FEATURE
BURY TOMORROW
2018.09.21UPDATE
2018年09月号掲載
Writer 山本 真由
BRING ME THE HORIZONやBULLET FOR MY VALENTINE、ASKING ALEXANDRIAと並び、UKのヘヴィ・ロック・シーンを代表するバンドとなっているBURY TOMORROW。Crossfaithとは旧知の仲で、来日時の共演はもちろん、一緒にUKツアーを行っていたことでも知られる彼らは、UK国内だけでなくアメリカや日本でも新作が出るたびに注目される存在だ。そして今年、そんな彼らが約2年半ぶりのニュー・アルバム『Black Flame』を完成させた。本国ではすでに7月にリリース済みだが、日本でもボーナス・トラックを収録し、9月26日にリリースされることとなった。プロデューサーに、彼らがファンと公言するUKを代表するプログレッシヴ・メタル・バンド、SIKTHのメンバーでもあるDan Weller(Gt)を迎え、レコーディングされた今作。これまで2~3年おきにコンスタントにアルバムをリリースし、どのアルバムも派手さはないが、ブルータリティとメロディックな要素のバランスが取れた、ブレることない良質な作品を届けてきた彼ららしく、今回も路線を外れずに王道を突き進んだ感のある作品だ。
まず、彼らの持ち味が余すところなく発揮されたTrack.1の「No Less Violent」を聴けば、この作品の世界観に引き込まれていくはずだ。妥協ないヘヴィネスを殺さない程度のエモーショナルなメロディ。このバランス感が、まさにBURY TOMORROWだ。その他にも、変幻自在なギター・リフの中にキャッチーさが光る「My Revenge」や、壮大なスケール感のある「Overcast」など、多彩な楽曲を揃えつつも、イントロやアウトロ、インタールードなどを挟むことなく、密度の濃い10曲でギッチリやりたいことを詰め込んだ感じも潔くていい。BURY TOMORROWの代名詞でもある、Daniel Winter-Bates(Vo)とJason Cameron(Vo/Gt)によるシャウト&クリーンのツイン・ヴォーカルの振れ幅もあって、1曲の中にも緩急の波があるのだが、アルバム全体を通して聴くと、手数の多いドラムで畳み掛けるような激しい楽曲や、メロディアスなギター・フレーズで聴かせる楽曲など、様々な切り口でそれぞれのパートが際立つ楽曲が並んでいる。すでに公開されている、「Black Flame」、「Knife Of Gold」、「The Age」のミュージック・ビデオを観ると、何やら一貫したストーリーのようなものも見えてくるので、曲順の流れも、ストーリーに沿って聴きやすいように構築されているのかもしれない。そういうリスナーを飽きさせないアルバム構成ができるのも、各パートがそれぞれ実力に裏打ちされた武器をたくさん持っているからだ。
2006年、UKはイングランド南岸のハンプシャー州で結成し、それからギターのメンバー・チェンジが一度あったものの、ほぼ変わらぬラインナップで活動を続けてきた彼ら。現ラインナップで3作目、トータル5作目となるアルバムでもあり、今作はそんな彼らの貫いてきたポスト・ハードコア・サウンドの哲学が見える作品でもある。エレクトロ・サウンドを取り入れたり、ラップやR&Bのグルーヴ感を取り入れたり、様々に進化するポスト・ハードコア・バンドたちが数多くいるなか、愚直にクサいくらいの王道ポスト・ハードコア・サウンドで勝負し続け、それでいて常に聴く者を飽きさせない、生々しく勢いのあるサウンドを追求している彼らの存在は、清々しくもありフレッシュだ。今作は、そんなBURY TOMORROWのファンや、KILLSWITCH ENGAGEなどのメロディック/ポスト・ハードコアが好きなリスナーはもちろん、ライヴで盛り上がれる激しさも、感動できるエモーショナルな歌心も同時に求める、欲張りなすべてのヘヴィ・ロック・ファンを満足させることだろう。
▼リリース情報
BURY TOMORROW
ニュー・アルバム
『Black Flame』
2018.09.26 ON SALE!!
SICP-5839/¥2,400(税別)
[Sony Music Japan International]
amazon TOWER RECORDS HMV
※海外盤は発売中
1. No Less Violent
2. Adrenaline
3. Black Flame
4. My Revenge
5. More Than Mortal
6. Knife Of Gold
7. The Age
8. Stormbringer
9. Overcast
10. Peacekeeper
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