MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Zemeth

2019.11.25UPDATE

2019年11月号掲載

Zemeth

インタビュアー:山本 真由

哀愁歌謡ノスタルジック・メロディック・デス・メタル・プロジェクト"Zemeth"が、これまでの活動の集大成とも言える3rdアルバムをリリースする。CDが売れないと言われて久しい昨今、ライヴでノれる、盛り上がれるという、"体験"が音楽の価値のひとつとして重要視されているこの時代において、とにもかくにも、クサくて痺れるこだわりのメロディを武器に、音源のみで勝負するという稀有なアーティストだ。もちろん、そこには土地柄自由にライヴ活動ができないなどの事情もあるが、それでもその音源には、聴くだけで価値のある感動体験がある。メロデスやネオクラシカル・メタル好きはもちろん、すべてのメロディ至上主義者に響くだろう新作と今後の展望について、ヴォーカル/ギター/コンポーザーを務めるJUNYAに語ってもらった。

-3rdアルバム『NOSTALGISM』の完成、おめでとうございます。前作(2018年11月リリースの2ndアルバム『MONOCHROME BLOOD』)リリース以来、約1年ぶりのインタビューとなりますが、前作のリリース後はどのように過ごされていたのでしょうか? また、今作にはいつごろ着手したのでしょうか?

基本的には1stアルバム(2017年リリースの『ROUGE NOIR』)のときと変わらず、世間が長期休暇のとき自分も遊んで、その他の時間はすべて制作という感じでした。それこそ今作に着手したのは、2ndリリース後地元で1週間休んですぐですね。もともと作り溜めていたネタはあったので、新曲に重きを置いて作り始めましたが、意外と過去曲の扱いも難しく、思っていた以上に制作は難航しました。

-Zemethはソロ・プロジェクトですし、毎回かなりこだわって作り込みをされているようなので、今回1年でリリースできるというのは本当にすごいなと思いました。スケジュール的には、"絶対にココ!"という明確な目標があって、自分を追い込んでいったということでしょうか?

もともとは今年の秋にリリースできればいいなと考えていたのですが、こだわりに縛られすぎて前作以上にハードな制作活動になりまして......。一度は2020年リリースでもいいんじゃないかとも思ったのですが、個人的なスケジュール的に今年の11月のリリースがベストだったので、冬のリリースということが決定しました。あと、短いスパンでのリリースの理由は、完全に生き急いでいるのと、自分の首を絞めないと制作が進まないからです。

前回のインタビューで、"実は、今まで作ってきた中で最強レベルの曲の大半はすべて3rdアルバムのために保存してある"とおっしゃっていましたが、実際に今作収録の楽曲は、元ネタを遡ると十代のころに作曲したものなど、これまでの音楽活動の集大成とも言える内容になっているようですね。なんの違和感もなくひとつのアルバムにまとまっていますが、初期の楽曲と新しい楽曲では、作るうえで心境の変化などはあったのでしょうか?

初期の楽曲については、正直当時は将来インストとして発表する予定だった楽曲ばかりだったため、たぶん中学、高校時代の自分にこのアルバムを聴かせたらブチ切れられる自信はありますね(笑)。そのうちインストとしての再リリースもあるかもしれません。20代になってから作った楽曲は、メロデス的なアプローチも意識しつつ、音楽的嗜好がメロディック・メタルからエクストリーム・メタルに寄りつつあるので、BPMは200台で単音リフを連発してリード・ギターも暴れているような曲がメインになりました。だからといって、根本はまったく変わらず最強のメロディを作ることなので、作曲を始めた中学生あたりのころから特に目標や音楽への接し方が変わることはなかったと思います。

-今作はタイトルも"NOSTALGISM(懐古主義)"ということで、ネオクラシカル・メタルをベースとしたZemethの音楽性の根底にあるテーマという感じもしたのですが、今作のコンセプトや主軸となるテーマはどういったことなのでしょうか?

これは自分自身の懐古主義からの脱却もテーマになっています。懐古主義が悪いものだとは思わないですが、どうしても懐古的な思考から抜け出せず、過去にすがりつき昔好きだったものから離れられなかったり、音楽的にも昔聴いていなかったようなモダンな表現や音楽性は受けつけられなかったりすることがあるので、新しい可能性を生み出すためこのアルバムで自分が好きなように好き勝手やって、次やる音楽は違う表現の仕方にも挑戦してみようかなと思いまして。ちなみにタイトル・トラックの「NOSTALGISM」は、初めて歌詞から作った曲で、今年スペインに行ったときの飛行機の中で歌詞を殴り書きました。機内で隣に座っていたおっちゃんが、"外の景色きれいだから見てみ(たぶんスペイン語)"と話しかけてくださって、それでひらめいた海や空関係の歌詞のフレーズもあります。でもよく考えてみれば世界観は"クレヨンしんちゃん"の"オトナ帝国"(映画"嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲")みたいなものなんですよね(笑)。"過去も愛し未来に生きよう"というメッセージが込められています。

-リリース前にもかかわらず、ディスクユニオンのオンライン・チャートにランクインするなど、今作は予約も好調で、先日公開されたYouTubeのトレーラー映像も含め早くも話題となっていますが、そういった反響を受けてご自身ではどう思いますか?

本当にリスナーのみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、メロディの力を知っている人に自分のメロディを伝えることはできても、ライトな音楽リスナーや非メタラーの方々にはこの魅力はなかなか伝わらないな......という現実が個人的にはつらいですね。それは自分の努力不足なのか、メタルの枠に収まりきっているからか、グロウルは受け入れ難いか、バンドじゃないと取っつきにくいか、といろいろな原因は考えられます。そんな思考もあり自分自身、今の音楽性からの脱却も視野に入れたほうが賢明な判断かと悩んでいますね。

-いただいている音源がまだデモの状態なので、一部ヴォーカルが抜けている部分など未完成なところがあるようですが、それでもやはり驚かされるほどの完成度です。ヴォーカルはもともと控えめなので、多少抜けていても気にならないということもありますが......とにかく惹き込まれるクサメロを奏でるギターや、壮大なオーケストレーションは、一音一音が存在感たっぷりです。楽曲ごとに際立つ楽器の音色も違っていますが、そういったミックス部分もかなりこだわって作業されたのでしょうか?

ヴォーカルは常にZemethにおいてはバッキングを彩る楽器のひとつだと思っていてほしいですね。それがクリーン・ヴォイスだとしても。個人的に好みの音楽が、リード・ギターが中心近くで鳴っていてバッキング・ギターががっつり左右に振られていて、後ろでクワイアやシンセ・パッドがコードを鳴らしているという音像なのですが、シンフォニックな音楽はやっぱり個々の楽器の共存がめちゃくちゃ難しくて、ましてや僕はミキシングの知識はあまり持っていないのでいつも大変な作業になります。ただ今作は海外の方々がYouTubeにアップロードしているミキシングTipsで勉強をしたので、今までで一番聴きやすいサウンドにはなったのかなと思っています。外注をしないのは自分の成長と経験のためでもあります。そして今作は楽曲それぞれのコンセプトが明確に分かれているので個々の個性も強いと思います。

-歌詞に関しては、全編英語のものと日本語のものがありますが、使い分けているのは楽曲にどういう言葉がマッチするかということで選んでいるのでしょうか?

そうですね。いくらヴォーカルが主役ではないと言えど、グロウルは楽曲自体のノリに直結してくる要素なので意外と歌詞の当てはめ方にはこだわっています。日本語と英語が入り交じる曲もあるのですが、日本にはルー大柴さんのルー語という強大な概念が存在しているので下手をすると途端にダサくなってしまうんですよね......(笑)。だからそこは気をつけています。またドイツ語も使用頻度は比較的多いのですが、僕自身はドイツ語ができないため、オーストリア人の恋人に翻訳や添削をお願いしているのですが、やっぱり発音は雰囲気でする感じになってしまいます。来年からは英語もそうですが、ドイツ語も独学で学ぶ予定で、オリエンタルな要素も演出していきたいのでいろんな言語で歌うことには今後も挑戦していきたいです。