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LIVE REPORT

ENTER SHIKARI

2012.02.23 @恵比寿LIQUIDROOM

Writer KAORU

ENTER SHIKARIライヴレポート07年のニュー・レイヴ・ブームの渦中でデビューし、シングル「Sorry,You Are Not A Winner」は、曲中のハンドクラップや、ブレイク時に観客が人間ピラミッドを作るという話題性もあり、瞬く間に大ブレイクした。しかし、その奇抜過ぎるサウンドをライヴで具現化する力が少し足りなかったため、もしかしたら一発屋で終わるのではないかという危惧もあったが...そんな不安は2ndアルバム『Common Dreads』を聴いた途端に吹き飛んだ。『Take To The Skies』とは一味違うエモーショナリズムとアグレッション、リズムの多彩さと勤勉さに度肝を抜かれた。ENTER SHIKARIの音楽的ポテンシャルの高さはここで証明され、10年にはA DAY TO REMEMBER、ESCAPE THE FATEと共に来日し、日本での初ライヴよりも格段に成長した姿を見せてくれた。

そして、3rdアルバム『A Flash Flood Of Colour』を引っ提げての今回の来日公演。アルバムの出来があまりにも素晴らしかった為、期待度は120%だ!オープニング・アクトに抜擢されたのは、激ロック読者で知らない人はいないだろう。我らがCROSSFAITH!曲数は短かったものの、新曲も披露し充実した内容のライヴだった。ラストはPRODIGYのカヴァー「Omen」でばっちりと盛り上げ、オープニング・アクトとしては異例のアンコールの声も上がっていた。

ENTER SHIKARIライヴレポート転換中は、PRODIGYやANDREW W.KやCOMEBACK KIDなどが流れていた。おそらくメンバーのiPodを流していたのだろう。そしてフロアからは熱いシカリ・コールが。「System...」のイントロが流れ、メンバーが登場!そのまま、アルバムの進行通り「Meltdowm」へ。RoryのギターとChrisのベースの先端からはLEDライトが光っており、舞台後方には『A Flash Flood Of Colour』のジャケット・モチーフになっている、逆三角のネオンが飾られている。フロアは一気にレイヴィーな雰囲気へ。そして、筆者がこの日一番楽しみにしていた「Gandhi Mate,Gandhi」へ。フロアはダビーでバウンシーな140BPMのダブステップで、ここぞとばかりに飛び跳ねまくり、会場全体を揺らす。そして曲後半の激重ブレイクダウンでは、モッシャーが暴れまくる。「Gandhi Mate,Gandhi」のブレイクダウンは、数多の流行エレクトロ・メタル・バンドがやっているようなブレイクダウンの何歩も先を行っている。ギターの残響を少なくして、打ち込みで爆発力を煽動している分キレが増して、より凶悪で先鋭的なものとなっているのだ。
そして、こんなに早い段階でやるとは意外だった「Sorry,You Are Not A Winner」へ。原曲よりもテンポが遅くなっており、キーも半音下がって、『A Flash Flood Of Colour』の雰囲気から浮かないようにアップデートされている。Rouはここぞとばかりにフロアへダイヴ!
「Destabilise」から「Mothership」への流れには鳥肌が立った。Chrisのクリーンなコーラスもとても綺麗で聴き惚れてしまう。そしてRouのヴォーカリストとしての成長が如実に現れていた感動的なバラード「Stalemate」までの流れは、今日のライヴの中でもとても印象に残る場面であった。

ENTER SHIKARIライヴレポートそして、もう1つのハイライトとなったのは「Quelle Surprise」だろう。この曲は音源よりもライヴで聴く方が断然パワフルでハードコアだ。Roryはギターを置いて踊りまくり、ダイナミックにダイブをかまし、Robの強靭なドラミングが炸裂する。
この後、やっと『Common Dreads』から選曲された「Juggernauts」、PVが話題の「Arguing With Thermomenters」を挟み、本編ラストには「Fanfare For The Concious Man」が披露される。
間髪入れずにアンコールの声が飛び交い、もちろんラストは「Sssnakepit」だ!ドラムンベースを基調としたこの曲で、フロアは大・大・大爆発!2ステップもモッシュもWODも交じり合うというカオス状態。やはりENTER SHIKARIの根底にあるのは、ハードコア精神なのだなぁと、改めて実感した。

ENTER SHIKARIライヴレポート圧倒的に先鋭化されたアルバム『A Flash Flood Of Colour』の楽曲の素晴らしさと、音源のクオリティを具現化する力の高さを見せ付け、自信たっぷりに"今"のENTER SHIKARIで勝負する心意気に、私は感動するしかなかった。
外音が少し小さく、フロアも満員とは言えない状態ではあったものの、この場にいた全てのファンは、ENTER SHIKARIが現代の音楽シーンにおいて、どれだけ唯一無二の存在であるかということを再確認したのではないだろうか。これからもENTER SHIKARIは、我々をいい意味で裏切りつつ、常に時代の最先端を行く素晴らしい作品を作り続けていくだろう。全く、目を離す隙を与えてくれないバンドだ。だからこそ、大好きなのだ!

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