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INTERVIEW

Octaviagrace

2019.12.20UPDATE

2019年12月号掲載

Octaviagrace

メンバー:実稀(Vo) Youske(Ba) Ko-ichi(Dr)

インタビュアー:吉羽 さおり

EP『new eclosion』から約1年2ヶ月を経て完成した2ndフル・アルバム『Radiant』。今作でまず耳を奪われるのは、グッと視界が開けたような高揚感のあるサウンドだ。Octaviagraceらしい繊細なディテールと濃厚に音が絡み合う重厚感も押さえているが、よりノリやグルーヴが生かされ、ポップ性の高い曲が揃っている。今回は、バンドとして初めて外部のアレンジャーやキーボーディストを招き入れる制作を行った。キャッチーさ、テクニカルな構築性、ヴォーカル 実稀のエモーショナルな歌といったバンドの持つキャラクターを、第三者を交えることで引き出し、バンドとしても柔軟な姿勢で取り組んだ結果が形になっている。そんな今作の背景についてメンバー3人に話を訊いた。

-バンドの印象がこのアルバム『Radiant』でまた新たになりました。バラエティに富んでいるのももちろん、曲としてのポップ性がとても高くなった作品ですね。

Youske:今までもそうなんですけど、もっといろんな人にとか、もっとポピュラーなロックや広い世界に伝えたいとかは言っていたんです。でも、いまいちそこに絞れていなかったというところがあったんですね。今回は、シンセサイザーやキーボードをいろんな人にお願いすることになって。作曲者自身は変わってないんですけど、結果としてアレンジの部分でかなり変化がつけられるいいきっかけになりましたね。今までのOctaviagraceらしさとそうじゃない部分を、しっかりと強調していこうというところがはじめにありました。

-その方法をとってみて自分たちとしての感触はどうでしたか?

Youske:面白かったですね。メンバーだったReanne(Key)君が脱退したあとも、前作のEP『new eclosion』(2018年リリース)では一緒にやってくれていたんです。今回は初めてお願いする人たちに依頼したこともあって、どういうのが返ってくるかわからなかった部分もあったので、どんな感じに変わってくるのかなというのが一番楽しかったですね。

-アレンジなどをお願いするにあたっては、具体的なオーダーなどはあまりせずにいたんですか?

Youske:厳密なオーダーはしていないですね。あとからブラッシュアップする際にオーダーをすることはあっても、完全にお任せだった曲もありました。

-初めての方にお願いする怖さみたいなものっていうのはなかったんですか? また、今回お任せするにあたっては、どんな人選だったんでしょう。

Youske:幸いそんな外れたものになっていないし、すごいなという印象でしかないですよね。今回は4名にお願いしているんですけど、その内のふたりはよく対バンしているe:choというバンドのY.O.U.(Ba/Syn/Pf)さんと、ASURAというバンドのM(Gt)君で、もうひとりは僕が6年くらい前から知り合いだった、Satoshi "iwapyong" Iwase(岩瀬聡志)さんという、いろんなバンマスやキーボード・アレンジャーをやっているベテランの方なんです。その方にお願いをしたら快諾していただいたのと、もうひとりは実稀のほうからですね。

実稀:村田祐一さんというゲームやアニメ界隈で活躍されている方で、もともと知り合いというわけではないんですけど、5年くらい前、カラオケに行ったときにスマホ・ゲームの告知プロモーションが流れていて、そのBGMの楽曲がすごくいいなと思ってゲームをダウンロードしたんです。でも、曲は誰が作っているのかがわからなくて、ゲームの運営会社に"この曲は誰が作っているんですか"って問い合わせたら、親切にお名前を教えてくれて。BGMの販売はしていないということだったんですが、教えていただいたお名前から村田さんのTwitterを見つけて、プロフィールのメールアドレスに、"とてもいい曲だったんですけど販売はしないんですか?"とか聞いたところから繋がりができまして(笑)。

-いろいろ聞いてみるものですね。

実稀:そのときに私も音楽活動をしていることはふわっと伝えてたりしたんですけど、その後も私のTwitterをご覧になってくださっていたようで、Octaviagraceの1stアルバム『Outward Resonance』(2016年リリース)が出た際に、ご自身でそれをお買い上げくださっていて、リリース後のワンマンに遊びに来てくれたんです。そこから新作が出るたびにCDをお送りしていて。

-では、こちらもOctaviagraceのことをわかっている方ですね。

実稀:そうですね。今回誰かもうひとりということだったので、ここで一緒にできたら面白いし、初めの繋がりからここまでこれるって運命的だなと思ってお願いをしたら、快く受けてくださって。業界の方なので、実はIwaseさんともお知り合いということが後々発覚したりして(笑)。

-身近な方からキャリアのある方までと幅広い人脈にお願いしたんですね。担当する曲の振り分けも大事だと思いますが、そのあたりはどう決めていったのですか?

Youske:普段から対バンをしている仲のいいふたりに関しては、得意な曲調や普段自分のバンドでどんなシンセを使っているかがわかっていたので、それに適するであろう曲をお任せしていて、Iwaseさんと村田さんに関しては、アイディアをフルでくださいという曲をお任せした感じでしたね。

-では、まず一番びっくりした曲からおうかがいしようかなと思うんですが、それが「lastscene」で。このキラッキラとした、ちょっとジャジーなポップ・チューンがとてもいいなと思いました。

実稀:そうなんですね。これは1stアルバムに「俄雨」という曲が入っていて、その延長線上にあるようなイメージでした。その時点で揃っていたデモがキメキメの疾走感のある曲が多かったので、アルバムの中でのバラードっぽい位置づけというか、ちょっと気を抜いて聴いてもらえる曲がほしいなと急遽足したデモがこの曲だったんです。この曲のシンセ・アレンジはY.O.U.さんにやってもらったんですけど、シンセのアレンジはお任せで。ある程度私が入れていたデモのシンセ・パートのイメージをもとに広げてもらいました。結果的に曲にぴったりのすごく贅沢なアレンジをしてくれて。私もとても気に入っている曲です。

-この曲がアルバムとしては真ん中あたりに収録されるので、いいエッセンスになりますよね。

Youske:見抜かれていますね(笑)。前半と後半とを分けるような曲になっていて。

-普段の曲はハイカロリーな演奏が多いと思うんですが、こういう心地よいサウンドでは抜きや空気感というのも大事でアプローチも変わりそうです。

Youske:この曲も楽ではないんですよね。

Ko-ichi:うーん、楽よ?

Youske:そうなの(笑)?

Ko-ichi:それ以外の曲がゴリゴリなので、これは逆にリラックスして軽やかにシャッフルするという感じで。

実稀:意外とこういうのが好きだよね。

Ko-ichi:好きですね。前の作品でもこういったグルーヴを意識した曲調はあるんですけど、この曲は最後の部分で作曲者(実稀)に"ここは暴れて?"って言われたので、そこだけ気を張っている感じです。

実稀:"最後はソロっぽい感じにして"ってオーダーを出したのに、普通に返してきたから、変えてもらったんです。ドラムが変わるとそこでベースも変化をしてくれたり、ギターもソロっぽい回しを入れてきたりして、アウトロの暴れ具合は気に入っていますね。

-そういう部分が出てくるとOctaviagraceとしての味が濃くなる感覚ではあると。

実稀:1stアルバムの「俄雨」のときはReanne君がいたので、ピアノ・メインのソロをやってもらっていたんですけど、今回は4人だから、それまでピアノで任せていた部分を、hanako(Gt)のソロでリードしてもらうという変化はありました。

-アルバムを幕開けるのが「Raise a Belief」で、エンジンをかけて走り抜くような曲です。ちなみにこの曲の仮タイトルが"Showtime"というものでしたが、デモ段階でこの勢い良く開けていく感じをイメージしていたんですか。

Youske:僕が"Showtime"という名前でデモを作ったんですけど、曲として面白い感じにしたかったんですよね。いつも通り疾走しているんですけど、中間では変なソロがあったり、ドラム・ロールのところで手拍子なんかもできたり、王道っぽい展開なんですけど、そのなかで凝ったことを交ぜているというのでは、幕開けっぽいところもありますし。わちゃわちゃと騒げる曲ということでデモのタイトルを"Showtime"としていたんです。

-この曲は、1曲目として作っていたものだったんですか?

Youske:1曲目にしやすいだろうなとは思っていたんですけど、今回1曲目に持っていけるだろうなという曲が自分の中ではもう1曲あったんです。1曲目にアルバムの中心になる曲をあえて持ってくるか、全体の構成を考えて幕開けの感じを出すかで悩んだんですね。「Raise a Belief」は今までと違ってイントロにEDMっぽいシンセもあって、今までのOctaviagraceを考えたら"おっ"と耳を引くスタートだったのでこれを選びました。ただ、これを考えてくれたのはシンセを依頼したM君だったんですね。最初はドラム・ロールで始まっていたんですけど、"ちょっとエレクトリックなものを入れて"ってオーダーをしたら、こういうシンセが返ってきたので、ドラムをすべて外してシンセだけにしたんです。

-たしかに、ここでまず今回のアルバムはちょっと違うんだぞっていうバンドの変化が掴めますもんね。それはアレンジをしたMさんも汲んでくれたところですかね。

Youske:お互いがお互いのバンドを研究し合っていると思うので、彼もそこらへんは加味してくれたのかなと。

Ko-ichi:いきなりシンセで始まるので、リスナーさんは"どうしたの? 変わったの?"って感じるけど、そのあとでいつものOctaviagraceらしさがくるので、いい印象が与えられているんじゃないかなと思いますね。