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INTERVIEW

Zemeth

2018.11.19UPDATE

2018年11月号掲載

Zemeth

インタビュアー:山本 真由

ヴォーカル/ギター/コンポーザーをひとりで務めるJUNYAの個人プロジェクトであり、"哀愁歌謡ノスタルジック・メロディック・デス・メタル"を自称するZemeth。インターネットを主なフィールドとして、とにかくこだわりを貫いた楽曲を制作し続けている彼が、2ndアルバム『MONOCHROME BLOOD』を完成させた。今作もメランコリックな歌謡曲的且つ、民族音楽的な哀愁も併せ持った泣きのメロディが、これでもかというほどに盛り込まれている。今回のインタビューでは、自身のヴォーカルを歌詞というストーリーを持った楽器の伴奏として考えているなど、独自の目線で組み上げられている作品と、Zemethの活動について詳しく語ってもらった。

-昨年リリースの1stアルバム『ROUGE NOIR』は完成度も高く、メタル・ファンに限らず各所から注目を集めた作品となりましたが、リリース後は環境の変化などありましたか?

環境は以前と変わらずという感じです。個人的にはもう少しやり方を変えればもっと話題性も作れたのかなという印象でした。インターネットが主なフィールドなので、"生"の感覚を作ることができないのがZemethです。なので、リアルで直接的な反応をあまり感じることができないのが残念ですが、リスナーの方々の反応と口コミが生命線という賭けのような活動をしているので、みなさまの反応は自分とZemethにとって本当に嬉しいことだなと思っています。

-前作リリース後この1年数ヶ月間は、今作『MONOCHROME BLOOD』の制作のみに集中していたのでしょうか?

2017年中は前作を気に入ってくださった方のアプローチによって海外からの制作依頼があり、そちらと2ndアルバムの制作を並行して行っていました。海外からの依頼に関してはおそらく来年公開だと思うのですが、前作『ROUGE NOIR』の楽曲のアレンジがメインとなっています。ただ日本国内で聴く機会を作ることができるかはまだわかりません。今年に入ってからはずっと今作の制作に集中しておりました。学生時代は1曲に2~3ヶ月を費やすような制作ペースだったので、それに比べるとかなり頑張っている感じはしますね(笑)。曲を完成させる気になればすぐできるのですが、こだわりがとても強く、完成させる前にいろいろ細かいことが気になってしまうと長引いてしまいます。

-北海道では地震もあり、その影響で大規模な停電も発生するなど、大変な時期がありましたね。制作に支障はなかったですか? Twitterではギター・ソロが消えたという呟きもありましたが......。

1日夜通し制作を行う日々が続いていたので、夜中起きていることが多かったのですが、まさにそこを狙われました。ちょうど「BLOODSHED RAVE」のレコーディングを行っていたときに地震が起きまして、僕自身道北出身なのでそもそも地震の経験すら薄い人間で、とてもパニックになりました。ちなみにギター・ソロは無事でした。Cubaseのバックアップ機能には本当に感謝しています。僕はギターを抱えて焦ることしかできませんでしたが、機械は緊急時もちゃんと仕事してくれるんですね(笑)。僕が住んでいる地域は約半日で電気が復旧したので、特に被害というのはなかったのですが、他の地域が気に掛かってあまり作業が進みませんでした。地元も電気の復旧が遅い地区でしたので。ただ道民は強いです、みなさまぜひ北海道に遊びに来てくださいね!

-直接の被害がなかったようで良かったです。ニュー・アルバムも、前作からさらに進化&深化を遂げた哀愁メロディが際立つ、全曲キラーチューンとなっていますが、今作のこだわりポイントを教えてください。

前作は"なんでこういう音楽性の音楽がないんだ! 俺はこれをやりたい!"という意志による作品だったのですが、今作は前作の延長線にあり、前作よりもネオクラシカル・メタル風味が強く、美しい泣きメロに重点を置いた作品となりました。というのも、哀愁歌謡メタルを自称していますが、海外からの反応が"Neo-Classical!!"だったので、"あぁ、日本の歌謡曲はやはり他の国の音楽の要素を吸収して発展していったものだから、他の国の人からするとその面影が見えているんだ"と思い、あえてネオクラシカル・メタル系のフレーズを多く取り入れてみました。と言ってもハーモニック・マイナー地獄だとか速弾きを繰り返すというわけではなく、クラシック由来のキメのメロディを連発する感じです。

-オーケストレーションなどの繊細なアレンジも素晴らしいですが、すべて独学で身につけてこられたのでしょうか?

はい。しかし正直勉強というものが苦手で、学んだというよりも力づくで身につけた感じが強いです! もう10年以上曲を作り続けていますが、実際他のクリエイターにとって当たり前の知識が備わってなかったりするので、たまに恥ずかしい思いをします(笑)。それでも僕は音楽は理論より感覚派で、勉強するよりも実践だと思います。時間は限られています。壁に当たったときに初めて学んで試行錯誤するのがいいと思いますね。こんなことが言えるのもソロ・プロジェクトだからなのでしょうけど......。

-王道を行くようなクサさもありつつ、Zemethらしさを感じるギター・ソロも印象的ですが、ギター・プレイで苦労した点は?

とにかく制作以外でギターを弾く時間がないので、普通のプレイがすでにつらいです! もうこれは完全にDAW頼りで、あまり良くはないと思いますがパンチイン/パンチアウト(※すでに録音された音を部分的に差し替える録音方法)を多用しています。楽曲を通してよく動くリード・ギターが多いので、気力で弾き倒しています! ただ個人的に"速弾き! テクニカル!"みたいなソロにあまり魅力を感じず、それならば80年代正統派メタルのソロの方が好みだったりするのですが、どちらも作るのが苦手なのでどうしても歌メロみたいなフレーズ連発になってしまうんですよね。ただ曲の展開的にはあまり良くなくて、詰め込みすぎる傾向があります。良くも悪くも、これが昔から"全部サビ"と言われる原因かなと思います。

-前作ではGYZEのRyoji(Gt/Vo)さんがゲスト・ギタリストとして参加していましたが、今回は特にゲスト・アーティストの参加はないようですね。やはり、黙々とひとりで作業する方が性に合っているということでしょうか?

ゲスト参加は今作も考えていたのですが、時間の関係で見送ることとなりました! "次の作品ではどうなるかな?"という感じです。マスタリングなども外注しようかなと思いつつ、結果自分でやったりと、やはり時間関係の問題が大きかったりしますね。しかし根本的にはすべてひとりでやりたい人間です。不備だらけなので不備があったときの対応もひとりで完結できた方が楽ですし、ミキシング中が一番自分の曲を聴くので、その都度メロディを変えたくなったらすぐ差し替えることもできますし。ひとりだと負担が重いですが、そのぶん自由度が高いです。レーベルにも所属していないので、その点は同人音楽に近いのかもしれません。ただ一番の問題は、頑固すぎるこだわりですね(笑)。

-感情迸るシャウトも魅力のひとつだと思うのですが、ヴォーカルがあまり前面に出ないミックスになっているのにはどんな狙いが?

これはいろいろな方面から問われるのですが、完全に意図的なものです。僕の楽曲で実は最もアグレッシヴで最も大切な要素が、ギターやその他楽器のメロディなんです。メロディは人の歌声に左右されずに動くべき、目立つべきだと考えていまして、ただ歌詞も吹き込みたい。そんな自分の考えに最も適した音楽がメロディック・デス・メタルだったんです。グロウルであればメロディに干渉せずに歌うことができます。もちろんヴォーカルも重要な要素ですが、Zemethの中ではヴォーカルは歌詞がある伴奏だと考えていただければ嬉しいです。

-クリーン・ヴォーカルを入れる予定もあったようですが、結局なくしてしまったのはなぜですか? もし、クリーン・ヴォーカルが合うような楽曲ができたら、次作には収録される可能性はありますか?

先ほどの回答と似ている部分もありますが、やはりメロディは楽器が奏でてこそだと思いましてすべてボツにしました。次作では"絶対にクリーンで歌うべき!"というサビメロの曲があるので絶対収録はされますが、全編クリーンというのはまだ検討中です。