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INTERVIEW

MASSCLOWZ

2024.07.22UPDATE

MASSCLOWZ

Member:Sak(Vo) Rod(Gt) Naoya(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

同世代のバンドが台頭して熱い活動をしていることに、感化されることは多かった


-そこで新たに加入したのが棟梁-Toryo-(Gt)さんですね。どういうタイミングで決まったんですか。

Naoya:加入の発表は今年に入ってからだったんですけど、昨年の11月にはサポート・メンバーで入ってくれていて。もともと、MASSCLOWZと対バンをしていたバンドのメンバーなんですよね。そのバンドは解散してしまったんですけど。

Sak:棟梁-Toryo-は、MASSCLOWZの前のメンバーが脱退すると発表した瞬間に、すぐ連絡をくれたんですよね。"単刀直入にやりたいです"って。彼の前のバンドとも仲が良かったし、そのバンドと共催で企画("MASSCLOWZ & Cryptograph pre.「MONSTERS vs CREATURES」")をやったりもしていたので。お互いどういうスタイルでどういう人間かもわかっているやつが入ってきた感じだったんです。

-前作からの激動の1年があり......でも考えてみればそれ以前はコロナ禍の長い時間もあったわけで、バンドにとってはいろんな想いがあった数年間ですね。

Sak:今の20代後半のバンドはみんなそれを経験してるんじゃないかな、ここからやっていくぞっていうときにツアーに行けなくなったり。僕らもちょうど2020年の秋くらいから、地方にもツアーをしにいくぜって思っていろんなライヴハウスにツアーの計画の相談をしていたら、それがコロナ禍でパッと散ってしまったので。そのときからのフラストレーションを個人的には歌詞に乗せたところもありますね。

-それが思い切りぶつけられた曲にもなりましたね。MASSCLOWZとしては2018年の結成ですから、まさにここからというところでコロナ禍となった。

Sak:激動でしたね。結成当初、ドラムのLozyという兄ちゃんみたいな存在の人がいたんですけど、その人が2018年の11月に亡くなってしまって。そこから1年くらい何も動けない期間があり、2019年にライヴ活動をやるようになって、2020年にはツアーをやっていこうとなった矢先でのコロナ禍で。2年くらいは満足なライヴができず、やっと動けるようになって前回のシングルもリリースしたんですけど、それでもメンバー・チェンジが立て続けに起こったりして。

-いろんな出来事がありながらそれでも前進してきたわけですが、バンドの意識として変化したのはどんなところだと思いますか。

Sak:動き方をちゃんと考えるようになりましたね。みんな、自発的にこうやろうとか、計画を立てるとかができないことがめちゃめちゃ多かったので。それをしっかり考えながら、どうリスナーにアプローチするかという感じになっています。商業的になりすぎず、かっこいいことはかっこいいというのはブレずに。楽しいことをやるために前もって考えようという。それで言ったら、1年後だけじゃなく、2年後、3年後を考えて動くようにはなってきましたね。

-そこで自分たちのバンドの武器もわかってきたのはありますか。

Sak:よく言われるのは、熱さですかね。

Rod:(笑)

Sak:熱さというか、荒々しさというか。お客さんはそれを好んでライヴに来てくれていたんですけど、自分たちではそれが正解なのかなって疑心暗鬼な感じもちょっとあったりして。スタイリッシュにやったほうがいいのかな? とか思った時期もありました。

-スタイリッシュにやることも試したり?

Sak:例えば、MCの尺をちゃんと決めてやったほうがいいんじゃないかとか。

Naoya:なんならMCはなしとか、曲だけで聴かせる世界観を作ろうとかね。

Sak:でもやっぱりライヴで心拍数が上がると、絶対喋っちゃって(笑)。あまり喋らないって決めていたとしても、ちょっと喋るわってメンバーを止めてMCをして、時間オーバーしそうになったりとか。

-想いが溢れているのを止めてしまうほうが、リアルじゃないですしね。

Naoya:なので武器ということではライヴ力というか、パフォーマンスを含めて熱量っていうところになりますかね。

Sak:決めごとみたいな感じでライヴをしちゃったら、それはフェイクだなって思うので。なので、途中からそういうことを考えすぎるのはやめてライヴをしていますね。曲にもそこは出ていると思います。自分の好きなバックボーンをちゃんと出すという。

-Rodさんはそういうバンド感、ライヴでのテンション感は曲を作るときに念頭にある感じですか。

Rod:ありますね。"ここではモッシュ・ピット作ってほしいよね"みたいなこととかを想像しながら作ってます。ライヴは想定しているかもしれない。そうしないとお客さんが置いてけぼりになっちゃうのもあるかなって。自分たちだけが楽しくてもしょうがないから。

Sak:ちょうどいい塩梅でお客さんが求めているものも入れつつという感じで。

-そういうなかで、前シングル「DAYBREAK」はどういう流れでエモーショナルに歌を聴かせる、ゆったりとした曲になっていったんですか。

Sak:それで言うと、あのときは自分たち本位なところは強かったのかな。そういう気分だったくらいの感じで(笑)。悲観的になったりするところもあったし、哀愁漂わせるような歌詞もあったり。それだったら曲調は激しくないよなっていうことで、デモがいくつかある中で僕が個人的にミドル・テンポの曲やりたい、聴かせる曲をやりたいって思いました。今回はしっかり、MASSCLOWZの激しいスタイルが好きでいてくれる人に向けて、自分たちの好きなところも昇華して、という感じで作っていますね。

-「DAYBREAK」の反響はどうだったんですか。

Naoya:いい意味で裏切られた的な感想はありましたね。こういうのもできるんだっていう。実際ライヴで観たらこれはこれでいいなっていう人も多くて。

Sak:6~7分ある曲なんです。今出ているライヴだと30分前後のセットが多いから、そこであの曲を入れ込むとなるとセットリストを考えないといけなくて、必然的にライヴで演奏することが減るんですけど。「DAYBREAK」なしで3、4回ライヴをすると、"そろそろあの曲もやってほしいです"ってファンの方から言われるようになってきました。

Naoya:(笑)

Sak:"聴きたいんですけど、あの曲最近やってるんですか?"って言われたりするので。スルメ感が出てるのかなっていう。

-バンドの歴史の中で、「DAYBREAK」という曲ができた意味合いもこれからどんどん出てくる感じですね。MASSCLOWZとしては、ここがターニング・ポイントになったなというようなライヴはありますか。

Naoya:1つ挙げるとすれば2ndデジタルEP『WARNING FROM THE PAST』(2022年リリース)のツアー・ファイナル("MASSCLOWZ pre. 【WARNING FROM THE PAST TOUR FINAL】")なんでしょうけど、そのファイナルも含めた一昨年のツアー("「WARNING FROM THE PAST」Release Tour")じゃないかな。

Sak:うん、逆に言ったら負のターニング・ポイントでもあったかなっていう。燃え尽き症候群的なものも起きちゃったりして。あのときの熱量を取り戻さなきゃいけないっていうのもずっと考えていて、今やっと取り戻せている感はありますね。あとは2023年に、同年代の地方のバンドがガンガン出てきて、一緒にやる機会が増えて。盛岡のSBEとかもそうですけど、ラウドミュージックをやっているやつらが、コロナ禍が明けてやっと動けるようになって東京にどんどん出てきていて、知り合って話を聞いてみると同世代じゃんっていう。そういう同世代のバンドたちが台頭してきて熱い活動をしていることに、感化されることは多かったですね。"このライヴが"っていうよりも、2023年は全体的にそれで背中を押されたのもあるし。ちょっとしたことで俺ら動けてないな、っていう劣等感もありましたし。プラスの面でもマイナスの面でも"動かなきゃ"っていう意識に変わっていったのは、そういうやつらがいたからというのは大きかったですね。

-特にコロナ禍ではラウド系のバンドはライヴ活動が難しいことが多かったと思うんですが、同世代のバンドや同じシーンで活動するバンドと話すなかで、シーンとして盛り上げていこうみたいな熱があるなっていうのは感じるんですか。

Sak:例えばコロナ禍で高校生だった子が、今20代になってお酒も飲めて遊べるようになって。そういう、ちゃんとしたライヴを知らなかった世代の人たちが出てきているんですよね。今SNSでモッシュ/ダイブ論争とかも起きていますけど、論争が起きるということはそういう場にみんな行ってるっていうことか、ラウドミュージック盛り上がってきたぞ、っていう。逆にああいうことで話題になっているのは嬉しかったりもして。

-またここから作っていこうよってなりますしね。

Sak:地方のバンドもそうですし、ラウドミュージックを盛り上げようとか、もっとやらなきゃっていうのはあると思いますね。都内、地方とかにかかわらず、めちゃくちゃ意識していると思いますね。あとは大先輩たちのフックアップの文化が強くなってきているので、今回a crowd of rebellionの漠さんにお願いしたのは、俺らも大先輩と一緒にやりたいっていうのもありましたね、やっといろいろできるようになってきたじゃんっていう。

-そこは自分たちに自信がないとお願いできないですしね。"かっこいいのができたので、さらにかっこ良くしてください"っていうことだから。

Sak:やっと自信が持ててきたかなという感じですね。ちょっと落ちる時期もあったんですけど、それでもいろんな人が"曲がかっこいいんだからやってみなよ"って言ってくれて。周りのやつらに言われてやっと自尊心を持てたというか。

-その第1弾として「Wilderness Blooms」がリリースとなって、まずは8月2日のリリース・パーティー"MASSCLOWZ pre.【CREATURE VERSE Vol.4】"が大事なイベントになりますが、今回はどんな感じですか。

Sak:リリース・パーティーをやるうえでは、メンツにもこだわりましたね。バンドのスタイル的にもバランス良く呼べた感じで。20代前半でやっていくぜって力を入れている後輩、昨年や今年に入って活動をしているバンドもいたりするんですけど、そういう勢いを作ろうとやり始めたバンドを呼びたいっていうのもあったり。あとはバックボーンとしてはラウドミュージックだけど、細分化したらミクスチャー、ニューメタル、メタルコア、エモ、スクリーモとか、それぞれ違ったバンドを呼んでいて。今回はそういうところを意識してイベントをやろうと思いました。

Naoya:WILDOGSとか仲のいいバンドも呼んでいるんですけど、これまで対バンできてなかったところとか、ライヴハウスでライヴを観て、かっこ良かったからってその勢いで直接声を掛けたバンドも多いですね。

Sak:リリース・パーティーをするなら、違う層のお客さんにも来てもらって、さらにそこも全部かっさらえるような曲を作ろうっていう。まず、作る段階からリリース・パーティーやライヴを想定していたんですよね。「Wilderness Blooms」は、どんな音楽を聴く人もかっこいいと思えるものを作ろうっていう、その意識が形になった曲なんです。