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INTERVIEW

Risky Melody

2024.02.14UPDATE

Risky Melody

Member:ALICE(Vo) Asumi(Gt) HaRU(Ba) ayae(Dr) AYA(Key)

Interviewer:杉江 由紀

さすがはRisky Melody。今年で始動から10周年を迎える彼女たちは、このたび発表されるメジャー・デビュー・シングル『いたいいたいあい』において、ある種のリスクをも引き換えにしながら、新たなる領域への進出を果たしてみせることになったのだ。表題曲の作詞をレジェンダリーなガールズ・ロック・シンガー 相川七瀬に依頼したことは明らかなる英断で、結果的に相川は作詞のみならずヴォーカルのディレクションや楽曲としての方向性決定についても深く関わってくれたのだとか。この曲の中で力強く歌われる"私は私の道をいく"という一節は、つまりRisky Melodyから放たれた、現在と未来へ向けた高らかなる宣言にほかならない。


メジャー・デビューする以上は"売れる曲を作りたい"と思っているのも本心


-Risky Melodyにとって、待望のメジャー・デビュー・シングルとなる『いたいいたいあい』がここに完成しましたが、なんと表題曲では相川七瀬さんが作詞家として参加をされているのだとか。まずは、このコラボが実現した経緯について教えてください。

ALICE:新しいことにチャレンジしたい、という気持ちがまずはシンプルなところで自分の中にありました。今までのリスメロ(Risky Melody)では私がすべて作詞をしてきてたんですけど、今回メジャー・デビューをするとなったときにレーベルのスタッフとか、プロデューサーとか、いろんな人たちと話し合っていくなかで"今までと違う作家を入れてみたらどうか"という提案が出てきたんですね。それで、日本のガールズ・ロックのレジェンドとして相川七瀬さんにお願いできたらいいんじゃないか? というアイディアが出たんですよ。

-なるほど。メジャー・デビューのタイミングで新しい挑戦をすることにしたのはひとつの英断だったと思いますが、その反面で不安や懸念はなかったのでしょうか?

ALICE:もちろん、Risky Melodyとしてはメジャー・デビューするとしても"今までの姿勢を貫いていきたい"という部分は最も大切にしたいとずっと思っていましたし、そこは今も変わってません。ただ、2021年に出した2ndアルバム『ESPERANZA』や、ラスト・インディーズ作品として作った『Reflection』(2023年リリースの3rdアルバム)に対しては"あの時点でやれることはすべてやった"という自信がある一方で、メンバー全員の共通認識として"何かがまだ足りない気がする"っていうことを感じていたのも事実なんですよ。そして、メジャー・デビューする以上は率直に言うと"売れる曲を作りたい"と思っているのも本心なんです。

-それはとても潔い発言ですね。

ALICE:Risky Melodyは年間200本近くのライヴをやってきているバンドで、それは純粋にライヴ活動が楽しいからやってきたっていうことではあるんですけど、過去の自分たちにもし足りなかったものがあるとすれば、それはたぶん"売れる曲を意識して作る"っていうことだったんじゃないかと思うんです。そういう意味で、今回はこのメジャー・デビューのチャンスを生かしながら"実績と経験を持っている"アーティストである相川七瀬さんとコラボすることで、自分たちに足りなかったかもしれないものを新しく吸収したい、っていうことを私たちは意識していました。

-とはいえ、相川七瀬さんがデビューされた頃や、シングル・ヒットを連発されていた90年代後期頃というと、メンバーによってはまだ生まれていなかった方もいるのでは??

ayae:たぶん、生まれたばかりとかそのくらいですかねぇ。

AYA:Asumiは全然まだ生まれてなかったんじゃない?

Asumi:ですね。でも、相川七瀬さんのことはもちろん知ってます。

HaRU:そうそう、リアルタイムじゃなくても曲はみんな聴いたことあるよね。

ALICE:みんなそうやって知っていたからこそ、相川さんの華やかでちょっと棘のある雰囲気はRisky Melodyに絶対合うだろう、というふうにも感じたんですよ。だから、今回は最初ダメもとでいきなりアプローチさせていただいたんです。

-ダメもとでいきなりのオファーだったのですか!?

ALICE:もともと繋がりがあったとか、全然そういう感じではなかったですね。それなのに、相川さんから快諾していただけたのでちょっとびっくりしました(笑)。どうやら、相川さんとしては歌詞提供をされるのが22年ぶりのことらしいです。あと、相川さんが飼っていらっしゃる猫ちゃんの名前がリスキーちゃんっていうことも直接お会いしたときにうかがって、なんだか不思議な縁を感じてしまいました。

-相川さんと会われた際には、作品についての話し合いもされたのですか?

ALICE:とても親身になって、いろいろとお話をしていただけました。詞の内容はもちろんですし、それだけじゃなく相川七瀬さんのライヴでベースを弾いていて、曲も作っていらっしゃるコンプ(豚乙女)さんという方までご紹介していただけたんです。

-至れり尽くせりだったのですねぇ。

ALICE:最初は歌詞だけをお願いしたつもりだったんですが、作曲の面でも相川さんのブレーンの方にご協力をいただいて、レコーディングではヴォーカル・ディレクションまで相川さんが立ち会ってくださったので、実質的に「いたいいたいあい」は丸ごとプロデュースをしてくださったような感じに仕上がりました。本当にありがたいなと思ってます。

-そんなデビュー曲「いたいいたいあい」に対して、各メンバーはどのような印象を持たれたのかも教えてください。

ayae:今までのRisky Melodyは、ライヴで映えるような熱量とかパワーを持った楽曲が多かったですし、実際にそこをかなり重要視してきているんですけど、今回の「いたいいたいあい」はこれまでにないニュアンスを音に入れ込んでいく必要がありましたね。私の場合のドラムに関して言えば、グルーヴの乗せ方というものがまずまったく違いました。

HaRU:今までのRisky Melodyとはまた違ったテイストがある曲なので、そこをどう自分たちなりに表現していくのか? という点に挑戦できたのがすごく楽しかったです。

Asumi:私も、相川七瀬さんの色とRisky Melodyの色が重なると"こんな新しい世界が生まれるんだ!"っていうことにワクワクしましたね。

-たしかに、この「いたいいたいあい」にはいい意味で"今や絶滅危惧種になりつつある歌謡ロック"の味わいが含まれていて、そこが令和の今にあっては逆に新鮮であると感じられます。しかも、その世界をRisky Melodyは独自の解釈で表現されていますものね。

ALICE:そうなんですよ。そこは本当に私たちにとって新しい世界だったんです。

AYA:ある種の懐かしさというか、この曲には独特のキャッチーさがあるんですよね。これは私たちにとって、新しい音楽との遭遇でもありました。

-それこそ、相川さんがデビューされた90年代中盤というのはカラオケ文化が黄金期を迎えていた時期でしたので、当時は"誰もが歌いやすい"ことを意識した曲作りがされていた傾向がありました。その点、ボカロ文化が浸透して以降の現代は"人間が歌いにくいくらいに難しい曲"が普通に作られるようになりましたのでね。「いたいいたいあい」の中に漂うキャッチーさは、明らかに前者にあたるのではないでしょうか。

ALICE:まさに「いたいいたいあい」は、覚えやすいし聴きやすい曲になってます。これはぜひ、みなさんにもカラオケで歌って盛り上がってほしいですね。CDにはインストゥルメンタル・バージョンも入っているので、ぜひ活用してください(笑)。

-各パートの見地から、この「いたいいたいあい」をレコーディングしていくのにあたって、特に心掛けられていたのはどのようなことでしたか。

ayae:ドラム・パートはかなりシンプルなアレンジになっているので、細かいパッセージとかは特に入っていないこのビートを、いかに気持ちいい感じで叩いていくか? というのが難しいところでした。

ALICE:ここまでシンプルなのって、今までやってなかったもんね。

ayae:そうそう。別に避けてたわけではないんですけど、実際にやってみたら思っていた以上に難しかったというか。シンプルなものほど奥が深いんだな、っていうことに気づかされました。3点セットだけでずっといけるみたいなところまでちゃんとやれたら、ドラマーとしては最高にカッコいいんだろうな、楽しいんだろうなと思いつつ、今回のレコーディングからそこに向けての1歩をやっと踏み出せた感じですね。あとは今後のライヴでやっていくことで、もっと面白さを掴んでいきたいなと思ってます。

HaRU:ベースも普段だったら疾走感とか、ロック感を前面に出していくことが多いんですけど、この曲ではあえて"ねっとり"した感覚を入れながら気持ちいいグルーヴを生み出すように意識していきました。途中にはシンセ・ベースが入ってくる部分もあるんで、そこで上手く共存していけたのも自分にとっては新しい試みでした。

Asumi:ギターに関しては、とにかく音作りの段階から今までとはまったく違うやり方をしていきました。ワウ・ペダルとかフランジャーとか、機材的にも今までRisky Melodyでは使ってなかったものを導入してます。

-いわゆる揺れ系のエフェクターを多用されたのですね。それらを初めて使ってみて、何かAsumiさんが感じられたことはありました?

Asumi:ギタリストとしては前から使ってみたいと思ってた反面、Risky Melodyにはちょっと合わないかな? と思って使うのを見送ってきた機材でもあったんで、今回「いたいいたいあい」で使ってみて"そうか、こういうふうに使えばいいのか!"っていう発見をできたことが個人的には嬉しかったです。

ALICE:今まで聴いたことのなかった音をAsumiが出してる! っていう感覚は、私にとっても新鮮でしたね(笑)。もともと、Asumiは70~80年代の洋楽ハード・ロックとかメタル系の音を出すのが得意なタイプだったから、こういう平成初期っぽいJ-ROCKや歌謡ロック的なアプローチは、懐かしい音を出しているというよりはむしろAsumiからすると完全に時代が"進化"してるんです。

Asumi:20年ぶんくらい進化しました(笑)。