LIVE REPORT
KNOCK OUT MONKEY
2013.05.23 @渋谷O-West
Writer 沖 さやこ
今年の3月にリリースしたミニ・アルバム『reality & liberty』を引っ提げて全国13ヶ所を回る全国ツアーを開催したKNOCK OUT MONKEYが、Shibuya O-Westにてファイナルを迎えた。共演にはFLiPとLAST ALLIANCE。FLiPはアッパーな楽曲たちを全力でぶつける、パワフルなライヴを展開。女子ならではのタフネスを見せ付けたステージにフロアもたちまち魅了され、ラストではKOMファンやラスアラファンも彼女たちのアンサンブルに身を委ねていた。続いてのLAST ALLIANCEは、意外にもKOMと初共演とのこと。思わず口ずさみたくなるメロディはシンガロングを生み、"この曲でひとつになっちゃいましょう!"とMATSUMURAがリード・ヴォーカルを取る「KONOYUBITOMARE」で頂点に達した。
そしてこの日の主役、KNOCK OUT MONKEYの登場。「Beginning(skit)」をSEにメンバーが登場するとw-shun(Vo/Gt)がハンドマイクで"東京!"と叫び「Scream & Shout」へ。疾走感のあるパワフルなサウンドがフロアを挑発し、ダイヴの嵐。熱いハートがステージから性急にぶつかってくる。続いて「Blazin'」でw-shunが"東京、上!"と言うと、フロアはジャンプ。繊細なメロディを情熱的に彩る彼のヴォーカル、足元に広がる機材を巧みに使って繰り広げられるdEnkAのギター、クールだが沸騰寸前のエネルギーを抱えた亜太のベース、サウンドを後ろから押し出すナオミチのドラム。精魂が注ぎこまれた4人の音は刹那的な危うさと同時にユーモアがあり、何より聴いていて心底楽しい。目を見開き、観客の耳と心に言葉をひとつひとつ伝えるw-shun。「実りある日々」でフロアを見つめ何度も微笑み、そのやわらかい笑顔に胸が熱くなる。
ギターを持ったw-shunは"2012年はいろんな経験をさせてもらった"と語る。『reality & liberty』はその思いを込めた作品となった。"今日、それを集大成にしてみんなに見せたいから、怪我のないように支え合って楽しんでください"と続けると「Bring it back」「TODAY」。フロアを自分たちの音の中に取り込んでしまうような爽快感だ。dEnkAの丁寧なプレイは曲をより映えさせる。ミドル・テンポの「realize」ではバンドの気魄をダイレクトに感じ、目頭が熱くなる。とめどない感情を様々な角度から聴き手の心のど真ん中に突き刺すサウンドとヴォーカル。その彼らの鋭さと熱さ、優しさが、バンドから生まれる勢いを生んでいる気がした。"ステージの俺たちは昔も今も何も変わらず、がむしゃらに楽しんでいる""瞬間瞬間を爆発させるのがロックだと思う"――その言葉を体現するステージ。つんのめるような4人のエネルギーは、ドラマを現実に変えてしまうような奇跡を感じさせる。ラストは「BREAK」「HOPE」「JET」「Climber」と畳み掛け、テンションを切らさず突き抜けた。"(フロアもステージも)余力を残すようで嫌だ"との理由でアンコールは行わないのがバンドのポリシー。「Climber」でw-shunが天井を見上げ、指を高らかに上げた姿は、このバンドが更に上に行くことを決定づけるかの如くシンボリックだった。常に初心を胸に持つ彼らの躍進の勢いは、とどまることを知らない。
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