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INTERVIEW

FATE GEAR

2023.12.12UPDATE

2023年12月号掲載

FATE GEAR

Member:Mina隊長(Gt/Ba/Composer) Haruka(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

ホームにしてきた目黒鹿鳴館で、12月23日は伝説を残せるようにしたい


-録りの段階で、Harukaさんが今回の「Winds of Fall」を叩いていく際に重視されたのはどのようなことでした?

Haruka:昔の1stフル・アルバム『A Light in the Black』の頃はまだ私が加入してなかったですし、そもそもあれはドラムは生じゃなかったと思うんですよ。

Mina隊長:あのときは打ち込みでした。

Haruka:だから、今回はそれを生で録れるっていうことがまず嬉しかったです。私がFATE GEARに入った頃はすでに発売しているアルバムが『A Light in the Black』で、ライヴでやる以外の意図でもかっこいいなと思ってよく聴いていたので。当時は"これ、ドラムが生だったらもっといいのにな"とファン目線で聴いていたぶん、今それを自分で叩けるというのはとても感慨深かったです。

-2015年から8年の時を経て、今回の2曲が蘇ったというのは喜ばしいことですね。

Haruka:「Winds of Fall」もライヴでは何回かやった程度ですし、「Nocturnal Moon」はまだライヴでやったこと自体もないんで、ここからまたツアーで演奏していくのも今から楽しみです。

-「Nocturnal Moon (feat.KOKOMI)」の録りについてもうかがっておきたいのですが、Harukaさんがこの曲を叩くうえで大切にされたのはどのようなことでしたか。

Haruka:曲調はバラードなんですけど、音としてはメタル感を出したかったので、プレイ的にはガッツリどっしりっていう感覚で臨みました。強いトーンで録った音を、ミックスのときに遠くで鳴ってるような広い空間を感じさせる音に仕上げてもらった感じです。

-きっとその効果なのでしょうね。「Nocturnal Moon (feat.KOKOMI)」は聴いていて気持ちが沈むようなバラードではなくて、むしろエモさやドラマチックさを感じる雰囲気に仕上がっている印象です。

Mina隊長:私もこの曲ではひたすらゴリゴリ刻んでます(笑)。まぁ、ギターとベースが裏のリズムで入ってたりもするので、意外とポップな部分もありますし、J-ROCK的なニュアンスも持ってるサウンドになったんじゃないかと思います。

-わびさびがいい具合に効いているのかもしれませんね。

Mina隊長:そう言っていただけると嬉しいです!

-それから、この「Nocturnal Moon (feat.KOKOMI)」は「Winds of Fall (feat.KOKOMI)」とはまた別のアプローチで鍵盤が効果的に使われているアレンジになっているとも言えますよね。事実関係としては、2023年末をもってキーボードの黑咲さんが脱退および引退をされるということで、彼女に花を持たせる意味でこうしたアレンジにしたという意図もそこにはあったのでしょうか。

Mina隊長:私としても、最後にこうした形で音を残せたのは良かったなと思っているんですよ。実際、キーボードを目立たせたいというふうにも考えていたので、ギターはそこまでガチャガチャしすぎないようにということも考慮はしていました。

-ところで。「Winds of Fall」と「Nocturnal Moon」については歌詞を8年前に書かれたことになるわけですが、Mina隊長は今回レコーディングの際に歌詞をきっと読み直されているはずですよね。そのときに何か感じたこと、というのはありましたか。

Mina隊長:歌詞は当時と一切変えてないですし、自分としても"案外、本質って変わってないな"という感じがしました。特に、この2曲は昔私がヴィジュアル系メタルのRaphaelがすごく好きだった頃の気持ちを書いたもので、マニアだったらこの内容ってきっとわかると思うんですよ。自分の好きなものはずっと変わってないんだな、というふうに今回改めて感じました。

-また、今回のシングルの発売と前後して、12月4日にはジャパメタBAR 龍の隠れ家の10周年記念コンピレーション『龍吟虎嘯』にPhantom Excaliver、SABER TIGERと並んで、FATE GEARも書き下ろし曲「Astral Dragon」で参加されることになったそうですが、こちらの件についても少し解説をいただけますと幸いです。

Mina隊長:私とHarukaさんは、そのジャパメタBAR 龍の隠れ家というところに行ったことがありまして。あれは5年くらい前ですかね。なんかのレコーディングの帰りに、飲みに行ったんです。『7 years ago』のときでしたっけ?

Haruka:だったような気がします(笑)。

Mina隊長:そのときにマスターと仲良くなって、ちょうど今年はお店が10周年ということで今回は"曲をぜひ書いて"と頼まれたんですよ。お店の名前に合わせて"龍のイメージでお願いします"ということだったので、そのリクエストに応えました。

-サウンドとしては和の要素が取り入れられている印象ですが、これぞ龍のイメージを表している部分なわけですね。

Mina隊長:実は以前Harukaさんが、コロナで龍の隠れ家が大変だったときに、お店で売るTシャツのイラストを描いたことがあるんですよ。で、それが和の雰囲気の龍の絵だったんですね。この曲は、そのイメージから生まれたものだったりするんです。

-ここまで和の世界に振った曲は、過去のFATE GEARにありませんでしたよね。

Mina隊長:5月に出したシングル『Deathless Memories 2023』に入れた新曲の「Adventure in the East (feat.NANA)」は、ワールド・ツアーを前にしたものでもあったので、ちょっとアジアっぽい空気感を醸し出してみたところがありましたけど、たしかにここまで和の感じを出したのは初めてです。

-ゆえに、この曲はとても新鮮に聴こえます。

Mina隊長:といっても、全体的にマイナー・スケールを使っているくらいで、そこまで意識はしてなかったんですけどね。でも和な感じの曲だと思うと、日本人である自分の中から自然と出てくるものがあったのかもしれないな、とは思います。

Haruka:ドラムで和を表現するために、私はちょっとフロア・タムを多めに入れました。和太鼓的な雰囲気を出したかったんですよ。

-バーの方は、この完成形に対してどのような感想を述べられていたのでしょうね。

Mina隊長:文章でしかまだやりとりしてないですけど、とりあえず"龍のうねるような感じが伝わってきました"とは書いてありました。今度また、お店に行ったときに直接いろいろ感想を聞こうと思ってます(笑)。

-さて。来たる12月23日には目黒鹿鳴館にてのワンマン・ライヴ"FATE GEARワールドツアー前半ファイナル!Adventure in the East東京編"も控えているわけですが、このライヴは黑咲さんの卒業式的な場にもなりそうですね。

Haruka:ほんとに黑咲ちゃんが抜けてしまうのはすごく寂しいですし、私自身の心にざわつきがあるのも事実なんですが、今度の鹿鳴館は東京で6年ぶりのワンマンでもあるんですよ。だから、ドラマーとしては集中力を欠かさないようにしながら、最後までしっかりと叩き切りたいと思ってます。

Mina隊長:鹿鳴館という場所も、移転の時期が延びたにせよ場合によってはこれが出られる最後の機会になってしまう可能性もないわけではないので、本当にいろいろな意味で今度のライヴはFATE GEARにとって節目になるんじゃないかと思います。これまでホームにしてきた目黒鹿鳴館で、12月23日は伝説を残せるようにしたいです。