INTERVIEW
Zemeth
2018.11.19UPDATE
2018年11月号掲載
Interviewer:山本 真由
-退廃的で詩的な歌詞も独特な世界観を際立たせていますが、歌詞カードはじっくり読んでほしいですか?
表の意見は"読んでZemethの世界観を感じてほしい!"ですが、本音は"稚拙なので流し見程度にしてほしい!"(笑)。基本的に音楽以外の創作物にあまり触れることがなく、読書も映画鑑賞もしなければアニメや漫画も全然わからないので、世界観の組み立て方というのは基本的に脳内の少ないボキャブラリーから生み出しているものなのです。そのボキャブラリーも、人並にプレイしたゲームかテレビ・ドラマあたりか、好きな音楽の歌詞からの影響のみです。あと、ネット・サーフィンで拾ったものも(笑)。僕自身歌詞はカラオケで歌うためにしか覚えることがないレベルなのですが、歌詞を吹き込む理由はもちろんあります。そこで表の意見の世界観を感じてほしいという考えが出てくるんです。インストだと"この曲にはこういうドラマがある!"という表現がどうしても難しいので。内容は8割が昼ドラっぽい色恋沙汰ですね。そこはもう哀愁歌謡なので!
-作品の内容にマッチした美麗なアートワークは、前作同様リブユウキ氏によるものですが、どういうリクエストをして描いてもらっているのでしょうか?
昔やってた音楽柄、いろいろな方に絵を描いていただくことが多かったのですが、何しろ知識がないのでどうしてもざっくりしたリクエストになってしまうんです。不倫、嫉妬、失恋、耽美、エログロ、色は赤と黒! みたいな感じになるのですが、リブユウキ様は本当にZemethの世界観を汲み取り表現してくださるので、いつも本当に感謝しております。Zemethの1st、2ndどちらのジャケットも僕の人生で見てきたものの中で一番好きな理想的なジャケットです。
-ところで、先月はかねてからフェイバリット・アーティストに挙げていたTHE BLACK DAHLIA MURDERの来日公演("THE BLACK DAHLIA MURDER JAPAN TOUR 2018")に行かれたようですね。名盤『Unhallowed』のアニバーサリー公演は、アーティストとしても刺激されるものがあったのではないでしょうか。ライヴはいかがでしたか?
北海道の辺境で、ライヴをやることも観ることもなく育ち、スタジオ・アルバムの芸術性のみを感じ育ったので、実は生の音楽の魅力というものをいまいち見いだせなかった人間なのです。ただ18歳になって以降、いろいろなライヴに触れてみてようやく生の音楽の素晴らしさというものに気づき始めたんですね。そんななか、他ジャンルの話になってしまうのですが、大好きなZABADAKのライヴにいつか行こうと思っていたところ、吉良知彦(Vo/Gt)さんが亡くなってしまって。そこから好きなアーティストのライヴは絶対行かなければならないと考えるようになり......死ぬまでに絶対に観なければならないと思ったバンドのひとつがブラダリ(THE BLACK DAHLIA MURDER)でした。しかもリード・ギター命の僕に単音リフの素晴らしさを教えてくれた1st(『Unhallowed』)をメインにやるということで、初めてライヴのために遠征というものをしまして。自分の2ndアルバムの制作中でとてもとても死にかけていたのですが、あの素晴らしいリフの数々を食らって心なしか寿命が延びた気がします。高校生のとき通学路で聴き込んだ1stの「Elder Misanthropy」と3rd(『Nocturnal』)の「Deathmask Divine」は本当に涙なしでは聴けなかったです。ちなみにCATTLE DECAPITATIONも好きなので、「Kingdom Of Tyrants」が特にヤバかったですね、ただ"バス・ドラムの圧で死ぬ!"と感じたのは初めての感覚でした。
-来年リリース予定の次作3rdアルバムを最後に、Zemethとしての活動にはひと区切りつけるというような発表もありましたが、これだけの力作を世に送り出して、まだ制作意欲もあるなかでもったいないなというのが正直な感想です......。これはもともと活動を始めたころから決めていたことなのでしょうか?
現段階で言えることは少ないのですが、自分の人生に対する意識と環境を変えなければならないタイミングをずっと計っておりまして、音楽を念頭に置けない状況になるのではという懸念があります。そこの区切りが来年になる25歳という歳であったり、3rdアルバムというものであったり、それはZemethを立ち上げた当初から考えていたことではあります。実は、今まで作ってきた中で最強レベルの曲の大半はすべて3rdアルバムのために保存してありまして、絶対にこれを成功させなければならないという意志のもと、初期から活動しておりました。もちろんこれまでの作品も命も時間もお金もすべて削って全身全霊で作り上げてきたものです。だからこそ3rdまで揃って"Zemeth"というひとつの作品になるのかなと考えています。
-今後は音楽性を変えた作品やバンド活動など、Zemeth以外の活動も視野に入れているということでしょうか?
五分五分です。突然すべて消し去っていなくなる可能性もありますし、Zemethを継続させたい気持ちもありますね。その結果は1年後に見えてくると思います。ただこれは本当にリスナーの方々の反応次第ですね。僕の音楽を本当に好んで聴いてくださっている方々の反応などを見てきているので、完全にやめることは僕自身許せない気もしますし、まだ"最高のメロディを作る"という目標にも届いていないので、やめるならば未練が残ってしまいます。Zemethに限らず昔から"最高のメロディを作る"という目標は常に僕の生きる気力となっていましたし、音楽制作は人生のメインにはならずともライフワークになるのかなとも考えていました。ただ現実はあまり甘くないみたいですね。メロディに対する探求心が強すぎるがゆえに、いつか自分が壊れてしまいそうです。
-最後に、激ロック読者へのメッセージをお願いします。
激ロックをご覧のみなさま、ZemethのJUNYAと申します! Zemethは"哀愁歌謡ノスタルジック・メロディック・デス・メタル"を自称し、唯一無二のドラマチックな音楽を生み出しています。今作も今まで以上に美しく儚く爆走する最強の楽曲を揃えました。ただミドル・テンポでドラマチックに展開させる曲もあります。次作に向けて少しずつ進化していくので、今後ともぜひ愛聴していただけたら嬉しいです! STAY MELODIC DEATH METAL!