DISC REVIEW
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これまでのヘヴィなアプローチはなく、だいぶポップなエレクトロ路線に振り切った前作『The Spark』(2017年)でファンを驚かせたENTER SHIKARIだが、今作はそこからさらにネクスト・ステップへと進んだ印象だ。"前作でちょっと変わったこといっぱいしたし、新作は原点回帰のヘヴィ路線に戻ってくるんじゃないか......"と期待したファンは多いだろう。しかし、彼らはいつだって時代の空気を嗅ぎ分けて最先端を走ってきたバンドだ。今作もそのスタンスが変わることはない。近年、EDMも一時期隆盛だったバキバキのサウンドから、丸みのあるオシャレなサウンドがトレンドになっているし、ENTER SHIKARIもしっかりとその流れに乗っている。しかしながら、ただオシャレなだけでなく、疾走感のあるテンポの楽曲やオルタナティヴ・ロックに寄った楽曲もあり、バンドとしての表現へのこだわりを強く感じられる作品だ。 山本 真由