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LIVE REPORT

THRASH DOMINATION09'

2009.09.20 @川崎 CLUB CITTA

Writer KAORU

HEATHEN

THRASH DOMINATION09'ライヴレポート まず1バンド目は、サンフランシスコ出身のパワーメタル・スラッシュメタル・バンドHEATHEN。『Breaking the Silence』(1987)、『Victims of Deception』(1991) の2枚のアルバムをリリース後、スラッシュ・メタル史より姿を消したがまさかの復活、そしてミキシングにJacob Hansenを迎えた新作のリリースも間近だというタイミングでの奇跡の初来日となった。 ヴォーカルのDavid Whiteは、マッチョなタンクトップ姿で登場。引き締まった身体を披露している。声もよく通っており、終始安定した歌を聴かせてくれた。Lee Altus他楽器隊も切れのいいパフォーマンスをで観客を盛り上げ、かつ若いバンドには出しえない熟練されたプレイを披露。正直、今回の「THRASH DOMINATION」に出演しているアクトの中でも、HEATHENは知名度的に高いというわけではないが、コアなファンが前方を逞しく盛り上げていた。ブレイクの部分では、オーディエンスからHEATHENコールが熱く沸き、「Hypnotized」で怒涛の盛り上がり。 途中、EXODUSのTomが飛び入り参加し、RAINBOWの「Kill The King」がプレイされるという場面もあり、ファンの期待を裏切らない、素晴らしいライヴをしてくれた。きっと、初めてHEATHENを見たという人の心にも、彼らの音楽への魂が届いたことだろう。

KREATOR

THRASH DOMINATION09' そして、SODOM、DESTRUCTIONと並んで、ジャーマン・スラッシュ・メタル三羽ガラスの1つであるKREATORの登場。最新作の『Hordes Of Chaos』は、TESTAMENTの最新作『Formation Of Damnation』と並んで、若いメタル・リスナーを「さすが!」と唸らせつつ、きちんと"今"の音が鳴らされている素晴らしいアルバムであった為、筆者はとても期待していた。この日のライヴでは、曲のテーマとリンクした映像を、ステージ後方にある大きなスクリーンで見せていたのが大きな特徴だ。ドイツという国柄らしい、ゴシックでグロテスクな映像の数々は興味深いものであり、バンドの音楽とライヴに対するただならぬ拘りを感じた。 ドラマーがJurgen 'Ventor' Reilではなかったため、彼らの音楽を知り尽くしている人にとっては少し物足りなさも感じた部分もあったようだが、サポート・ドラマーのMarco Minnemannも力強く緻密なプレイを披露していた。そして、今年43歳となるMiland 'Mille' Petrozza(Vo&Gt)のパフォーマンスはあまりに圧倒的で、歌はもちろん、MCにおいてもオーディエンスの心を鷲掴みにして放さなかった。全に"KREATORのMille像"を演じる、そのプロ根性とサービス精神。彼は生粋のエンターテイナーなのだろう。 「Betrayer」や「Preasure To Kill」では巨大なサークルが出来、「Flag Of Hate」の際には本物のフラッグが登場し、そこから「Tormentor」への流れが印象的で、素晴らしいものであった。個人的に、この日のベストアクトはと聞かれれば、迷いなくKREATORだと答えるだろう。

EXODUS

THRASH DOMINATION09'ライヴレポート そして、今回の全バンド目玉級のバンドの中でも、最も注目されたのがこのEXODUSのライヴだろう。80年代初頭から活躍し、2001年の再々結成以来活動を続けている伝説的なスラッシュメタルバンド。METALLICAのKirk Hammettがバンド創設者であることは、最早言うまでもないだろう。 現在のヴォーカリストであるRob Dukesは、メタルというよりも、ハードコア的なヴォーカリストだなという印象を受ける。しかし、今回のライヴでじっくり聴いたところ、バンドを"今のEXODUS"にアップデートすることに対して、見事に大きな一役を買っているのだということを再認識した。盛り上げ方も絶妙。そして、一番多くの視線を集めていたであろうGary Holt(Gt)の立ち姿には未だ独特のカリスマ性があり、彼の姿を見れただけで満足という人も沢山いたのではないだろうか。 ライヴがスタートしてすぐに、いまいちグルーヴ感の出ない音質だなと感じた為、少し残念な気持もあったが、2曲目にきた「Fabulous Disaster」で巨大なサークルや、渾身のヘッドバンキングを見た瞬間に、そんな気持ちが吹っ飛んだ。ザクザクとしたリフと、アグレッシヴなパフォーマンスでグイグイとオーディエンスを煽る姿を見て、こちらが興奮しないわけがない。「Toxic Waltz」までの全15曲、まるで大きな台風が来たかのようなパフォーマンスで、我々を圧倒してくれたEXODUSに感謝だ。

TESTAMENT

THRASH DOMINATION09' そして、「THRASH DOMINATION09」の大トリを飾るのは、二年連続の来日を果たしてくれた、我等がTESTAMENTだ。言わずと知れた、ベイエリアクランチの大重鎮。前述したように、最新作の『Formation Of Damnation』は、TRIVIUMなどの新世代スラッシュメタルバンドが好きな若者にも胸を張ってオススメ出来るモダンさを併せ持った素晴らしい作品だった。 ヴォーカルのChuck Billy が登場した瞬間、その身体の大きさにびっくりした。しかし、その身体の大きさに似合わない優しさがひしひしと伝わる場面がMC中など何度もあり、彼に好感を抱かなかった人はいないだろう。ひたすらアグレッシヴに攻める曲から、ミディアム・テンポのものまで、巧みな演奏力を武器に、一つのライヴがまるで一つの物語に見えるかのような流麗な流れが確実にあった。この流麗さは、巧みな表現力を持つバンドだけが出せるもの。全19曲のライヴであったが、中だるみすることなく完全にオーディエンスを魅了した彼らに脱帽。「More Than Meets Eye」では、その場にいた多くの人が「オーオーオーオーオオー」と拳を振り挙げており、ちゃんと最新作が浸透しているのだということを確信し、とても嬉しい気持ちになった。

全ての曲が終了した後、Chuckが「Heavy Metal Is Forever!!!」と、熱いメッセージを叫んで終焉したことが、何よりも印象的だった。

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