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LIVE REPORT

KNOTFEST JAPAN 2014 -DAY2-

2014.11.16 @幕張メッセ

KORN
結論から言うと、これまでに観てきた数々のラウドロック・バンドのライヴの中で、ほぼ1番と言っても過言ではないくらい、あまりにも完璧なライヴだった。
KNOTFESTには、90年代のラウドロックを全盛へと導いたトップ3バンドが集結している。SLIPKNOT、LIMP BIZKIT、そしてKORN。前日のLIMP BIZKITとSLIPKNOTのライヴも素晴らしかったが、今夜のKORNのライヴは伝説になるのではないだろうか。オリジナル・ギタリストのBrian "Head" Welchが復帰し、初めての日本でのライヴとなることも大きなトピックだ。
KORNコールが鳴り響く中、ヴォーカルにエフェクト処理された音が響き、ド頭から「Twist」がプレイされた! この興奮たるや、なんとも筆舌に尽くしがたい。Jonathanのラップは原曲以上の迫力があるし、Fieldyのバキバキのベースと独特の動き、HeadとMunkyが紡ぐソリッドで生々しいギター、09年に加入したRayのドラムの強靭なドラミング......。身体が勝手に激しく動いてしまう。その後、「Here To Stay」、「Right Now」と、往年の大名曲が立て続けにプレイされ、オーディエンスの熱気は高まるばかりだ。飛び跳ね、叫び、頭を振り、ダイバーも続出。昨年リリースされた最新作『The Paradigm Shift』からの「Love & Meth」ではフロントの4人が激しく頭を振り、強靭なボトムと伸びやかでブレのないJonathanの歌声に圧倒される。「Falling Away From Me」は、今回のライヴで1番の盛り上がりだったのではないだろうか。底なしの絶望を綴ったこの曲は、世界的に大ヒットしたKORNの代表曲のひとつだ。数万人のファンとバンドが一体となって、へヴィなグルーヴが天に向かって上昇する。「Good God」も初期KORNファンにはたまらないナンバーで、格段に歌がうまくなったJonathanの静と動の表現は、胸に深く突き刺さる。「Hater」がプレイされたあと、Jonathanがバグパイプを持って登場! 祝祭のファンファーレが鳴り響き、「Shoots And Ladders~One」へ。この音の存在感に圧倒され、しばし動けなくなってまい、「Got The Life」が始まると涙腺が崩壊してしまった。裏打ちのハットで踊りやすい曲ではあるのだが、彼らが追及してきた憎悪、負の感情、そして"Now!"という1言。すべてが、デビューから20年経った今、高らかに、完璧に、大観衆の前で鳴らされているという事実に、涙が止まらなくなってしまったのだ。ノスタルジーではない。紛うきことなき現実だ。「Spike In My Veins」では、自信たっぷりに新曲をプレイすることの喜びをメンバーの表情から感じた。HeadとMunkyの紡ぐ独創的なフレーズが余韻を残す。そして、グラミー賞のベスト・ミュージック・ビデオを獲得した「Freak On A Leash」は原曲を超えるクオリティでプレイされ、ラストの「Blind」のイントロが始まると、オーディエンスからは歓声というより悲鳴のような声が大きく上がる。どこまでも重くグルーヴィなこの曲で、熱狂は最高潮に達し、ライヴは終了した。スティックやピックを投げている間も余韻が覚めず、メンバーもとても満足そうな笑顔。KORNは今、過去最高のコンディションなのではないだろうか? KORNと同じ時代を生きることができたこと、そして、ラウドロックが好きで本当に良かったと、幸福感でいっぱいの気持ちにさせてくれたメンバーに、心からの賞賛を!(KAORU)

【SET LIST】
Twist
Here To Stay
Right Now
Love & Meth
Falling Away From Me
Good God
Hater
Shoots And Ladders / One
Got The Life
Spike In My Veins
Freak On A Leash
Blind


SLIPKNOT
いよいよこれでKNOTFEST JAPAN 2014の2日間が終わる、そんな気持ちには一切ならなかった。最後のライヴを前にして興味はただひとつ。いったい全体SLIPKNOTが2日目にどんなライヴを見せるのか。期待と興奮を胸に、待ちわびたSLIPKNOTは昨日と同じく最新アルバム『5: The Gray Chapter』から「Sarcastrophe」でスタート! 見渡す限り人、人、人の幕張メッセが割れんばかりの歓声でバンドを迎える。バンドの初期衝動を保ちつつ、超速のブラスト・ビートを含む激ムズの構成となっているこの曲から始めるのは昨日と同じながら本当にズルい!
そのまま「The Heretic Anthem」「My Plague」と昨日とまったく同じセットリストで進行していく。気付いたらChrisがステージ上にいない!? と思っていたら最前列でファン・サービスをして歩いていた。局所的に異様な盛り上がりを見せ、Chrisが歩くのに合わせてオーディエンスの盛り上がりが移動していく様は、もはや宗教的な様相すら感じられるレベルだ。バンドのもうひとりのヤンチャ担当、ShawnはChrisに対してスティックを投げつけまくったり(しかもChrisはそれに気づかない(笑))、ハチャメチャなパフォーマンスを観せる。
数曲を除いて基本的に順番も同じセットだったのだが、観ているうちにどこが昨日と違うのかなんてもうどうでもいい瑣末なことに思えてきた。これだけのハイ・レベルな演奏と、全身全霊のパフォーマンスを前に、昨日観たライヴとの比較など一切の意味を持たない。それは会場を埋め尽くしたオーディエンスも同じだろう。一定割合を"2日間参加"のファンが占めているはずだが、昨日と同じ曲だろうが、昨日と同じMCだろうが、両手を挙げて応え、サビで大合唱し、ダイヴを繰り返し続けた。
2日目のここまでのセットが同じだったおかげで、自由気ままに見えるパフォーマンスは実はすべてが計算されているのだと思えてくる。もちろん同じ動きをするという意味ではなく、その場その場のインスピレーションを活かしているのだが、計算故に時間的、物理的制約が意外に厳しく、その中で様々なパフォーマンスを全身全霊でやっているのが透けて見えてくる気がした。ちなみに、ステージの裏では酸素ボンベが複数台用意されていたが、いずれもSLIPKNOTのメンバーがライヴ終了後に酸欠状態になることに備えたものとのことだった。まさに命を削ってパフォーマンスを毎回繰り広げているということになる。そんなバンドの熱量にも当てられて、会場は揺れんばかりに大盛り上がりを見せる。最前でライヴを観ていたが、目の前を通るダイヴを終えたオーディエンスが還流する列は終始切れることはなく、この日最高の盛り上がりが最初から最後まで途切れることなく続いた。
まだ名前も詳細も明かされていない新加入のドラムとベースは日本初お披露目だったが、素晴らしいパフォーマンスを観せ、ほとんど違和感ない轟音を繰り出していた。しかし、ドラムに関して言うと一部のタム回しなどではやはり前任のJoeyが神がかっていたことを思い知らされてしまったことは付記しておきたい。ただ、それも今だけなのではないかとも感じた。これだけの長さのセットをこれだけの期間でこのクオリティで観せられている時点ですでにとんでもないことをしでかしているのだ。
MCの中でCoreyはまた戻って来ると明言した。今回も大満足だったが、次はさらに成長し、もはや誰も見たことのない境地に達したSLIPKNOTをまた観せてくれることを信じている。SLIPKNOTの好演はもちろん、出演したバンドすべてが素晴らしいパフォーマンスを観せ、オーディエンスも後ろまで熱狂し、そしてセールス的にもすべてがソールド・アウトしたKNOTFEST JAPAN 2014は大成功に終わったと位置付けて何の問題もないだろう。会場内ではOZZFEST JAPAN 2015の開催決定がアナウンスされていたが、続いてKNOTFEST JAPANの第2回の開催にも期待したい。(米沢 彰)

【SET LIST】
XIX / Sarcastrophe
The Heretic Anthem
My Plague
The Devil in I
Psychosocial
The Negative One
Eeyore
Liberate
Frail Limb Nursery / Purity
Before I Forget
Duality
Left Behind
Spit It Out
Custer

-ENCORE-
(sic)
People=Shit
SURFACINGSurfacing