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INTERVIEW

EVANESCENCE

2023.11.17UPDATE

2023年12月号掲載

EVANESCENCE

Member:Amy Lee(Vo/Pf)

Interviewer:井上 光一 Translator:原口 美穂

ギリギリまで追い込まれて、そこから抜け出して――結果的にやってみて良かったと思える作品ができたのはすごくクールだった


-『Fallen』の制作過程はレーベルとの衝突や元メンバーのBen Moodyとのクリエイティヴな面における意見の相違など、多くの混乱があったことはあなた自身が公言されています。今振り返って、当時のあなた自身に何かアドバイスをするとしたらどのような助言をされますか。

自分たちが将来、今の場所に辿り着くっていうことをまずは伝えたいわね。あの当時の私が、最終的にはすべてうまくいくんだという気持ちを持てていたら、それは素晴らしいことだっただろうと思うから。アドバイスは戦い続けること、そして正しい理由のためにそれを信じること。たとえ周りのみんながうまくいっていたとしても、スムーズに活動していたとしても、自分らしくこの仕事をするのはとても大変なこと。それに、時間をかけてそれを実現していくということはインスピレーションを得るために大切なことでもある。過去に作られてきたものや概念をすべて捨ててゼロから始めることに、私たちは時間を割いてきた。その決断が音楽にとって正しいものだったことを私は誇りに思っているし、それには長い時間が必要だった。だから私は、当時の自分に"心配しないで"って言いたいわね。"そのまま続けていれば、あなたが想像している以上に素晴らしい結果が待っているから、今は辛抱強く頑張って"って。

-Disc 2についてもお聞かせください。まずは先行で公開されていた「Bring Me To Life」のデモ音源ですが、Paul McCoy(12 STONES)のヴォーカルがないこのバージョンが、本来あなたが思い描いていた形ということですよね。ギター・ソロが入っているのも新鮮に感じます。

あのギター・ソロは、デモの時点ではまだブリッジができあがっていなかったから入れただけなの。それに、レーベルがバンドに男性ヴォーカルを入れることを強く望んでいて私たちとレーベルで大喧嘩になったんだけど、結局妥協案として、あの曲にだけゲスト・ヴォーカルを入れることになって。映画"デアデビル"に曲を提供するという話もあったし、そのシーンには男女の二項対立というアイディアも合っていたから、男性ヴォーカルのパートがギター・ソロの部分に入ることになって、あのギター・ソロをなくしたというわけ。男性ヴォーカルを入れる入れないで揉めたりしてすごく心配だったけど、結果的にあのパートは曲に大きなエネルギーを与えてくれたと思う。ギリギリまで追い込まれて、そこから抜け出して、結果的にやってみて良かったと思える作品ができたのはすごくクールだったわ。

-「My Immortal」はふたつのバージョンが収録されていますね。「My Immortal」と「Bring Me To Life」はあなたの意に反したバージョンがアルバムに収録されてしまったことは事実ですが、この2曲についてはライヴで繰り返し演奏することで在るべき姿になった、というふうに個人的には感じています。あなたの意見をお聞かせください。

私も同意見。どの曲もそうするようにしているんだけど、特に一番古いその2曲は、バンドの成長と共に一緒に成長したと思う。以前は失敗するのが怖くてクリック・トラックで演奏していたんだけど、今は演奏を止めて観客の声に耳を傾けて、ちょっと歓声を響かせてから次のパートを演奏するっていうすごく美しい瞬間を楽しむことができているの。そうすることで、毎晩のショーが唯一無二になるしね。「My Immortal」は、私はバンド・バージョンのほうを演奏するのが大好き。そのバンド・バージョンはアルバムでも聴くことができるんだけど、今回の記念盤にはDavid Campbellのストリングスとヴォーカルだけでレコーディングしたスタジオ・バージョンが収録されているの。それこそが私がずっと求めていたバージョンだったから、すごく嬉しい!

-アルバム未収録曲についても聴かせてください。「Farther Away」は「Bring Me To Life」のシングルのB面曲でしたね。

そう。「Farther Away」や「Missing」はアルバムと同じ時期にレコーディングしたもので、曲数が多くてアルバムには入れられなかったけど、私にとってはベスト・ソングのひとつだったトラック。あの頃、もし好きなだけ曲を入れて良かったなら、そういう曲を全部入れたでしょうね。でも、アルバムには入れられなかったけど、そういった曲はスペシャル・エディションのエクストラ・トラックだったり、日本盤のボーナス・トラックとしてすでにリリースされているの。他とはちょっと違う何かを感じられる曲だから、特に「Farther Away」はリスナーのみんなも好きな曲だと思うし、私たちはいつもこの曲をアルバムの一部のように扱ってきた。だから、今回リマスターできて良かったと思う。でももう長いこと、その曲はライヴで演奏してないのよね。

-ライヴ音源についてですが、アルバム・リリース時の2003年の音源と2020年代の音源が収録されているというのは面白いアイディアだと感じました。これはあなた自身が意図したものですか。

そう。スウィートで純粋な当時の私たちと、今のモダンな私たちの両方を見せたかったの。このアルバムは、当時を描いたものであると同時に、最初の『Fallen』が発売されてから現在に至るまでの軌跡を描いたものである。だから、その私たちの違いをちょっとでも見せられたらと思ったのよね。

-難しい質問かもしれませんが、今のあなたが『Fallen』の収録曲の中で一番気に入っている曲をあえて選ぶとしたらどの曲なのか、理由も含めて教えていただけますか。

すごく難しい質問ね。あえて選ぶなら、「Going Under」かな。ビデオのために自分で服をデザインしたり、いろいろなことが実現できて本当に嬉しかったから。あの曲が完成したときは、とても誇らしかった。アルバムを作っていると、曲を書いていくうちにだんだんより良いものができるようになって、一番最後に書いた曲が"これこそ私の曲だ"と思えることがよくある。グルーヴが乗ってくると、自分ができる最大限はこれだ、と感じられるの。"これこそが自分が目指していたサウンドだ"ってね。「Going Under」は、まさにそれが感じられた曲。歌詞的にもそうだったのよね。あの曲では、『Fallen』の制作を通して自分の中に徐々に浮かび上がっていたパワーのようなものがどんどん強くなっていって、被害者である自分や痛みについて歌うことに代わって、自分のために立ち上がり、地に足をつけてノーと言い、もううんざりと主張できるようになっている。だから、あの曲ができあがったとき、その強さが美しく輝いて見えたの。あの時点では、自分たちが書いたどの曲よりもあの曲が好きだった。1曲選ぶのはすごく難しいし、もちろん「Bring Me To Life」も私たちにとってすごく重要な存在。でも私は、自分のお気に入りとしては「Going Under」を選ぶかな。

-最後に、本作のリリースと単独来日公演の実現を心待ちにしている日本のファンへのメッセージをお願いします。

私たちは日本が大好きで、みんなに受け入れてもらえていることをとても光栄に思ってる。そして、20年経った今でもこうして日本を訪れることができたという事実は、私にとって本当に大きな意味があることよ。またすぐに日本に行けますように。本当にありがとう!

EVANESCENCE
RELEASE INFORMATION

EVANESCENCE
デラックス盤
『Fallen (20th Anniversary Deluxe Edition)』
Evanescence - Fallen.jpg
NOW ON SALE!!
UICB-10011~10012/¥3,630(税込)
[Concord Records]
日本盤はSHM-CD仕様、歌詞対訳、解説付

[Disc 1]
1. Going Under
2. Bring Me To Life
3. Everybody's Fool
4. My Immortal
5. Haunted
6. Tourniquet
7. Imaginary
8. Taking Over Me
9. Hello
10. My Last Breath
11. Whisper

[Disc 2]
1. My Immortal (Band Version)
2. Breathe No More
3. Farther Away
4. Missing
5. My Immortal (Strings Version)* 未発売音源
6. Bring Me To Life (Demo)* 未発売音源
7. Bring Me To Life (AOL Session - April 15, 2003)* 未発売音源
8. Going Under (Live Acoustic - 2003)* 未発売音源
9. Bring Me To Life (Live On Triple M's Garage Session, Australia - June, 2020) *未発売音源
10. My Immortal (Live At O2 Arena, London - November 14, 2022) *未発売音源

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