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LIVE REPORT

SCREAM OUT FEST 2013

2013.02.16 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer MAY-E

2月16日~17日の2日間に渡り、渋谷CLUB QUATTROにて開催されたSCREAM OUT FEST 2013(以下SOF)。4年目の開催となる今年は、カリフォリニア州のOF MICE & MENを筆頭に、ジョージア州アトランタのWOE,IS ME、ミシガン州ウォーレンのI SEE STARSら3組を海外から招聘。日本からは、初日にTHE TWISTED HARBOR TOWN、ASHLEY SCARED THE SKY、HER NAME IN BLOODが、2日目にARTEMA、NOISEMAKER、そしてEACH OF THE DAYSら計6バンドが出演した。
例年だと、招聘される海外バンドは主催するTRIPLE VISIONに所属するバンドに限られていて、SOFはいわばレーベル見本市的な役割を果たしていたのだが、今年は初めて、TRIPLE VISION以外のアーティストであるOF MICE & MENが招かれた。そんな新たな試みもあったSOF 2013だったが、両日ともに大盛況だった。

SOF2013初日は、THE TWISTED HARBOR TOWNのショウで開幕。昨年末にベーシストの交代劇などがあったが、一体感のあるパワフルなステージを披露してくれた。 "最高の夜にしましょう!"そう言い放ったSho(Vo)が早々に客席に突っ込むなど、持ち前の世界観を押し出した鬼気迫るパフォーマンスで、SOF2013の見事なスタートを切った。

続くASHLEY SCARED THE SKYは、2年連続での出場。開始早々、客席に巨大なモッシュ・ピットが発生し、会場のヴォルテージも一気に上昇。印象的だったのは、ピットの中に何人もの外国人客が混じっていたことだ。春にリリース予定の新曲「The Revival」もプレイされ、大きなリアクションがあったし、「The Prayer」での腕立て伏せなど彼らのライヴではお馴染みの光栄ももちろんお目見え。SOFの顔になりつつあるバンドである。
3年連続出場を果たしたHER NAME IN BLOODは、もはや海外勢にも引けを取らない風格である。硬質で肉厚なサウンドと地を這うような咆哮が一丸となって客席に襲いかかり、オーディエンスも負けずと拳を上げて応える。この日がバンドにとって今年初のライヴだったそうだが、小細工なしのハードコア・サウンドで客席に特大のモッシュ・ピットを作り上げた。3/23にリリースされるEP『THE BEAST』から新曲「GASOLINES」「WE REFUSE」が披露され、さらに、バンド初となるワンマン公演が4/14に決定したとアナウンスされた。2013年は、HNIBから目が離せない1年になりそうだ。


2日目のトップバッターを務めたのは、メジャー・デビューを果たし勢いに乗るARTEMAだ。意外にもSOF初出演の彼ら。 "がっつりダンスして暴れていきましょう!"とMEG(Vo)が煽り、メジャー・デビュー盤『ARTEMA』から話題沸騰中の新曲「Dancing Field」をプレイ。KIRA☆COREを体現するダイナミックなライヴで客席に大きなサークル・ピットを作り上げ、2日目の序盤を激しくもキャッチーに盛り上げた。

続いては、札幌出身のNOISEMAKER。メタルコアに特化したこのラインナップの中で、正統派のラウドロックを鳴らす彼らは異色といえるが、SOF2013にしっかりと爪あとを残していた。 "ジャンルなんて関係ない。ひとつの音楽として楽しんで!"と語り、最終的には外国人客にまでシンガロングさせてしまうという実力に感服。MONSTER ENERGY OUT BURN TOUR 2013への出演も決定している彼ら。今後ますます頭角を現してくるだろう。
日本勢のラストを飾るのは、名古屋のEACH OF THE DAYSだ。SOF初出演とはいえキャリアのあるバンドなだけあって、柔軟さのあるステージングで会場をたちまちヒート・アップさせた。Yoshimiのパーカッションがバンドの大きな特徴であるが、職人技のように繰り出されるYoshimiのプレイを、I SEE STARSのZach Johnson(Vo)が目を丸くして見ていたのも印象的だった。ラストの「Event Horizon」では観客を一斉に飛び上がらせ、日本勢の底力を見せつけた。

ナイスルッキンなメンバーとキャッチーなサウンドで女性ファンを多く掴んでいるのだろう、海外勢の一番手のI SEE STARSは、登場するなり黄色い歓声が上がっていた。クリーン担当のDevin Oliver(Vo)とスクリーム担当のZach Johnson(Vo)のツイン・ヴォーカルが、交互に観客を煽っては踊る。シンセを同期させているためか、ドラマーのAndrew Oliverは大忙しのようで、DJ用のヘッドフォンを付けてプレイしていた。さらに、曲間に四つ打ちのインストを混ぜ込んでいるので休む暇は一切なし。客席はモッシュも絶えなかったが、さながらダンス・パーティーのような盛り上がりだった。目下最新作『Digital Renegade』の曲を中心としたセットリストからも、彼らの最新作への自信が伺える。
2日目のショウでは照明やマイク、同期のトラブルがあったようだが、見事に盛り返していた。 "パーフェクトなライヴじゃなかったけど、ノリも良かったし、言葉が分からないのに皆一緒に歌ってくれて、本当に嬉しかったよ!"とZach。
ちなみにZachは、ドラゴンボールZやガンダムなど日本のアニメが大好きだそうで、日本に来ることが長年の夢だったそう。この来日で日本の文化に触れることができたことをとても喜んでいたし、年季の入った "孫悟空"と書かれたオレンジ色のラバーブレスをしていたので、本当に大好きなのだろう(笑)。

続いては、09年に結成したばかりのメタルコア・バンドWOE,IS ME。デビュー以来、気鋭のバンドとして注目されているが、メンバー・チェンジが絶えないバンドで、要となるツイン・ヴォーカリストでさえ実はオリジナル・メンバーではなかったりする。不安要素は少なからずあったが、彼らのライヴは抜群の一体感を放つ、超硬質なものだった。歌とスクリームのバランスが抜群に良く、客席ではシンガロングもモッシュもノン・ストップ。オリジナル曲はもちろんKe$haの「We R Who We R」でも会場を大きく揺らしていた。スクリーム担当のDoriano Magliano(Vo)のオーディエンスを睨み付ける鋭い眼力も凄かったが、 "中身は優しい男だよ!"(本人談)とのことだ。
さて、そのDorianoは、SOF2012で初来日を果たしたA SKYLIT DRIVEのメンバーから事前にSOFの話を聞いてきたそうだが、その期待を上回る楽しさだったようで、楽屋では "日本に住みたい!"とまで言っていた。言葉が通じないことや、本国と日本のオーディエンスのリアクションの違いには多少戸惑ったようだが、Hance Alligood(Vo)も "日本人はとても親切だし、敬意を感じるよね。またすぐに戻ってきたいよ!"とご満悦だった。

両日ともにトリを務めたのは、OF MICE & MENだ。ATTACK ATTACK!のオリジナル・メンバーだったAustin Carlile(Vo)を中心に、A STATIC LULLABYのPhil Manansala (Gt)、LOWER DEFINITIONのValentino Arteaga(Dr)、JAMIE'S ELSEWHEREのAaron Pauley(Ba/Vo)らで結成された、いわばスーパー・バンド。11年にRISE RECORDSよりリリースした2ndアルバム『The Flood』がUSビルボードの堂々28位にチャート・インするなど、名実共にシーンを筆頭するバンドである。
フロントマンのAustinはルックスこそイカツイが、楽屋では常に笑顔で人なつっこく、出演した日本勢とも積極的に交流を深めていた。初日は、自らカッティングしたHER NAME IN BLOODのTシャツを着てステージに立ったりも。全身に入ったTATTOOの中でも、左肩にあるハート(心臓)がとりわけ目立っていたが、2年前に心臓の手術をしたため、これを入れたそうだ(今も半分が人口心臓なのだとか)。そして首にある薔薇のTATTOOには母親のイニシャルを入れているという、家族思いの素敵なひとだった。
そんなAustin率いるOF MICE & MEN、まさに貫禄のステージだった。フロントに立つAustinの姿は神々しささえ感じられ、彼のスクリームはもちろん、Aaron(Ba/Vo)のクリーンもまた秀逸。演奏もパフォーマンスも、全てが圧倒的な迫力を放っていた。
終始クライマックスといえる盛り上がりをみせる中、2日目のラストにはTHE TWISTED HARBOR TOWN のSho(Vo)がAustin に呼ばれてステージへ。さらにはAustin が客席を走り抜け、後方から会場を煽ったかと思えば、なんとAaronまでもが客席にダイブ! 観客に塗れる2人に変わって、WOE,IS MEのDoriano (Vo)とHance(Vo)、Brian Medley(Ba)が登場し演奏するというビッグ・サプライズがあり、会場中が大喝采に包まれた。

大団円で幕を閉じたSOF2013。選りすぐりのバンドが出演した、"メタルコアの祭典"と呼ぶに相応しいイベントだった。来年の開催に心から期待したい。

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