MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Risky Melody

2023.10.03UPDATE

2023年10月号掲載

Risky Melody

Member:ALICE(Vo) Asumi(Gt) HaRU(Ba) ayae(Dr) AYA(Key)

Interviewer:杉江 由紀

不可逆的な時の流れの中、Risky Melodyは過去と現在と未来を縦断するアルバム『Reflection』をここに完成させた。これは彼女たちにとって実質的なインディーズ最後の作品でもあるが、2024年にはついに始動10周年を迎えるうえ、2月にはメジャー・デビューという大きな節目も待ち受けていることを前提にすると、まさに今このタイミングで聴いておくべきものと言えよう。また、今作を聴けばRisky Melodyのライヴに対する期待も自然と高まるはず。ライヴ・バンドとしての経験値も高いRisky Melodyは、10月から年末まで続く"Risky Melody New Album Release Tour「Reflection」"でも必ずやその実力を発揮してくれるに違いない。

-来年にはメジャー・デビューが控えているRisky Melodyにとって、このたびのアルバム『Reflection』はひとつの大切な節目となる1枚に仕上がったようですね。

ALICE:この2年半くらい、Risky Melodyは2021年11月に出した前回のアルバム『ESPERANZA』以来ずっとアルバムは作っていなかったですからね。コロナ禍のなかを乗り越えながら作ってきた曲や、ライヴでお客さんたちと一緒に育ててきた曲たちがいろいろ溜まっている状態だったので、私たちとしては今のタイミングでメジャー・デビューをする前に、ここまでの軌跡をアルバムという形で残しておきたかったんです。だから、これは実質的にRisky Melodyにとってインディーズ最後の作品になります。

-つまり、この"Reflection"というアルバム・タイトルは......。

ALICE:直訳すると、これは"反芻する"っていう意味の言葉なんですよね。私たちRisky Melodyにとっても、Risky Melodyのファンの方々にとっても、このアルバムにはたくさんの反芻したい想い出たちがたくさん詰まっている、という意味でこのタイトルを付けることにしました。

AYA:今回はライヴで長くやってきてる曲たちが多く入ったアルバムになっているので、そのぶんレコーディングしていくときにも曲たちに対する思い入れが強かったというか、作っていくときの気持ちがやっぱりちょっと違いましたね。

-その一方で、ずっと長くライヴでやってきた曲を改めてレコーディングするとなると、逆にアレンジやリズムの感覚などをシビアに詰め直す必要も大なり小なり出てきたのではありませんか。

ALICE:そうなんですよ、たしかにそういうところはいろいろありました。いつもライヴでは楽しくやってる反面、改めて客観的に音の波形とかレコーディング・ツールの画面とかをデータとして確認しながら演奏を見つめ直すと、いかに私たちは正確じゃない状態でやってるのか、ということがよくわかります(笑)。

ayae:ライヴでやってきているからこその蓄えというか、自分たちの中にある表現の引き出しの数は増えているので、それを使えるというメリットは多々あるんですけどね。

ALICE:ただ、ライヴでやってきたことをそのままやろうとすると、レコーディングだとダメなんですよ。通用しないんです。

HaRU:ほんと、あれは涙出ましたねぇ。

Asumi:その感覚、わかる(苦笑)。

HaRU:正確なリズムと比べると、だいたいみんな音が走ってるんです。"あぁ、リスメロ(Risky Melody)ってライヴではつくづくガツガツ系なんだな"って再認識しました(笑)。

-もちろん、そのガツガツしたダイナミズムこそがライヴならではの迫力に繋がっているわけですから、それはそれでこれはこれ、ということなのでしょうけれどね。

ALICE:この『Reflection』の中には、ライヴでやってきた曲たちだけではなく、新曲の「Reflection」と「MIRAGE」も入ってるので、録り下ろし曲のレコーディングと、ライヴでやってきた曲のレコーディングというふたつのパターンをほぼ同時に経験することになったんですよ。私たちにとっては、そこもすごくいい勉強になりました。

-ちなみに、今作の1曲目を飾るのはバンド名を冠した「Risky Melody」です。こちらは再録楽曲ということになるのですよね。

ALICE:これで何バージョン目になるのかな?

AYA:これまで2014年の1stシングル『Risky Melody』、2016年のミニ・アルバム『Welcome to the Risky World』、2019年のカバー・シングル『Diamonds』のカップリング(Type-Aのみ収録)として録ったEDM的なバージョンの計3つがあったので、今回ので4回目ですね。

ALICE:もともとは、まだ私が高校生だったときに初めて作った曲でしたからねぇ。実はその当時にもRisky Melodyというバンドをやっていたんですけど、ずっと歌い続けてきている曲なんです。だけど、私にとっては今回レコーディングした曲の中でこれが一番難しかったですね。

-それがなぜだったのかは、ご自身でわかっていらっしゃいます?

ALICE:たぶん、今回のバージョンはリズムがより激しくなってるからですかね。ずっと歌ってきている曲ではあるんですけど、表現の仕方がほんとに難しかったです。

-リズムがより激しくなった「Risky Melody」で、ドラマーとしてayaeさんが大事にされたのはどのようなところだったのでしょう。

ayae:今回のアレンジが前よりも激しい感じになったのは、前作『ESPERANZA』を経たことと、Asumiが速弾きの得意なギタリストであるという要素がかなり大きくて、わかりやすく言うとハードな要素が強くなったからなんですよ。年々ライヴでの盛り上がりも増してきた曲なので、今回のリズムを録っていくときにもそういったところは強く意識しました。スタジオで叩いているときにも、ライヴの風景がイメージできる感じでプレイしていくようにしましたし、自分がライヴの空間にいるかのような感覚でできるだけリズムを生み出していくようにしましたね。

-HaRUさんは今回「Risky Melody」とはどのように向き合われました?

HaRU:私は基本的にいつも指弾きをしているんですけど、今回のバージョンはエッジ感やスピード感を出すために、あえてピック弾きをすることにしたんですよ。私にとってはあまり慣れないことでもあったので、レコーディングは思っていた以上にちょっと大変でした(苦笑)。

-もっとも、裏を返せば長くやってきた曲であるにも関わらず、それだけ新鮮な気持ちでプレイができたということなのではありませんか?

HaRU:そうとも言えます、いい言い方をすれば(笑)。

ALICE:私も新鮮だなって思いましたよ。これだけリズム隊がガラッと変わって激しくなったので、リスメロにとっての「Risky Melody」はいい意味で"初期からやってる懐かしい曲"ではなくなりました。

-ギター・ソロの入り方も、このバージョンはやたらとカッコいいですよね。

Asumi:ありがとうございます。あのソロに関しては初期の「Risky Melody」をオマージュしているところがあって、前半部分には昔のバージョンのギター・ソロで鳴っていたメロディを復活させて入れてあるんですよ。そして、後半部分には私じゃないと弾けないようなフレーズを入れていきました。

-AYAさんが今回「Risky Melody」をレコーディングしていく際に、留意されていたのはどのようなことだったのでしょうか。

AYA:ひとつ前のバージョンのときはEDMとかエレクトリックな要素が強いサウンドだったので、それと比べると今回はわりとシンプルにシンセの音を入れていった感じでしたね。あと、最初に入っているピアノ音色の要素は今回から復活した部分です。私のパートに関しては、今までで一番わかりやすくてキャッチーな仕上がりになったと思います。

-一方、「MIRAGE」と「Reflection」は録り下ろしの新曲となるそうですが、後者はこのアルバムのタイトル・チューンでもありますね。

ALICE:「MIRAGE」と「Reflection」は、両方とも今回のアルバムでの共通するテーマとして"Reflection"っていう言葉を前提にして作った曲たちでしたね。でも、表現の仕方はかなりそれぞれで違います。様々な過去があって、時には大変なこともあったけど、お客さんたちや、私たちのチームで動いてくれているスタッフとか、いろんな方たちに支えられて、みんなとの約束を重ねながら今に至ってきているんだ、たとえ試練を迎えたとしても幸せを追い求めていこう、ということを前向きに未来を歌ってるのが「Reflection」だとすると、「MIRAGE」のほうは過去に向き合う感じになっているんですよ。

-「MIRAGE」の"あの日に帰らせて"というフレーズには、ついドキリとさせられてしまいました。こうした言葉は、ほかの楽曲では出てこない類のものですものね。

HaRU:今までのRisky Melodyにはほんとになかったタイプの詞ですね、これは。

ALICE:でも、できあがってみたら意外とメンバー全員この曲好きだったよね(笑)。

ayae:こういう感情とか要素って、みんな実はあるんだと思いますよ。

Asumi:うん、ですよね。

HaRU:珍しい雰囲気な曲ではあるんだけど、共感できるところがすごいあったんです。

-自らの弱い部分を認めて、それを作品に昇華できたことがきっと「MIRAGE」という曲を完成させた大きな意義なのでしょうね。弱い部分を直視することができず、ただ逃げているうちはこうして曲にしたり歌ったりすることはできないはずですので。Risky Melodyは、ここで乗り越えるべき壁をクリアしたということなのだと思います。

ALICE:そうですね。今回は過去と向き合うっていうことがアルバムを作っていくうえでの大きなテーマだったので、ともに新曲である「MIRAGE」と「Reflection」の2曲でも私たちはそれを達成することができたんじゃないかと思います。