－なるほど。そして、先ほど話の流れで少し出てきましたが、新曲の「I Wish for You」がR!Nさんの作詞作曲ということで。

R!N：はい。

－この曲はもともとバンドのために書いた曲ですか？ それともその前から持っていた曲だったのでしょうか？

R!N：この曲は去年の夏に書いたので、個人の活動が休止に入ってからAldiousの新曲として書いた曲です。Aldiousのバンド用に私が一番初めに書いた曲ですね。なので、アルバムに収録されることになって嬉しいです。でも、なぜ1曲目がバラードなのかって気になるところだとは思うんですけど、今までの自分の活動ではバラードがすごく多かったので、まずは得意分野から入ろうと思ったんです。そして、Aldiousのこれまでの曲にもバラードは結構あったので、ちょっと差別化しないといけないなっていう思いもありました。暗い曲とか、切ないバラードとかって結構多かったと思うんですけど、その中で明るいバラードっていうのがまだなかったような気がして。且つ自分自身の等身大の力でAldiousの曲を書くとしたら、バラードのほうが自分らしさもあるし、聴いてくれる方に、バンドが心機一転新しい出発をしますっていうところでの意外性や、可能性も感じてもらえたらと思ったんです。これからファンになってくれる方々とか、今までもずっと応援してくださってるファンの方々、そして、私のソロのときのファンの方々も徐々にライヴに足を運んでくれるようになったので、"Aldiousに入ったR!Nです！"っていう気持ちを込めて作りました。

－なるほど。しかし、新曲1曲を入れますってなったときに、それがバラードっていうのは、アルバムの位置づけとしてはすごく重要なことだったんじゃないかと思いますが。

Yoshi：去年のツアーではセットリストにバラードをずっと入れないでやっていたんですけど、ほんとは入れようと思っていて。ただ、ファンの方々が、"まだバラードを聴く心境に切り替えられない"っていう意見が多かったんですよ。当初はR!Nが、Aldiousのバラードが好きだって言ってくれているし、彼女もピアノで弾けるくらい練習していたんですが、"ごめん、ちょっと予定していたのに申し訳ないけど、待ってもらっていい？"っていうことでセットリストから外したんです。でも、だったらいつからバラードができるかっていうのもわからなかったし、とりあえず"R!Nちゃんのバラードだったらいいかな"ということになって。R!Nちゃんから曲を貰って、私のほうでアレンジを考えてみてシンフォニックなバラードにしてみたんですけど、それを12月の名古屋と東京のライヴで2回だけ披露したんです。そこからさらに、今回プロデュースしてくださった大島さんのほうで、もっと聴きやすい素敵なアレンジにしてくださったので、それこそR!Nちゃんのファンだった方も、すごく聴きやすいサウンドになっているんじゃないかなと思います。

R!N：ぜひ聴いてほしいです！

－その流れを聞くとすごくよくわかりますね。ファンの心情も踏まえてっていうことでは、たしかに。

サワ：バラードは感情移入がしやすいですからね。

－曲の構成でいうと、ストリングスからスタートしてイントロからすでに超壮大で。最初からもう別の場所に連れていかれるみたいな。

Yoshi：ストリングスも全部生で作ってもらっています。

－豪華ですね。

Yoshi：そうですね（笑）。

－すごくきらびやかなイメージの曲ですけど、予算面もきらびやかな（笑）。

Marina：映画のエンディングのような壮大さですよね。

－あとは歌番組で歌ってそうな感じというか。

Marina：あぁ、たしかに（笑）。

－カメラがクレーンで上から降りてくるみたいなイメージでした。

一同：（笑）

－いろいろな意味で期待感を持たせるような楽曲ですね。ツイン・ギターのソロとかもあって、壮大になる工夫が様々なところに。

Yoshi：リズムも4分の3でワルツになっているので、ギター・ソロもどうしたらいいんだろうってすごく悩みましたね。

－曲の全体像っていうのは、みなさんで作っていった感じですか？

Yoshi：プリプロを大島さんのほうでしてくださって、それを自分たちなりに手直ししてっていう感じです。

－なるほど。そして、今回がR!Nさんにとっては初の制作になるわけですが、いかがでしたか？

R!N：今回は新曲が1曲のみで、それ以外は全部リレコーディングということになったんですけど、レコーディングを通して改めて自分がAldiousのメンバーになった実感が湧いたというか。これが世に出たらもっと実感が湧くとは思うんですけど、もっともっとこれからの可能性にかけて、バンドと一緒に走っていけたらなっていう決意の1枚になりました。

－他のメンバーのみなさんは今回のレコーディングをしてみての手応えとか、感じたことはありますか？

Yoshi：大島さんは初めてお世話になる方だったので、個人的にはアレンジがすごく大変でしたね。ピアノで作ったフレーズをギターで弾く感じだったんですけど、"どうしても指が届かない......！"みたいな感じで（笑）。自分なりにアレンジはしたんですけど、きれいに弾くのは大変でした。キーが変わる部分があるんですけど、そこはカポをつけましょうっていうことで。ライヴではできないんですけど、もう"ライヴはライヴ、レコーディングはレコーディング"ということで割り切って。そういうことは初めてでしたね。その部分はアレンジ優先でした。

Marina：大島さんとは今回初めてレコーディングをさせていただいたんですけど、とても勉強になることがいっぱいあって。最初はすごく緊張していたんですけど、"いつもと違うじゃん、どうしたの？"とか言って（笑）、私が緊張しているのをわかって和ませてくれたり、アーティストがどういう空気感でやったら、自分の持ち味を出せるかっていうのをわかっていて、そういう空間作りから気にかけてやってくれていたんです。そのおかげもあって自分が思いつかなかったようなことが出てきたり、自分が悩んでるテイクにも"じゃあ納得いくまで録ろう！"って言って何度も録ってくれたりした部分があって。もちろん今までも納得いくまでやるっていうことはしていたんですけど、今回の大島さんのやり方から学んだことはいっぱいあります。今回のバラードのドラムのフレーズに関して言えば、今までのバラードとは違う感じでリズムを刻んでいるんですけど、アルバムにおいても、やはりそこだけ世界観がパッと開けるような感じがするんですよね。なので、これからのAldiousに続く道が開ける感じで、いろいろなことが勉強になったアルバムだったなと思います。

サワ：今までのAldiousの曲とはかけ離れた曲調じゃないですか。そして、大島さんのアレンジがメジャー感のある、キラキラした、私たちにないもので（笑）。さらに、使っているコード進行とかも私たちが普段使っているものとは違って、複雑でオシャンなものだったので......。

－オシャン（笑）。

サワ：そういうところにビックリしたのと、"あぁ、これがプロの世界なのね"っていう勉強にもなりました。なので、今までの私たちが破れなかった殻を割って、ワンランク上のステージに連れていってくれたっていう部分はありましたね。

－では、リリースを控えた今後の予定など教えてください。

Marina：私は自身初のドラム・クリニックを、4月11日に†DESEO mini with VILLAGE VANGUARDにて、シンバル・メーカーの"SABIAN"さんとのコラボ企画としてさせていただきます。これは、本当に私にとって新たなチャレンジになるので、ドラマーじゃない方も初心者の方も、来ていただいた方みんなが楽しめるようなイベントづくりにしたいと思っています。ツアー前ですが、Aldiousの曲もデモ演奏しますし、ライヴではなかなか見えないドラムが間近で見られる機会なので、どうやって叩いているかとか、いろいろ解説できたらいいなと。

Yoshi：Aldiousの予定としては3月20日の祝日、この日はトキの誕生日なんですけど（笑）、タワレコの新宿店で12時から、同じ日の夕方に新宿マルイ アネックスでサイン会があります。そして3月21日には、大阪のTOWER RECORDS梅田大阪マルビル店で15時からサイン会があるんです。それから、3月11日から"Aldious展"という楽器や衣装の展示がありまして、楽器も間近で見れますので、ぜひ来ていただけたらと思いますね。さらに、4月からは、また恒例のツアー（[Aldious Tour 2020 "Unlash"]）があります！ 4月25日が初日で横浜F.A.D、そこから全国30公演決まっていて、東京は7月24日に恵比寿LIQUIDROOMであるんですけど、それがオリンピックの初日なんですよ（笑）。なので、遠方から来られる方はホテルをなんとか確保していただいて。

－近場でも早めに行かないと無事に辿りつけるか......。

Yoshi：電車とかもどうなるのかわからないですよね......。なので、早めに情報をチェックしてもらえればと。

－では最後に、激ロック読者へのメッセージをお願いします。

Yoshi：去年は途中からR!Nがゲスト・ヴォーカルとして参加したり、トキが途中から産休に入ったりと、なかなか思うように活動ができなかったんですけど、今年は初めてこの5人の完全体のAldiousで活動できるので、ぜひライヴに足を運んでもらいたいなと思います。今年のツアーからは、今までやってこなかった未発表の新曲をライヴでやったり、今までになかったような演出をやったりしたいなと思っているので。個人的に特にやりたいなと思っているのは、去年R!Nにもピアノを弾いてもらってインスト曲を演奏したんですけど、それが機材の都合やライヴハウスの都合で2回くらいしかできなかったんですよ。なので、今年はR!Nにももっと演奏面でも参加してもらえるような構成でやりたいなと思ってます。彼女はギターとピアノとトランペットができるので。そういう今までになかった部分を見せていきたいなと思っています。ぜひチェックしてください！