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INTERVIEW

Non Stop Rabbit

2022.07.19UPDATE

2022年07月号掲載

Non Stop Rabbit

Member:矢野 晴人(Vo/Ba) 田口 達也(Gt/Cho) 太我(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-太我さんのドラムは、抑えた感じもありますが、マーチング的なロールがあるなど曲やメロディへのアクセントが効いています。

太我:これは僕的には「無自覚の天才」よりもロックなんですよね。バラードでも軽いバラードと重いバラードというのがあると思うんですけど、これはめっちゃ重いバラードで、レコーディングのときもスネアをもっと太くしたいとか、もっとぶっ叩こうみたいな感じで。今回の3曲の中では一番ロックかなって思います。

田口:海外のメタル・ドラムかっていうくらい、スティック振り下ろしていたよね。

太我:ほんとドラムぶっ壊れるかと思うくらいで(笑)。ノンラビのバラードは結構、ロックなものが多いんですよね。

-ということはかなりドラムにはこだわってレコーディングしていたんですね。

太我:この曲はわりとストレートというか、パッション系なので。もう1曲の「豆知識」みたいなふざけている曲のほうが、意外と大変でしたね(笑)。

田口:「恋愛卒業証書」では、スネアにこだわっていたよね。ロールのところだけ別のスネアにするとかいろいろ試してもらって。それこそ、腕を振り下ろすのも、高いところから振り下ろしてもらうとか、いろいろやってました。

太我:いろいろ試してやっていますね。

-ストレートでロックな表題曲、そしてバラード「恋愛卒業証書」でグッとリスナーを掴んだところで、次にいろんな豆知識が散りばめられた「豆知識」が出てくる。このカップリング2曲だけでも凄まじい飛距離があって、毎回のことですが、これを同じ人が書いていると思えないなと(笑)。

田口:3曲別の人が書いてるみたいな感じはしますよね(笑)。「豆知識」はノンラビ史上一番ふざけました。けど、ノンラビ史上一番ためになります。結局こんな歌が一番役に立つんですよ。

-ずっとへぇ~って思いながら聴ける曲ですよね。まず豆知識だけで歌にするっていう、その発想への感心のへぇ~もありますけど(笑)。

田口:音楽を聴いていて感動したり、心を動かされたり、そういう曲はいっぱいあるんですけど。ためになったことはないなと思ったんです(笑)。そこからでしたね。それでサビが出てきたんです。別に音楽はためになったことないから、ためになる曲があったほうがいいんじゃないかなって。で、豆知識をいっぱい入れてみようかなと。ライフハックじゃないですけど。これ聴いてても、親は怒らないだろうなって思ったんですよね。一応勉強してるのかなみたいな。

太我:たしかに。

-これは、歌詞を書くのに一個一個調べていったわけですよね。その労力たるやですよ。

田口:めちゃくちゃ大変でした。あとはメロディに合わないとか、これめっちゃおもろい豆知識なのに長ぇなとか、豆知識を伝えるうえでは言わなきゃいけないことってあるじゃないですか。ここは端折れないなというので、泣く泣く落選していった豆知識がいっぱいいます(笑)。

-これは歌う矢野さんも大変ですよね。延々と歌詞が違う。

矢野:そうですね。なので歌う気はないですね。

田口:なんで!?

矢野:もう、覚えられない(笑)。逆に豆知識ちゃんと理解して覚えれば、歌える曲なのでね。まぁでも、これは(田口と)ふたりで歌う曲なので、そういう意味では助かりますけど。

-で、その豆知識が載ってるトラックがめちゃくちゃかっこいいという、このギャップがいいですね。

田口:そこは意識しましたね。今回はラップを意識しているんですけど、その時期かなり海外のラッパーの曲を聴いていて。聴いてて思ったのが、絶対英語とかわかってないのに今の若者はかっこいいって言ってるよなって。極論、歌詞はなんでもいいってことだなと思ったんですよね。サウンドだけしっかりかっこ良く作って。あとちょうどその時期に映画の"SING/シング"を観たんです、その影響ですね(笑)。動物たちが踊ってる感じがかわいくて。

-それでディスコチックなサウンドだったんですね(笑)。話を聞くと、いろんなエッセンスが入っているけれど、これはNon Stop Rabbitでしかできないアウトプットですね。

田口:他のバンドだと、まず大人が許さないと思うんですよね(笑)。なんでこんな曲書いてきたの? ってなると思うんですけど。

−ノンラビの場合はそういうことを言う人が周りにはいないと。

田口:だって、面白い曲作ってきてって言われてますからね(笑)。でもこれはさすがにふざけすぎてるんじゃないかって、ちょっと不安になってハルに1回確認しました。やりすぎてるかな? って。

矢野:まぁ、でもやりすぎるくらいのほうがね。

田口:中途半端にやるならこれくらいのほうがいいんじゃないって? レーベルに出すときにはちょっと勇気がいりましたね。何やってるの? って言われるのかなと。緊張しながら、できましたって出しましたけど。

-太我さんは先ほど「豆知識」のほうが大変だったと言ってましたが、ドラムとしてはいろんな遊びをやってる感じですか。

太我:そうですね。ただ歌詞がめっちゃ遊んでいるぶん、ブレイクのところ以外はシンプルで。ノンラビは、歌詞が遊んでいるときは、ビートはシンプルにということが結構多いので、ブレイクのところだけは大変ですね。でもライヴであまりやらないテイでドラム叩いていたのでわりと無理してるんですよ。

田口:(笑)

太我:レコーディング終わったあとに、これライヴでやる可能性ある? って聞いたら、あるって言ってたので。

田口:当たり前やろ。

太我:結構ヤバいです。

-こういう曲はファンの人気も高くなりそうですからね。

田口:そうですね。僕らも全力でふざけられるので。あとMVもめっちゃ楽しみです。

-この曲でも作るんですか?

田口:レーベルに許可は取ってないですけど、勝手に衣装も進めているところです(笑)。今回「恋愛卒業証書」も、MVを作りたいと思っているんです。実現できるかわからないですけど、本当はMVというより短編のドラマみたいなものを作りたくて、その構想だけは練って動いているんですけどね。表題曲が「無自覚の天才」なので、まだ日の目を浴びてない子をオーディションして、そのドラマで使いたいなと思っていて。誰にでも天才の可能性があるみたいな意味も、逆にカップリングのほうで表現できたら、それがMVの良さにもなってくるだろうし。そういうのをやりたいなと思っているところですね。

-シングルとしてリリースする意味合いも出てきますね。アルバムはアルバムとして追求すること、深めることがありますが、シングルだからこそある程度脈絡のないこともできたり、全部突き抜けていていいっていうものができたりする。今回それを感じました。

田口:3曲くらいが一番いいですね。のびのびとそれぞれにエネルギーをめちゃくちゃ注げるので。こんなかっこいいジャケットなのに、最後あれがくるっていう。

矢野:ジャケ買いした人、頭おかしくなる(笑)。

-アニメを観て、ファンになったっていう人は実際にシングルを聴いて驚くかもしれないですね。また今回は、3月に行ったメジャー・デビュー後初めてとなった渋谷CLUB QUATTROでのライヴ"メジャー入り初のワンマンライブ!2年もLIVEしてなかったからリハビリさせてや!本気の2DAYS、4番勝負!~あの日の俺らを取り戻す~(エモぉー)"のライヴ映像も収録されました。改めてお聞きしたいのですが、ライヴはどうでしたか。

田口:そうですね。僕らは、コロナ禍になったからメジャー・デビューしようって思った、みんなとは逆のタイプなので、ライヴはことごとくできていなかったんですけど。メジャー・デビューしてからアルバム2枚とシングルを出しているので、その曲をやるとなると本当に大変でしたね。別にリハとかも入っていなくて、とにかく曲を作ってレコーディングをしてきた2年間だったので。弾けなくね? みたいな、最初はそんな感じでした。

-2デイズで4ステージ、少しずつセットリストも変わっていて。タイトルにあったリハビリどころじゃなかった壮絶なライヴでしたね(笑)。

田口:本当ですね。もう当分いいかなって思いました、こういう感じは。

太我:もう足もつりますよね。ほんとスポーツでした。

-お客さんとしては、やっとライヴが観られたという方も多かったと思うんですね。

矢野:たしかに初めてノンラビのライヴに来る人も多かったんじゃないですかね。2年もやっていなかったので。

田口:ライヴで初めてやる曲が多いので僕らもどう盛り上がるのかもわからないし、あとはお客さんの声が聞こえないライヴも初めてで、歓声がないことがどれだけしんどいかなんの情報もなしに出て行ってるので、その緊張感がありましたね。どうなるんだろうなっていう。でも、想像をしてもわからないし。なんなら僕ら、お客さん誰もいないと思っていたんです。ずっとライヴをやっていなかったので、目視でお客さんを確認しないと、これだけファンがいるんだって思えないんですよね。そういうところは、僕らはネガティヴというか。これだけライヴをやっていないと、昔みたいにはお客さんがいないかもねって思っていて。でも、いないところでも多少やってきたから、昔を思い出して頑張ろうっていう感じでした。

-ソールド・アウトしていてもそういう感覚があるんですね。

田口:中国の大富豪とかがいたずらでチケット買い占めてるんじゃないかとか(笑)。蓋を開けてみたら誰もいないみたいな。

-実際、歓声がない、制限もあるライヴというのはやってみてどう感じましたか。

矢野:でもいろんなことを想像しながらではあったんです。極端に言っちゃえば面白くないんだろうなと思いながらだったので、そう考えるとめちゃくちゃ面白かったですね。想像をいい意味で裏切られました。みんなの表情を見ていれば楽しんでいるのはわかるし、手も上がっているし。自分的にはそんなに違いはなかったですけど。でも、声は出たほうがおもろいでしょうけどね。テンション的には、お客さんもそのほうが楽しいでしょうし。その面では、もっといけたというのはありますね。

-そもそもなんで、2デイズで、1日2ステージでやろうとなったんですか。

田口:クアトロ(渋谷CLUB QUATTROのスケジュール)が取れたよって言われたんです。"メジャー・デビュー後初めてのライヴなのに、小さいでしょ"って文句から始まって(笑)。じゃあ、2日取ってきましたってなって、いや、そういうことじゃないでしょと。それなら、4回やればいいよねってなったんですよね。どうしても、いろんなバンドやアーティストがライヴを再開し出している時期だったので、全然ハコが押さえられないんですよね。しかも、僕らはYouTubeをやってるからいいですけど、そうじゃない専業で音楽をやっている方々が大きなところをやるのは当たり前だろうなと。僕らがそこに割って入っていくのもなっていうのはちょっとあるので。じゃあ、頑張って4公演やってみるかという感じだったんです。

-そのときは大変さとかはあまり考えずにですかね。

田口:考えられないですね、バカなんで(笑)。

矢野:なんなら最後のほうは、5公演にするとか言ってたよね。2日目を3公演やるかみたいな話も出てて、それはマジでやめてくれと(笑)。4公演で良かったです。

-8月からは、約2年ぶりとなるツアー"無自覚とは言いつつ多少は自覚がある天才ツアー2022"がスタートします。ようやくツアーができるなというところですね。

田口:久しぶりに名古屋、大阪にも行けるので、シンプルに僕らもお客さんと同じ気持ちというか。東京以外にも行けるようになったという事実が嬉しいです。しっかりライヴハウスですしね。それが楽しみです。だから、何を聴きたいか、お客さんに寄り添いたいなって思って、ツアーを発表したときにTwitterで"何聴きたい?"って聞いたんですけど。とにかく見せたことない曲がいっぱいあるんですよね(笑)。