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INTERVIEW

MODERN DAY BABYLON

2019.08.14UPDATE

2019年08月号掲載

MODERN DAY BABYLON

Member:Tomáš Raclavský(Gt/Prog)

Interviewer:菅谷 透

東欧はチェコ発の超絶技巧インストDjent/プログレ・メタル・トリオ、MODERN DAY BABYLONが、激ロック招聘により9月に初となる来日公演"激ロック presents MODERN DAY BABYLON JAPAN TOUR"を行う。8弦ギターを自在に操る超絶ギタリスト、Tomáš Raclavskýを中心に結成され、その楽曲のクオリティの高さに、シーンでは知る人ぞ知る存在として早くから注目を集めていた彼らだが、来日公演のニュースで初めてバンドを知ったという人も多いのでは。そこで今回、バンドのマスターマインドであるTomášにメール・インタビューを実施。音楽的なバックグラウンドやディスコグラフィ、そしてツアーへの意気込みを訊いた。

-激ロック初登場ということで、まずは読者に向けて自己紹介をお願いできますか?

俺たちはチェコを拠点としている3人組のDjentバンドなんだ。バンド形態で活動して7年で、THE ALGORITHM、BETRAYING THE MARTYRS、SKYHARBOR、FROM SORROW TO SERENITYなどのバンドと世界中を回ってきた。フル・アルバムは3枚、EPは2枚作っている。この3~4月には中国で初めてヘッドライン・ツアーをやったよ。アジアの文化をもっと見たくて待ちきれないよ!

-もともとはTomášのソロ・プロジェクトとして始動したそうですね。プロジェクト始動のきっかけや、バンド編成に至った経緯を教えていただけますか?

俺がAFTER THE BURIALやANIMALS AS LEADERSみたいなDjentバンドのカバーをYouTubeに投稿し始めたことからすべてが始まった。それからオリジナル曲を作ろうと決めて、初めての曲を書いたんだ。それでいい反応を得ることができたから、フル・アルバム『The Manipulation Theory』(2011年リリース)と『Travelers』(2013年リリース)を書いた。そのアルバムへのファンの反応が素晴らしかったことを受けて、ちゃんとしたバンドを結成してライヴをやろうというアイディアが浮かんだんだ。

-MODERN DAY BABYLONというバンド名の由来についてもうかがえますか?

バンド名はTosin Abasi(ANIMALS AS LEADERS/Gt)が昔やっていたバンド、REFLUXの曲「Modern Day Babylon」に捧げたものなんだ。俺が8弦ギターを弾き始めたきっかけのひとつがそのバンドだった。Tosinのテクニックに衝撃を受けて、この方向に進むことに決めたんだ。

-チェコの音楽シーンについて教えていただければと思います。私の知る限りでは、"Brutal Assault""Obscene Extreme Festival"などの音楽フェスティバルが行われているように、エクストリーム・ミュージックも盛んなイメージがありますが、実際のところはいかがでしょう? どのような音楽が流行っているのでしょうか?

チェコの音楽シーンは本当に大きいよ。"Rock for People""Colours of Ostrava"をはじめ、メタルだけじゃない音楽フェスもたくさんあるんだ。バンドも同じだね。たくさんのミュージシャンがバンドを結成してショーをやって、ビデオ・クリップを作って、とにかく自分たちの愛することをやっているんだ。ただ、ヘヴィなスタイルの音楽をやっているバンドは多いけど、このスタイルは俺たちの国ではそんなに人気があるわけじゃないんだ。俺たちが海外でプレイしているのはそれが理由だね。たいていの人はポップ・ミュージックとか、その手のスタイルが好きだから。

-MODERN DAY BABYLONはテクニカルなグルーヴとアンビエント・パートを対比させたサウンドが特徴的です。どのようにしてこのスタイルに辿り着いたのでしょうか?

これは俺のサウンド・エンジニアリングの経験があってこそだね。自分のやることに心血を注いでいるんだ。様々なスタイルの、たくさんのバンドのレコーディングやプロデュースを手掛けているから、ものごとを違ったアングルから見ることができるようになった。そして、すべての活動の中からベストなものを俺たちの音楽に活かしているんだ。俺たちはそれぞれ違う個性を持っていて、違ったタイプの音楽を聴いている。だからこそ俺たちの音楽はユニークなんだ。

-これまで数曲のヴォーカル・バージョンを除き、インストゥルメンタルで作品をリリースしていますが、こうしたインストの形態で作品を出そうと思ったきっかけはなんでしょうか?

シンプルなことだよ。この方向性でインストゥルメンタル・バンドとしてやっているバンドはあまりいないから、それを人と違うことをするチャンスと考えて、インストゥルメンタル・バンドになろうと決めたんだ。

-バンドからは幅広い音楽性が感じられますが、影響を受けたアーティストや好きなアーティストなどがいればいくつか挙げていただけますか?

さっきの話になるけど、俺たちはみんな違うタイプの音楽を聴いていて、アーティストとしても異なっているんだ。例えば今俺たちの音楽は、ANIMALS AS LEADERS、Dua Lipa、INTERVALS、AFTER THE BURIAL、Damien Schmitt、AURORA的な要素をミックスしたものなんだ。AFTER THE BURIALとDua Lipaを並べるというのはたぶん変なんだろうけど、俺たちは好きなアーティストから最高の要素を選んで、それを自分たちの音楽に入れようとしている。それがどんなタイプの音楽であってもね。好きだからってだけだよ。

-先ほども話が出ましたが、MODERN DAY BABYLONはあなたがプロデュースやレコーディングなど、多くの作業を手掛けています。こうしたプロセスで制作を行うメリット、デメリットはありますか?

メリットは、いつもバンドやアーティストと接していることだね。いろんな人、いろんなアイディアやテイスト、音楽を理解して幅広い視野を持ち続けるのに大いに役立っているんだ。デメリットは四六時中働いていることだよ。時々、自分でもすごく神経質になっていることがあるんだ(笑)。

-バンドのBandcampでは、これまでに7作品がリリースされています。各作品について簡単に教えていただけますか?

1作目は『The Manipulation Theory』というフル・アルバムだ。MODERN DAY BABYLONとして俺がリリースした初めてのオリジナル・アルバムだった。うまくいくかどうかのテストみたいな感じの作品だったけど、どうやらうまくいっているみたいだね。次がシングル「Differentiate」で、このシングルではヴォーカルを入れてみようというアイディアが出た。これらを出してから、俺は完全にMODERN DAY BABYLONに専念するようになって、仕事を辞めて24時間MDB(MODERN DAY BABYLON)の曲を書いて、2ndフル・アルバム『Travelers』を作ったんだ。このアルバムはMDBにとってものすごいステップアップになったね。独特のサウンドができたのもそうだけど、グルーヴィなリフとか、難度の高いテクニックとか、いいメロディとかアンビエントなパートとか、そういう要素も生まれた。みんな自分のアイディアと経験から生まれたものなんだ。その後、ドラマーのPetr Hatašが入って、みんなで一緒に音楽を作るようになった。最初に作ったのがEP『The Ocean Atlas』(2015年リリース)で、このときはギターだけじゃなくてドラムについても実験的だった。MDBにとって、生のドラムを使った録音はこれが初めてだったからね。それからツアーのために少し間が空いて、約2年半後にもう1作フル・アルバム『Coma』(2018年)をリリースした。これは俺たち全員にとってチャレンジングな作品だった。それまで作ったものと音楽的にまったく違うものを作ることがアイディアだったからね。実際、そういったアルバムを作れたと思うよ。Bandcampに上げた6作目は、1stアルバム『The Manipulation Theory』に入っている「Shivers」のリマスター・バージョンだね。みんなが聴ける俺たちの一番新しい作品はショートEP『Undefeated』(2019年3月リリース)で、ここでも違うものを作りたいという心境で、以前よりヘヴィな曲を作ったんだ。この曲をライヴでやるときにみんながステージ下のフロアで頭をぶつけ合っている姿を見たいからね(笑)!

-その最新EP『Undefeated』ですが、コーラスやゲスト・ギタリストなどを加えつつ、バンドの持ち味であるグルーヴとアンビエント要素の対比がさらに研ぎ澄まされたような作品に感じました。同作のテーマについてうかがえますか?

『Undefeated』のテーマはシンプルだ。ライヴ映えするヘヴィでダークなキラー・グルーヴを作ること。過去のアルバムがヘヴィじゃないというわけではないけど、『Undefeated』は他のどの作品ともまったく違うと思う。