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INTERVIEW

BURY TOMORROW

2025.05.15UPDATE

BURY TOMORROW

Member:Daniel Winter-Bates(Vo)

Interviewer: 菅谷 透 Translator:安江 幸子

-第2弾シングルの「What If I Burn」は、エモーショナルなサウンドが歌詞とリンクした、心の叫びのような楽曲になっています。

そうだね。このアルバムの中でたぶん一番エモーショナルなんじゃないかな。自分を見失って途方に暮れたときの感情を歌っている。俺はかねてから自分のメンタルヘルスを曲で取り上げてきたし、その流れの一環であるのは間違いないね。俺はLA DISPUTEというバンドが好きで、オールタイム・フェイヴァリットの一部に入っている。俺のタトゥーの中で唯一自分の曲の歌詞じゃないのが、LA DISPUTEの「King Park」という曲なんだ。俺はああいうポエトリーが大好きで、歌詞からロケーションとかのイメージを思い浮かべるんだよ。
ちなみに「What If I Burn」の歌詞はアルバムのアートワークを強く反映しているんだけど、俺があの歌詞を書いたのはアートワークやMVを作るよりもずっと前のことだったんだ。水がドアの隙間から入り込んでくるとか、時空を漂っているとか、そういう要素は曲からインスピレーションを得ている。(アートワークとMVを担当した)Zak(Pinchin)が素晴らしい仕事をしてくれたんだ。それから、俺が歌を入れたいと思ったのがあの曲だったね。前から歌のパートはやってみたいと思っていたし、一番エモーショナルな曲で自分が歌うことになったんだ。今回一番気に入っている曲の1つでもある。今まで書いた曲の中でも特に気に入っている1つだし、今まで書いた中でも指折りにいい部分が入っていると思うから、愛着がすごくあるんだ。

-タトゥーと言えばあなたは"妖怪"という漢字のタトゥーを入れましたね。「Yōkai」という曲まで作ってしまいましたが、この言葉のどのような部分が気に入ったのでしょうか?

俺は昔から民族的なものやいろんな文化や宗教に興味があってね。物事の様々な解釈を読んでいると、我を忘れるくらい夢中になってしまうんだ。それが宗教的な視点からの解釈なのか、あるいは文化的な視点なのか......なんて思いを馳せる。そんな感じで、ファントム(幽霊や幻)やスピリット(幽霊、精霊、お化け)を取り上げた曲を書きたいとは前から思っていたんだ。
ここでもライト&ダーク、善&悪みたいなコンセプトが出てくるんだけど、スピリットにはあまり良くないやつもいれば(笑)、助けてくれたり支えてくれたりするやつもいる。この曲はアルバムの中でも一番ヘヴィになったという確信があったんだ。俺たち史上でも指折りだったと思う。で、そのイメージを曲の中で想起させたいと思ったんだ。ファントムやスピリットに苦しめられているような、と同時に、これが人生だと受け入れるイメージも欲しいと思った。俺は全く宗教的な人間ではないけど、そういう意味ではスピリチュアルな人間なんだ。世の中にはどうにも説明できないものってあると思うしね。それをなんらかの形で表現できればと思ったんだ。
それから"Yōkai"は日本語で書いても英語で書いても美しい言葉だと思う。妖怪の起源へのリスペクトの意味も込めて、英語だけでは書きたくなかったんだ。妖怪ファミリー......ファミリーというのは違うか(笑)。俺のスピリチュアルな世界に訴え掛けてきた、いろんな妖怪の世界に入り込みたいと思ったんだ。ちなみに"妖怪"のタトゥーは日本に行く直前に入れたものなんだ。東京の空港に着いたらファンが待っていてくれて、みんな"妖怪!"、"妖怪!"と俺に向かって叫んでいたよ。あれは最高だったね(笑)! つまり日本語ネイティヴにも分かるちゃんとしたタトゥーを入れたってことだから、安心したよ(笑)。

-(笑)たまに間違った日本語のタトゥーを入れている人もいますからね。

ああ(笑)。あと、このタトゥーは僕の大好きな国、日本へのリスペクトの意味も込めているんだ。俺に言わせれば最高の場所だね。自分が外国語で何か書くとしたら、それは間違いなく日本への敬意を表したものになる。それくらい大好きな場所なんだ。

-ありがとうございます。「Found No Throne」はクリーン・ヴォーカルを主体としたアコースティックな楽曲で、終始アンビエントで優美な響きのある、これまでとは異なる側面を打ち出した楽曲ですね。

「Majesty」へのラヴ・レターみたいな曲でもあるね。『The Seventh Sun』に入ってたあの曲で初めてああいうメロディックなものを作ったから。それでいて、必ずしもスクリームにクレッシェンドしないものを作りたいと思ったんだ。バラード的な曲を追求した曲だね。TEARS FOR FEARS的なヴァイブもあるし、ちょっと"ドニー・ダーコ"のサントラみたいな感じでもある。書き方はちょっとNINE INCH NAILS的かな。ちょっとエレクトロニックな部分もあって、伝統的なアコースティック・ソングとはちょっと違うんだ。いつかはライヴでもやってみたいなんてTomと話しているよ。
この曲は一歩下がることのできるクールな瞬間を与えてくれているね。俺はアルバムの中にメロディックな曲があるのが好きなんだ。ヘヴィさをそこで一旦ぶち壊すことができるからね。もしずっとヘヴィなものばかりだったらトゥーマッチだし、どこかの時点でそこから一旦離れるものが欲しかったんだ。あそこでリセットして、また続きに戻っていく感じだね。

-そこから一番ヘヴィな「Yōkai」に入っていくという。

それ(笑)!

-「Let Go」では高速のヴォーカルをフィーチャーしており、歌詞では実体験をもとにしているのではないかと感じたのですが、この曲についても教えていただけますか?

あの曲はTomが書いた部分が結構あるんだ。コーラスとか。喪失について、また喪失の経験について書いている。誰もが経験すること......残念ながら誰もが誰かを失うことになるからね。その事実をある程度受け入れることについても触れているし、喪失することへの恐怖についても触れている。
俺は人間関係について書いたんだ。パートナー同士の関係だね。それは友達関係かもしれないし、仕事関係かもしれない。生きていると、相手との関係や環境が自分のためにならないことがある。それは中毒的なものだから、時には断ち切らないといけないんだ。続けたほうがいいとか、相手をがっかりさせたくないとか思ってしまって、惰性で続けてしまうことが多いからね。でもそういう関係や環境を断ち切るのが、実は優しさだって場合もあるんだ。ということで俺のヴァースは間違いなく実体験から来ている。自分を犠牲にして友情とかの人間関係を維持する状況から、自分を解き放っているんだ。

-この曲を書くことで自分自身のセラピーになったのでは。

そうだね。すごく速い曲だし、他にもセラピー的だった曲はあるけど。ともあれとてもクールな曲だよ。まだライヴではやったことがなくて、今度アメリカに行くときからやろうと思っているんだ。

-ELECTRIC CALLBOYとのヨーロッパ・ツアー等が決定しているようですね。共演してみたいアーティストはいますか? あるいは主催フェスをやるとしたらどんなアーティストを呼びたい?

そうだな......ビッグなバンドとはぜひやってみたいね。SLIPKNOTとか。子供の頃から聴いてきたし大好きなんだ。まぁメタル・バンドだったらみんなSLIPKNOTとやりたいって言うだろうけど(笑)。あとはSPIRITBOXとかSLEEP TOKENとか、同世代にもいろいろいるよね。いろんな機会を得て、新しいファンの前でプレイしてみたいな。つまるところ、これが俺の愛する生業だからね。同時にビジネスでもあるから、あらゆる形で人の心の琴線に触れたいと思うだけでなくて、できるだけ多くの人に聴いてもらいたいというのもあるんだ。
だからELECTRIC CALLBOYに一緒に北アメリカでツアーしようと声を掛けられたときも、"もちろん! ノーなんてあり得ない"って言ったよ。今度はイギリスやヨーロッパを一緒に回れることになったんだ。他にもPARKWAY DRIVEなんかは同世代だから、一緒にやるのも理に適っているだろうね。今挙げた人たちはみんな大歓迎だよ! 一緒にやってくれ(笑)!

-日本にもまた近いうちに戻ってきてほしいですね。今度はショーも増やして。

そうだね。絶対に行きたい。と言っても現時点で何か計画されているわけじゃないけど、ヘッドラインで行きたいな。あるいはもっとビッグなバンドのサポートとしてでもぜひ。とにかく回数が欲しいんだ。少なくとも1週間くらい、あるいはもっと長く。東京を何日かやって、名古屋や大阪みたいな別の地方も少し回りたい。そうなったらクールだよね。久しぶりになるし、みんなにわざわざ遠くから東京まで来てくれって言うのも申し訳ないし(笑)。それに、俺たち側からしても、EdやTomにとっては東京とは違う街を体験してもらういい機会になるからね。

-最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

俺たちの音楽を聴いてくれる人、新作を聴きたいと思ってくれる人に大感謝だよ。前回東京のショーに来てくれた人もありがとう。あれは俺たち全員にとって本当に大きな経験になった。素晴らしかったよ。それから激ロックのみんなみたいに音楽をプロモートしてくれる人たち......そして世界中から日本に集結してくれたファンたち。みんながいるといないじゃ大違いだ。みんなには永遠に感謝している。激ロックみたいな媒体が音楽をサポートして、文化等のあらゆる違いを受け入れてくれていることが本当にありがたいんだ。子供の頃から日本に行くことを夢見ていた俺が、まさか5回も行くことになるとはね。それに『The Seventh Sun』の前に解散の危機もあったのに、それを乗り越えて、俺たちは日本に行くことができた。それもみんなのおかげなんだ。みんな、本当にありがとう!