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INTERVIEW

SHIMA

2021.09.03UPDATE

SHIMA

Member:EGACCHO(Vo) HIKIDA YUSUKE(Gt/Vo)

Interviewer:荒金 良介

-SHIMAはこうじゃなきゃいけない、という呪縛から解き放たれたと。そして、今回の8cmシングルのアイディアも最初は予定になかったそうですね?

HIKIDA:過去の代表曲「FUSUMA」(2016年リリースの1stフル・アルバム『WRAINBOW』収録)、「PARISLOTTE」(2015年リリースの2ndミニ・アルバム『SHIMA ADDICTION』収録)みたいな曲ができないと、シングルは切らないとMOPPYさん(※レーベル社長)に言われたんですよ。それでとりあえずレコーディングに臨んで、MOPPYさんに曲を聴いてもらったときに"シングルにする?"と言われたんです。しかも2枚シングルを切ろう、という話になったんですよ。

-8cmシングルのアイディアはHIKIDAさんから?

HIKIDA:そうですね。当時、ダブル・シングルにワクワクしたんですよ。hideが大好きで、ダブル・シングルと言えば、絶対8cmじゃんって。一度はダメと言われたけど......。

EGACCHO:そこでさらに押して、OKを貰いました。

HIKIDA:それで8cmシングルに仕掛けをして、いろいろと妄想してほしかったんですよ。サブスクは否定しないけど、音源を手に取ったときのワクワク感が薄れている気もして。8cmシングル第1弾の『JET GET』の中に第2弾の『MAKE IT MAKE IT』が出るというリーク記事を入れたら、買った人が広めてくれるかなと。

-ジャケットのアートワークは世代的に"マジンガーZ"を思い出しました。

HIKIDA:昔はCDを買ったときに、オモチャやプラモデルを手にしたような気持ちになりましたからね。あと、(アートワークで)なぜマスクをしているんだろう、とか想像してほしかったんですよ。Hi-STANDARDの『MAKING THE ROAD』も、(アートワークを見ながら)これが健(横山 健)さんなのかな? って、勝手に想像したんです。そういう余白も表現したかったんですよね。

-なるほど。「OVER」はコロナ禍という時代性を色濃く反映させた歌詞でしたね?

HIKIDA:リリースの頃にはコロナを乗り越えたぜ、という曲のつもりだったんですけどね(笑)。だから、これから始まるぜ! という気持ちを込めてます。曲はサッとできたんですよ。ただ、ラップ調のところは新しい試みかなと。早口はあったけど、韻を踏んでラップを入れたのはあの時代のミクスチャーというか、全体的に90年代がテーマにあったんですよ。

-SHIMAが思う90年代のミクスチャーと言うと?

HIKIDA:BACK DROP BOMBとか。

EGACCHO:THE MAD CAPSULE MARKETSもそうでしょ?

HIKIDA:大好きですね。山嵐も聴いていたし、今は同じレーベルですけどね。あと、SMORGASも好きでした。

-SUCK DOWNとかいましたよね。

HIKIDA:大好きでした! もともとRIP SLYMEも好きで、今回の「ISHITA」にはそれっぽいラップを入れてます。

-「JET GET」は沖縄要素が満載でした。

HIKIDA:IN-HIとか、沖縄メロコアも流行りましたからね。そこは勝手に持ってる引き出しが出た感じです(笑)。今回は結構いろんな要素が出まくっていると思います。

-「倍音SUSTAIN RIOT」は青春パンク的な臭いも感じます。

HIKIDA:B-DASHとか、あのへんですね。懐かしくて温かくなるパンクのテイストを入れようと。この曲は僕が歌詞を書いていて、初めて日本語詞で書きました。

-かなり赤裸々な歌詞ですよね。"あの日の僕の続きは今この胸の中光って"の歌詞にはどんな思いを込めて?

HIKIDA:完全に自分のことですね。実家の部屋でいつかバンドをやりたい、有名になりたいと思って、ギターを弾いている自分が今もいるんですよ。その記憶は続いているんですよね。メロディができたときにノスタルジックな雰囲気を感じたから、それでバーッと歌詞を書きました。死ぬまでずっとあの頃の自分は変わらないから。

-なぜこのタイミングでその頃の感情が浮上したんでしょうね?

HIKIDA:素直になれたのかな。コロナのせいもあるかもしれない。バンドをやれるのかなって、弱気になった時期もあったから。あの日ギターを始めたおかげで今があるし、全部続いているんだなと。

-8cmシングル第1弾作『JET GET』は日本語詞メインでしたけど、第2弾の今作は英語詞メインの楽曲が揃ってます。第1弾は日本語詞なのに、アグレッシヴなテイストが強く、今作は英語詞なのに、シンガロング要素の強いキャッチーな曲調が並んでいて、興味深かったです。

HIKIDA:今作のほうがメロウで爽やかに流れていく3曲で、第1弾のほうがドカン! ドカン! って感じですよね。それもSHIMAのふたつの武器をよく表せているし、ダブル・シングルだからこそできたことかなと思います。

-明確な決まりはありませんが、一般的には日本語詞のほうが親しみやすくてキャッチーに響き、英語詞のほうがヘヴィに聴こえる傾向が強いですが、SHIMAの場合はそれが真逆だなと感じたんです。

HIKIDA:たしかに、それは言われて気づきました(笑)。

-英語詞メインの今作は歌詞もより直球の内容が多くて。特に「MAKE IT MAKE IT」は言いたいことだけをズバッと突きつけてますよね。

HIKIDA:EGACCHOらしくないと思う人もいるかもしれないけど、新しいEGACCHOが出ているんじゃないかと。結構、繊細でナイーヴな人なんですよ。人前に出ると、サービス精神が出ちゃうので......陰と言ったらあれだけど、そういう部分も出せたかなと思います。これが俺なんだと言っても、その俺も変わっていくと考えているんですよ。どんどん吸収して、これも俺だと言えるのはかっこいいと思うから。

-"本質をごまかすことだってできるけど/楽しいっていう感情が素直に勝つんだよね"(※日本語訳)の歌詞は読めばその通りなのですが、これはどんな思いで?

EGACCHO:音楽でメシ食いたい気持ちがあり、それを自分たちが信じたやり方でチャレンジしたいんですよ。それを曲で伝えているつもりです。コロナもあり、ライヴも替え難いものだなと感じたし、音楽やライヴは尊いものやなと思ったから、その素晴らしさを伝えたかったんですよ。

-以前だったら、絶対に出てこない歌詞ですよね?

EGACCHO&HIKIDA:ははははは(笑)。

HIKIDA:コロナ禍でお客さんとか、人の思いが愛おしくなったんですよね。期待してくれたり、待ってくれていたりする人たちの思いに応えたくて......おじさんになりましたね(笑)。

-鹿児島の方言を曲名に付けた「ISHITA」は、SHIMAらしさ全開の楽曲です。

EGACCHO:僕は鹿児島出身で、18℃以下の液体が掛かったときに出る言葉ですね。僕はそういう認識だけど、最近の20代の子は言わないみたいですね。

HIKIDA:昔からEGACCHOが"いした!"と言っていて、"それ口癖?"と聞いたことがあるんですよ。

EGACCHO:そこだけ抜けないんですよ、反射的に出る言葉だから。

HIKIDA:「PARISLOTTE」みたいな無機質な言葉が欲しいと思ったから、"「ISHITA」で良くない?"と僕が提案したんです。この曲は不思議な感じもするから、よくわからない言葉の方がハマるかなと。

-「TC」はシンプル且つストレートな曲調ですね。

HIKIDA:自分の中で3コードの縛りを設けて曲を書きました。最近こういう曲もないし、いい曲ができたなと思っています。

-歌詞は自分の弱さを綴った内容になってます。

EGACCHO:弱い気持ちは日常やSNSでも、なかなか吐き出せるものじゃないから。俺は歌詞を書けるんだから幸せだなと思い、恥ずかしいけど、素直に書きました。

HIKIDA:以前、EGACCHOは限定的な歌詞を書いていたけど、今回は余白を残した抽象的な書き方で、聴いた人が自分に置き換えられる内容なんですよね。各々で世界を膨らませてくれよという歌詞だから、そこも新しい扉を開いたなと。だから、バンドとしてどんどん幅が広がってきましたね。