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LIVE REPORT

ASTERISM

2021.09.27 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 菅谷 透 Photo by 上坂和也

自粛期間中もYouTubeなどでの発信や楽曲制作を続け、その集大成としてコンセプチュアルな2ndアルバム『GUERNICA+a』を完成させた3ピース・マス・メタル・バンド ASTERISMが、アルバムのリリースを記念した単独公演"Exhibition"を福岡と東京で開催。そのうち9月27日に下北沢LIVEHOLICにて行われた東京公演は、約2年ぶりの東京でのライヴということもあって、チケットはソールド・アウトに。久しぶりのステージへの注目度が窺えた。

静謐なSEの中、拍手とともに緞帳が上がると、『GUERNICA+a』収録曲の「MUSIC」からライヴはスタートした。激ロック初登場時は"平均年齢15歳"という触れ込みだったASTERISMも、この春には最年少のHAL-CA(Gt)が高校を卒業。鮮やかなブルーの髪色が目を引く彼女を筆頭に、ミディアムヘアを振り乱して7弦ベースを操るMIYU、シックな装いでパワフルなビートを叩くMIOと、ひと回りもふた回りも成長した姿を観客へと見せつける。続くマス・メタル的なナンバー「Faced/Burned」では、トリッキーで無機的なリフから情感あふれるソロまで多彩な展開を見せるギターをリズム隊がしっかりと支える。軽い挨拶を挟んだあとは、スラッシーに爆走する「FULL THROTLLE」、縦ノリにバチバチとしたスラップ・ベースも加わった「Gunfire」で勢いをつけていく。3人とも曲中ではクールな表情を湛えて観客をアジテートしていたが、演奏が終わると観客の反応に顔をほころばせていて、久しぶりのライヴの空気感を存分に味わっているのが伝わってくる。MCでも"本当ライヴって最高だなって改めて思いました"(MIYU)と語り、拍手が巻き起こっていた。

小休止を挟んだあとは、『GUERNICA+a』から「Day26」、「Church」、「000」の3曲を立て続けに披露。いずれも音源ではポストプロダクションに創意工夫を凝らしたアルバムの方向性を反映し、ストリングスやピアノなどのフレーズが配されていたが、それがライヴでは3ピースの紡ぐアンサンブルで奏でられる。流麗なフレーズがより際立った「Day26」、7弦ベースのしなやかな高音と重厚な低音が美しい「Church」、テクニカルなビートが身体を揺らす「000」と、音源とはまた表情の違ったストイック且つ生々しいパフォーマンスで魅せていく。こうしたじっくりと聴かせる表現に説得力が増しているのも、自粛期間中に積み上げてきたもののひとつと言えるだろう。

会場が暗転し電子音のSEが流れると、ライヴは後半戦へ。センターに陣取ったHAL-CAとMIYUがフィードバック・ノイズから高速フレーズを放ち、「STARS」をプレイ。間髪入れずに「THEN&NOW」で重々しく緊迫感のある展開を聴かせると、ダークでプログレッシヴな雰囲気の「Museum of Death」へと繋げていく。そして、これまで溜めてきた負のエネルギーを解き放つかのように、美麗でパワフルな速弾きから導かれたのは「Light In The Darkness」。この暗黒の時代を生きる人々を照らし出すかの如く高らかに鳴らされたメロディはこの日のハイライトのひとつで、無数のメロイック・サインが掲げられていた。 MCではHAL-CAが、コロナ禍をライヴや楽曲制作がままならない"つらい時期ではあった"としつつ、バンドとして本当にやりたいことを3人で話し合い、自分たちを見つめ直せた期間でもあり、そうして積み上げてきた時間が今回のライヴに繋がったと語る。そしてこの日集まったファンに感謝を述べると、本編最後に「BLAZE」を披露。反撃の狼煙のように熱量を帯びた演奏に、観客も拳を突き上げ応えていた。

アンコールになると、メンバーが口々に"楽しかった"と笑い合う。HAL-CAとMIYUがお互いの髪型を褒め合う微笑ましいやりとり(HAL-CAいわく"高校を卒業したから染めたい放題")も挟みつつ、MIOは"この時間を共有できている貴重さ、大切さを感じました"とコメント。そしてHAL-CAは、コロナ禍の中で考えた新しいチャレンジのひとつとして新曲を用意してきた、と語り始める。"Risky"と名付けられたその曲はなんと、HAL-CAがメイン・ヴォーカル、MIYUとMIOがコーラスを務める初の歌モノだ。3人の演奏に、伸びやかで力強い歌声が加わったアンサンブルからは、決して生半可な想いで挑んだわけではないことが伝わってくる。間違いなく今後のASTERISMのターニング・ポイントとなる楽曲に、観客も後押しするように手を掲げていく。演奏を終えるとメンバーには惜しみない拍手が捧げられ、HAL-CAも"緊張した......"と安堵の表情を浮かべていた。ラストは"また必ずライヴで会いましょう!"の言葉とともに、エモーショナルな「Disperse」を演奏。これまでのバンドの歩みを総括し、さらにその先へと進む意志まで示した一夜は幕を閉じた。

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