INTERVIEW
New Year Rock Festival
2025.12.12UPDATE
2025年12月号掲載
-その頃は表現者同士という感じではないですよね?
Zeebra:チーマーです、ただのだめなやつら(笑)。HIRØ君はすっごい怖い先輩で。
HIRØ:Zeebraは昔からブラック・ミュージック好きだったよね? あの頃はまだクラブじゃなくて、ディスコの時代で。
Zeebra:そう。ディスコでかかる、自分たちっぽい曲が楽しくてしょうがなかった。
HIRØ:あの頃はお金もないんだけど、ディスコってところはフリードリンク&フリーフードで、飲み物も食べ物もずっとあるっていう楽園みたいなところで。
Zeebra:子どものくせに、たまに店員さんとかにタダで入れてもらったりして。タダ酒タダ食いして、最高でしたよ。
HIRØ:その後、僕も海外住んでたり、彼も海外住んでたり、みんないろいろあったけど、今もこうして付き合いがあって。
Zeebra:我々だけじゃなくて、当時から今も付き合ってる連中が何人かいて。そこの延長線上にもなんかあるし、そいつらに対する責任みたいなのも感じてるし。やつらにとっては我々がこういうことをずっとやってるのは、たぶん誇りに感じてくれてると思う。
-お2人の間で特に覚えてるエピソードとか、2人の距離をグッと縮めた出来事って何か覚えていますか?
Zeebra:いっぱいあるけど、言えないことばっかりですよ(笑)。僕にとっては先輩だったんで、最初はHIRØ君のチームの同世代や後輩と仲良くなるところから始まったんですが......HIRØ君はあのときからヒーローだったんですよ、完全に。
HIRØ:Zeebraはちっちゃいときからストリートワイズというか、14歳くらいから1人だったもんね? あまり同級生とかと一緒にいなかったよね?
Zeebra:俺の年は1人もいなくて、1個上とつるんでたり、2個上とつるんだりしてて。
HIRØ:気が付いたら1個上が年下みたいな動きしてたり、Zeebraはどんどん飛び級していくんですよ。不思議だったよね?(笑)
Zeebra:俺はとにかく先輩方にかわいがっていただけるタイプだったんだと思います。それでHIRØ君と仲良くなるんだけど、アメリカに行って帰ってきたら、身体も倍くらいの大きさになってて。"ハルク・ホーガン? いや、HIRØ君だ"っていうくらいで(笑)。それからまたたまに会うようになってみたいな。そのとき、俺もちょうどブレイクしてたくらいで、1999年とか2000年くらいの頃だったと思います。
-HIRØさんはそのとき、Zeebraさんの活躍をご存知だったんですか?
HIRØ:キングギドラは知ってたんですけど、なにせアメリカにいたんで。で、日本に帰ってきたのが、『THE RHYME ANIMAL』(1998年リリースの1stアルバム)を出した頃だったのかな?
Zeebra:そうだね。覚えてるのが、「Grateful Days」(1999年リリースのDragon Ashのシングル)が出たくらいの頃で。HIRØ君に久しぶりに再会したときに「Grateful Days」のヴァースを耳元でラップしたのを覚えてるんだよ。あの曲は当時、一緒に遊んできた遊び場の仲間を歌ってるような歌詞だったから聴かせたくて。
-ゾクゾクする話です。まさに同じ時代、同じ景色を見てきた同士ですからね。
HIRØ:ただ僕、アメリカにいるときはロックとかハードコア聴いてたんで、日本のヒップホップをちょっと舐めてた時期があったんですよ。でもそれをZeebraがやってて、すごいカッコいいじゃないですか? だから、そこからすごい影響を受けましたね。『BASED ON A TRUE STORY』(2000年リリースの2ndアルバム)なんて、日本語でラップするという次元を超えて、Zeebraというアーティストのすごいものを見た気がして。
Zeebra:俺はそれこそ中学、高校と大きくなっていくと、自分の世界ってのがどんどん広がっていくじゃないですか! で、我々が知り合った渋谷だ六本木だって世界も、そのときの自分たちにしてみれば、それなりに広い世界だったのかもしれないけど、またそこから一歩外に出ると、全然狭い世界だった気もして。でも、そこにしかなかったものというのが、自分はすごく誇りになるバックグラウンドで、そのバックグラウンドでどれだけ今の世の中で一緒に戦えるやつがいるのかな? みたいな感じでいたところに、アメリカからスーパーすごいのが帰って来て、"うわ、来た! HIRØ君、完璧じゃん!!"みたいな(笑)。とにかく若い頃から、俺たちが好きなもので日本を染めたいみたいな気持ちしかなかったので。"一緒に染めてくれる人がいた!"みたいな感じで嬉しくなりました。
-そういうお話を聞くと、今"NYRF"を一緒に作って新しい物語を紡いでというのが、必然のようにも思えますし。"好きなもので世の中を変えたい"っていう、そのときの気持ちの延長線上でやれている気がしますね。
Zeebra:きっとそうだと思いますし、たぶん先輩たちもそうだったんですよ。だから、それを見せてもらったことによって、俺も"これでいいんだ"って思えたし、先輩たちのやってきたことの中からいっぱい勉強させてもらうことがあって。"NYRF"を継ぐということだけじゃなくて、そこにある意志とか、そういうものまで全部継いでるつもりというか。この年齢になるとラッパーなんて、ほぼ年下じゃないですか? 下手すりゃ自分の子どもより下みたいなのもいっぱいいるんですけど、その中には見ていて"お、こいついいな"ってやつもいるわけで。僕等もそういうふうに思えてもらえてたなら嬉しいし、次の世代の"こいついいな"に繋げる俺たちでいたいなと思う。
-今HIRØさんとZeebraさんを見て、同じように思ってる若者もいるかもしれないし、そういう人たちに伝統を繋いでいってほしいという気持ちもありますね。では、最後に"NYRF"を心待ちにしているファン、そしてまだ"NYRF"を体感できていない人へのメッセージをください。
HIRØ:さっき僕が言った、"愛をシェアしたい"という言葉に尽きるんですけど。言い方を変えると、"怖いもの見たさでいいから、1回覗きにおいでよ"って伝えたいですね。渋谷だからアクセスもいいし、今年は早い時間からやってるし、電車があるうちに帰れるし。タトゥーとかルックスとか、悪そうやつもいっぱいいるかもしれないですけど、みんな真面目な不良というか。純粋なセンチメンタリズムを持ってる人ばかりで。みんなが思っているより全然安全なので、大丈夫です!
Zeebra:あはは、イベントの告知で"大丈夫です"って聞いたことないよ(笑)。でも、ほんとにバックステージは裕也さんもカバーした頭脳警察の歌詞じゃないですけど、"俺のまわりは漫画だから"という感じなので。その楽しさや喜怒哀楽を大晦日から元旦の節目にね、みんなで感じていただいて。また新しい1年を一緒に始めましょう。
HIRØ:そう、53年もやってると先輩たちがお亡くなりになったりとか、壊れていったり消えていったりするものはいっぱいあると思うんですけど。歌っていうのは変わらなかったりするので。年越しの瞬間はPANTA(頭脳警察/Vo)さんが作って、裕也さんが歌ってきた「コミック雑誌なんか要らない」をずっと歌い継いでいて。先輩たちはいないですけど、俺たちが歌い継いで、きっとこの歌は歌い継がれていくんだろうと思っています。Zeebraが言ってたように、本当に漫画みたいな楽屋裏の喜怒哀楽を歌って、ラップが入ったり、16小節キックしたりとか、いろんなことをやってる現代版の「コミック雑誌なんか要らない」になっていて。
Zeebra:途中に裕也さんがやってた振りとかあるんで、一緒にやってもらってね。
HIRØ:そう、それを変わらずやり続けてるのも伝統だよね。歌は永遠に歌い継がれていくものなので。「コミック雑誌なんか要らない」を覚えて来てもらうのも、1つの楽しみかもしれないですね。
EVENT INFORMATION
"53rd NEW YEAR ROCK FESTIVAL 2025-2026"
12月31日(水)渋谷ストリームホール
OPEN 15:00 / START 16:00 / CLOSE 25:00(予定)※再入場可
■出演アーティスト
Zeebra×KenKen×TAIJI SATO×DUTTCH / KYONO BAND / Mountainman / DECATIⓃ(仲野 茂、コバン)/ J-REXXX / CALUSARI / 呂布カルマ / SIS / 武井勇輝 / 自爆 / 電撃ネットワーク / 湾岸の羊~Sheep living on the edge~
[チケット]
オールスタンディング 前売 ¥9,900 / 当日 ¥11,000(税込)
■チケット販売中
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公式HP











































