、今作に収録できたことにすごく意味を感じます。自身が中心になってのレコーディングの様子はいかがでしたか?
GRANRODEOのときは、ギター、ドラム、ベースの3リズムを一緒に録っちゃうんですけど、今回はギターは作り込みたかったんで。自分で納得するまで、宅録で追い込んで録りました。それで宅録で録ったデータを合わせてもらって、気になったところはエディットしてという感じでしたね。メンバーは、ツアー([e-ZUKA LIVE TOUR 2024 「LET'S GET STARTED "GtHZ!"」])をやることが決まってたので、ツアー・メンバーを先に決めて。ドラムが原澤秀樹さん、ベースが瀧田イサムさん。あと、ギタリストの藤澤健至、キーボードにMao君に入ってもらって。マルチなプレイヤーが揃ってるから、"これ最強だな!"と思って。「neo」と「Make It!」は原澤さん、瀧田さんのコンビでやって。「LET'S GET STARTED」は今井義頼さんがドラム、二家本亮介さんがベースっていう、有形ランペイジってバンドのリズム隊とFIRE HORNS、あとはサックスの黒川和希さんにお願いして。二家本さんは、"ずっと真夜中でいいのに。"で見てて、めちゃくちゃカッコいいことを知ってたので。"ぜひ、ベース・ソロを弾いてほしい"ってお願いしました。