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INTERVIEW

FATE GEAR

2024.07.19UPDATE

2024年07月号掲載

FATE GEAR

Member:Mina隊長(Gt/Ba/Composer) Haruka(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

天使と悪魔がテーマなので、音もゴシックやシンフォニックな要素を強くしたかった


-一方で「This Fate」の音の面に関しては、ゲスト・ヴァイオリニストとしてJill(Unlucky Morpheus)さんが参加されていらっしゃいますね。これは、曲を書かれた段階からヴァイオリンの音が欲しいと想定されていた、ということだったのでしょうか。

Mina隊長:天使と悪魔がテーマなので、音もゴシックやシンフォニックな要素を強くしたかったんです。だから、ヴァイオリンは絶対に必要でしたね。Jillさんには以前にも2回参加してもらっているので、今回もまたお願いすることにしました。あと、Jillさんは「This Fate」のMVにも出演してくれています。

-また、この「This Fate」ではNANA(GUNGIRE)さんと橋村 姫さんのおふたりがヴォーカリストとして名を連ねていらっしゃいます。これは1曲の中で天使と悪魔の両面を描き出すために、とても重要なキャスティングであったと言えそうですね。

Mina隊長:特に悪魔のイメージという面で、NANAさんのデス・ヴォイスはすごく必要でした。橋村 姫さんの声との対比によって、このストーリーの内容を明確に打ち出せたんじゃないかと思います。雰囲気としては、20年くらい前にEVANESCENCEとかWITHIN TEMPTATION、NIGHTWISHといった女性ヴォーカルのゴシック・メタル・ブームがあったじゃないですか。「This Fate」を作っていくうえでは、結構そのあたりから影響を受けた部分も反映されていますね。

-なるほど。では、2曲目の「Get Lost In Hades (feat.荊)」については、どのような成り立ちを背景にした楽曲だと言えますでしょうか。

Mina隊長:これは天使のほうのイメージだけを曲にしたものです。「This Fate」は天使と悪魔が両方出てくるとは言っても、どちらかというと悪魔寄りな感じになっているので、ここではガラッと空気感もクリーンになってますね。詞も天使目線になっていて、荊(エミルの愛した月夜に第III幻想曲を)さんのクリーン・トーンが映える曲になりました。

Haruka:この曲はメロディがめちゃめちゃきれいで覚えやすいんですよ。まだライヴではやってないんですけど、ステージでやったときの雰囲気も想像しやすい曲なので、今からやるのがとても楽しみなんです。

-そこから一転して、3曲目の「Devil's Pact」はタイトル通りの内容となっておりますが、なんとここではMina隊長が初めてメイン・ヴォーカルをとられているのが大きなトピックかと思います。しかもクリーン、デスボ、少女、男性と場面およびキャラクターの違いによって4種の声を使い分けられたそうではないですか。ずいぶんと大胆なアプローチをとられることになったのですね。

Mina隊長:きっかけとしては、以前私は遠藤ミチロウさんと頭脳警察のPANTA(Vo/Gt)さんに声を聴いていただく機会がありまして、そのときに"君には男性ヴォーカルの曲のほうがキーとしては合ってるよ"と言われたことがあったんですよ。

-共に故人ではあられますが、おふたりとも日本のパンク界で強い存在感を放っていらした方々ですよね。

Mina隊長:もうそれは10年以上前に、私がFATE GEAR以前のバンドをやっていたときのことだったんですけど、当時ライヴでオープニング・アクトをやらせていただいたことがあって、最後のセッションで頭脳警察の「コミック雑誌なんか要らない」でなぜか私がメイン・ヴォーカルとして引っ張り出されて、ワンコーラスまるまる歌わされるということがあったんですよ。それがどうやらドハマりしてたようで、おふたりからそういう評価をいただいたんですね。その経験もあって、今回は何を勘違いしたのか男性ヴォーカルのパートまで自分で歌ってしまいました。というか、いつかは歌ってみたいと思っていたのも事実ですね。自分の中の悪魔を引き出してみました(笑)。

-Harukaさんは今回の隊長によるヴォーカリゼーションをお聴きになって、どのような印象を受けられました?

Haruka:意外でした。デモの音源での仮歌は聴いたことがあったんですけど、それとはまたちょっと違う感じで"カッコいい!"ってすごい思いましたね。ダーク・ファンタジーな雰囲気の曲と隊長の声がとても合ってるな、と感じます。

Mina隊長:私、カラオケでLUNA SEAの「ROSIER」とかも原曲キーであの低いAメロから歌えちゃうんですよ。「Devil's Pact」も、きっと男性が歌うとしても低いと思うんですが、特に苦労することなく歌えちゃいました。

-同時に、パートによっては天使あるいは少女のような歌い方もされているわけで、この演じ分け方はなかなかのものですね。

Mina隊長:天使側の台詞が入っていたり、サビの上のハモりも高いんですが、そこはやってみて"こっちも案外いけるじゃん"っていう感じでした(笑)。結果的に、これは自分ですべて歌って良かったなと思いますね。

-この「Devil's Pact」で得た経験値は、これからのFATE GEARにも反映されていく可能性がありますか?

Mina隊長:まだ断言はできませんけど、もしかしたら毎作品1曲くらいは歌っていくことになるかもしれないですね(笑)。

-さて。今作の新曲群でラストを飾るのは「Force Of The Holy (feat.橋村姫)」です。こちらも曲タイトル通りに天使をイメージするような音に仕上がっておりますが、物語の進行を示すうえでもこの配置が大切な曲なのでしょうね。

Mina隊長:悪魔の世界に迷い込んでしまって、怯えたり戸惑っていたのが「Get Lost In Hades」だとすると、「Force Of The Holy」での天使はちょっと強くなっていて心持ちも変わってきているんですよ。だから、曲調も正統派のメロディック・パワー・メタルといいますか、力強い感じにしてあるんです。

-今回の『The Vanguard Of Hades』でも、完成度の高いサウンドはもちろんのこと、隊長の書かれている小説ともどもFATE GEARならではの異世界をみなさまにたっぷりと楽しんでいただきたいところですね。ただ、この4曲のみで物語が完結するわけでもなさそうに感じるのですが、ここからの続きもあると考えてよろしいですか?

Mina隊長:はい、ここから続いていきます。今回の4曲は物語の前半というか、まだプロローグくらいのところですね。

-承知いたしました。ここからの作品にも期待しつつですが、今夏にはまた海外ツアーにも出られるのだとか。

Mina隊長:8月に初のカナダ・ツアー("Worldwide Live in Blood Tour 2024")があります。これも編成はまたイレギュラーで、ヴォーカルは橋村 姫ちゃん、ドラムはJUNNAちゃんにサポートしてもらいます。

-国内ファンの方々からすると、日本でも『The Vanguard Of Hades』の収録曲たちをライヴで聴ける機会があると嬉しいのではないかと思うのですが......そのご予定は?

Mina隊長:11月3日に赤坂 navey floorにて、KOKOMI(MISLIAR)さんが参加されている同人サークル Lyrical:codeさんとのツーマン・ライヴがあります。この日のヴォーカルは橋村 姫ちゃんとKOKOMIさんの2名になります。レアな機会かと思いますのでぜひいらしてください!