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INTERVIEW

THE SLUT BANKS

2020.05.12UPDATE

2020年06月号掲載

THE SLUT BANKS

Member:TUSK(Vo) ACE DRIVER(Gt) DUCK-LEE(Ba) GOD(Dr)

Interviewer:荒金 良介

前作『NOIZ THE RIPPER』を経て、THE SLUT BANKSが、約1年ぶりになるニュー・アルバム『Rock'n'Roll to the MAX』を完成。今作からGODをドラマーに迎え、新4人体制で臨んだ初作品はこれまでとはまた違う聴き応えがある。新しい血の導入によりバンドのモチベーションは一段と高まり、一曲一曲聴き進むにつれ、次はこんな楽曲でくるのか! とワクワクせずにはいられない。従来の荒々しいロックンロール・スピリッツはそのままに、縦横無尽に音楽の可能性を追い求めた今作について、メンバー4人に話を訊いた。


60年代後半から70年代前半のロックが一番面白かった


-今作のジャケットのアートワークはこれまでとテイストが少し違いますね。

DUCK-LEE:基本は一緒ですよ、バカにした感じは。オリンピックをやるかやらないかの時期にジャケを考えていたから......"ガスマスク着用をお願いします"と伝えたんですよ。

ACE DRIVER:(プールの)青がきれいだからかな。

DUCK-LEE:しょうがないよね、水は青いから(笑)。ロゴはオリンピックだけどね。

-今作のジャケも作品の内容に通じるものを感じたんですよ。爽快なポップさとカオティックな毒が入り交ざってますよね。

DUCK-LEE:曲はなんでもありという感じでやろうかなと。しかもキャッチーで、3分台に収めたくて。THE SLUT BANKSは別にメタル、パンク、ハードコアでもないし、なんでもありだと思うから。自分たちらしさがありつつ、それをアレンジでロックンロールに聴かせようと考えたんです。

-前作(2019年リリースのアルバム『NOIZ THE RIPPER』)と比べると、かなり作風を大胆に変えてきたなと思いました。

DUCK-LEE:前作は無駄なものを入れず、ダビングも少なめにして、勢いでやろうと思っていたけど......リスナーはそのへんの深いところまでわからないんで、同じことをやっても仕方ないから、ガッチリ作るのもいいかなと感じたんです。自分たちらしさをなくさない程度にポップに、キャッチーにやろうって。

-ええ、ポップでキャッチーな成分は高まってます。前作のシンプルな作風とは真逆というか。

DUCK-LEE:あまりライヴのことを考えずにやりました。そしたら、世の中的にもライヴができない状況になったという。

一同:ははははは(笑)。

-ACE DRIVERさんはいかがですか?

ACE DRIVER:いつも通りに100パーセントの気持ちで頑張りました。DUCK-LEEさんが書く曲はキャッチーなので、それにちゃんと色づけできるようにしましたね。期待に応えられたかはわかりませんけど。ボーイ・スカウトのように指示を受けつつ、レコーディングしました。

-レコーディングの雰囲気はいつもと違いました?

ACE DRIVER:大きくは変わってないけど、コントロール・ルームでレコーディングしたんですよ。以前はアンプの前で弾いてたんですけど、今回はレコーディングっぽい雰囲気でしたね。スライド・ギターを弾いたり、いろいろとチャレンジできたので、楽しめました。

GOD:自分は今回初めての参加でしたけど、THE SLUT BANKSの以前の音源を聴いて、こういうバンドだなというイメージがあったうえで制作に臨んだんですよ。スタジオでやっているぶんには大きな違いは感じなかったけど、実際に曲が組み上がって、完成したものを聴くと、思っていたアレンジとは違いました。やってる側ではあるけど、いい意味で裏切られたなと(笑)。

-思っていたアレンジと違った部分というと?

GOD:「真冬青空」にピアノが入っていて、THE SLUT BANKSにはこれまでバラード・タイプの曲もあったので、そこまでギャップは感じなかったけど、今作はそれ以外の結構速い曲にもピアノやオルガンが入っていたので、"そういう曲もやるんだ!"って思いました。

-なるほど。TUSKさんは?

TUSK:GODは24歳なんですよ。若いドラマーが全面的に参加してくれたのが嬉しくて。あと、DUCK-LEEさんが今回作った曲は、20数年前にTHE SLUT BANKSを始めたときに貰ったデモ・テープと、印象が近かったんです。俺としては、DUCK-LEEさんの曲のイメージを歌詞でどんだけぶっ壊してやろうかなと考えました。

-当時のデモ・テープはどんな作風だったんですか?

TUSK:泣きのメロディがあったりするけど、根底にはゴリゴリのロックがあるという。4人だけでガチャガチャとアレンジするのも楽しかったですね。もしかしたら、GODの若いエネルギーを吸収して、そういう方向になったのかもしれない。

-今作は新4人体制で初の作品になりますが、また新たなケミストリーを感じる場面もありました?

DUCK-LEE:ドラムは若さゆえの粗削りな部分を持っているから、ロック・バンドの音が出ているんじゃないかと。彼(GOD)は身体がデカいし、スネア一発の音もすごく好きでねぇ。本人は全然意識してないだろうけど、John Bonham(LED ZEPPELIN)みたいな音を出すし、俺はそういうロック・ドラマーが好きだから。

-特に、「剃刀」はドラムが大暴れした曲調ですね。

DUCK-LEE:俺が"やれやれ!"と言ったんですよ。Keith Moon(THE WHO)とか、ああいう音を聴かせてね。そのへんのおじさんでも上手い人はいるけど、若さゆえの荒々しさが出ているから、音の平均年齢はすごく下がったと思う。

-今作はいい意味で散らかった、奔放なロック・アルバムですね。そこはLED ZEPPELINやTHE WHOなど、往年のロック・バンドたちが放っていた衝動性を意識してのものだったんですか?

DUCK-LEE:うん、自分は60年代後半から70年代前半のロックが一番面白かったし、その時代の音が好きだからね。80年代の音はあまり好きじゃないから、今回はそういう雰囲気を出せて良かったなと思う。ドラムに"叩き倒せ!"とリクエストしたから。

ACE DRIVER:DUCK-LEEさんのドラムのOKテイクの基準もやり込んだらまとまっちゃうから、2回ぐらいしか叩いてないんですよ。そこも絶妙でしたね。

DUCK-LEE:今回はドラマーがひとりだったから、彼に合わせて曲を作ることができたし、それも上手くいったと思う。

-前作はドラマーふたりで制作した作品でしたからね。今作はGODさんのドラム・スタイルから着想を得たところもあったと。改めて、GODさんが加入した経緯は?

DUCK-LEE:前に参加してくれたTAKAURA(TAKAURA TOMMY/たかうらみつたか)君が、マカロニえんぴつのサポートで忙しくなったこともあり、他にいいドラマーを紹介してくれるということになったんです。最初スタジオに入ったときは嬉しかったですね。"あぁ、まだバンドは続けられるな"って。

-最初にスタジオで音を合わせた印象はどうでした?

DUCK-LEE:もうスネア一発のカン! という音が好きだからさ。盛り上がりましたね。

GOD:まず、ビックリしたのは、今まで自分がやっていたバンドでは考えられないくらい中音(なかおと)がデカくて。

-それは歴代のドラマーの方がみんな言ってます(笑)。

GOD:THE SLUT BANKS関係のドラムの人と話すと、だいたいその話になりますね。TAKAURAさんが叩いているときのライヴも観ましたけど、音圧がすごいバンドだなと。合わせる前は内心ビクビクしてました。実際、スタジオに入ると、中音がダイレクトにきて、そのなかで必死にやったので、気に入ってもらえたのかなと思います。

TUSK:若いお兄ちゃんが一緒にやってくれるのが未だに信じられなくて。長く一緒にやりたいなと考えています。俺が24歳だったら、50代のおっさんたちと一緒にやりたくねぇと思うからさ。

一同:ははははは(笑)。

ACE DRIVER:リハに入ったときにチューニングしてるときのスネアの音がバシバシきてましたからね。若いから、パワーもすごいんだけど、痒いところにも手が届くので、安心感がありました。

-GODさんのルーツ音楽はどのへんになるんですか?

GOD:ドラムをやり始めた頃は先生から「世界に一つだけの花」とか、Jポップの曲を渡されてコピーしてましたね。当時はBUMP OF CHICKENも好きでコピーしたり、それからメロディックのELLEGARDENだったり、メロディックではないけど、9mm Parabellum Bulletも聴いてました。ドラムのプレイ・スタイルのルーツはTOTALFATですね。

-あっ、Bunta(TOTALFAT)さんから強い影響を受けているんですね。

GOD:そうなんです! 高校時代はBuntaさんの影響を一番受けました。ライヴでスティックを投げるパフォーマンスだったり、速い2ビートを片足ダブルでやるスタイルだったりを自分で習得しようと思ったのは、Buntaさんの影響ですね。

TUSK:GODはライヴ・パフォーマンスも派手で、そこも最高なんですよ!