－あと、今作はピアノやオルガンなど上物をふんだんに取り入れていることもあり、実に表情豊かでカラフルな作品に仕上がっています。

DUCK-LEE：そう言ってもらえると嬉しいですね。してやったりというか。曲数が多いのも、締め切りやノルマに追われたとかじゃなく、普通に曲が出てきたんですよ。

－そうなんですね。オープニングの「サクラハナビラ」から"ぽっくり逝っちまってあとのことは知らねぇよ"と歌詞で始まりますが。

TUSK：単純にぽっくり死にたい気持ちを表そうと。歌詞を書き始めたのは今年になってからだけど、新型コロナウイルスが出たじゃないですか。それとは関係なかったけど、全体的に聴いて、リンクするような歌詞もありますね。

－「真冬青空」みたいなバラードが3曲目に来るあたりにもツボを突かれました。これは弾き語りで作ったんですか？

DUCK-LEE：そうっすね。アレンジは二転三転しました。何度も録り直したし、一番アレンジで考えたかもしれない。

ACE DRIVER：この曲をやるうえでDUCK-LEEさんから、"Duane Allman（THE ALLMAN BROTHERS BAND／Gt）を聴いてこい"と言われたので、THE ALLMAN BROTHERS BAND を聴きまくりました。70年代とか、昔のロックを改めて聴くと良かったですね。若い頃に聴いたときは敷居が高かったけど、今聴くと親しみを感じたんですよ。新しい発見がありました。

DUCK-LEE：おじさんバンドならではでしょ？

－若手バンドには出せない味わい深い曲調です。「美しいキッス」は12弦ギターみたいなニュアンスが出てますが、これは？

DUCK-LEE：そこはシタールのエフェクターを使ってるの。倍音を鳴らすから、そういうふうに聴こえるのかなと。

ACE DRIVER：ちなみに、シタールのフレーズはDUCK-LEEさんが弾いてますからね。

DUCK-LEE：マニアックなんだけど、あの曲はモーグ・シンセサイザーやオルガンを入れているんです。そこはURIAH HEEPからきているんですよ。

－オルガンをフィーチャーしたURIAH HEEPインスパイアでしたか！ 今作はDUCK-LEEさんのルーツ音楽が随所で炸裂してますよね。

DUCK-LEE：あの時代の音楽がかっこ良かったと信じている部分があるからね。

－しかも、「美しいキッス」はスカ・リズムを用いてますよね。

DUCK-LEE：俺の場合はアレンジに困ったら、スカにするという。普通にやると、歌謡ロックみたいになっちゃうけど、スカにすると、"考えてるんじゃね？"というふうに見えるからね（笑）。

TUSK：途中で女性のあえぎ声が入っているんですけど、それは北九州のポール・ダンサーに入れてもらいました。

－そして、「2月のさよなら」は今作の中で一番ビックリしました。

DUCK-LEE：そうね。俺はああいう曲も好きだから。途中でギター・ソロが出てくるけど、気づいたらYMOじゃん！ って。それも自然に出てきたんですよ。"ヤベぇ！"と思ったけど、みんながこれでいいと言ったから。

ACE DRIVER：YMOも好きですからね。

DUCK-LEE：THE CLASH、THE POLICEとかあのへんも好きで、なんちゃってレゲエみたいな曲もすごく気に入ってたから。

－たしかにレゲエっぽい色合いも感じるし、アレンジもユニークですね。

ACE DRIVER：好きなタイプの曲ですね。DUCK-LEEさんは普通に作っていると思うんですけど、自然の流れでこういう曲が出たきたのはいいなと。

GOD：最初に曲を渡されたときに異色だなと思ったし、セクションごとに軸が変わるというか、同じ曲をやってる感覚がなかったので、苦戦した部分もありましたけど、楽しんでやれました。

TUSK：80年代の音楽はリアルタイムで得意分野ですからね。歌詞は映画のワンシーンみたいなものをつけました。

－今作を発表後はレコ発ツアーという流れだと思いますが、現在はなかなか難しい状況ですね。今後については？

TUSK：ツアーはコロナの影響で思ったようにできないので、まずはアルバムを聴いて、免疫力を高めてください。

ACE DRIVER：みんなが元気で待ってくれることが一番なので、アルバム聴いて準備してもらえればなと思います。

GOD：とりあえず無事にライヴをやれたらいいなと思います。飢えている状態ですから、それ以外のことは考えられないですね。

DUCK-LEE：いつも通りに元気にやれたらいいかなという。ライヴができればいいですね。