INTERVIEW
おはようございます
2018.09.06UPDATE
2018年09月号掲載
Member:鯖(Vo) 梛(Gt) 鬱P(Ba) 山﨑 浩二朗(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
昨年12月に初の全国流通盤となる『前田EP』をリリースした"おはようございます"が、2作目のEP『Design EP』を完成させた。今作もスピード感のあるラウドなサウンドや、リズム・チェンジを繰り返した構築的なサウンドに、キャッチーなメロとシャウトとの掛け合いあり、シアトリカルなコーラスや展開ありと、ひと筋縄でいかないサウンドになっているが、何より"?"と引っかかるのは歌詞やワードのチョイスだろう。"真面目にやる"、あるいは"植物大爆笑"など、まずタイトルでリスナーの気になる欲を刺激して、サウンドで一気に引きずり込んでいくパワーが圧倒的。着眼点はニッチだけど、それを爽快な爆発力まで持っていくのが、"おはようございます"だ。
-前作『前田EP』は初の全国流通盤となりましたが、リリース以降、何か反響や活動のうえで変化はありましたか?
鬱P:前回が初めての全国流通盤で。それまでもそうですけど、自力でやらせてもらっているので、自分たちのやれること、やれないことがまたわかった感じですね。今年2~3月ごろに会議をしたんですけど、そのときの内容が今回反映された感じになっています。内容というよりも、流通やらなんやらの話なんですけどね。
-そのやれること、やれないことというのは、どういうことですか?
鬱P:"もっとこれができそうだな"というのは、以前のキャンペーンで売り場の写真を撮って、Twitterに上げてくれたらおまけ映像をプレゼントするみたいなことをやっていたんです。それが思ったより反応が良かったので、じゃあこっちにもつけようとか。そういういろんなキャンペーンのやり方を思いついたりして。
鯖:早期の予約とかね。
鬱P:事務所とかに所属していないので、"じゃあ、あれはどうだろう?"みたいのを思いついたらすぐに提案しやすいんですよね。
-では、2nd EP『Design EP』はどんなふうにスタートしていったんでしょうか?
鬱P:最初に"Design EP"という名前とジャケットの案だけ決まっていたんですよね。いわゆるネットとかで話題になっているすごくスタイリッシュなデザインだけど、なんて言うんだっけ、UX(※サービスやプロダクトを通じてユーザーが得る体験)?
梛:でいいんじゃない?
鬱P:スタイリッシュだけど、UXが悪いみたいな、例えば──
鯖:セブンイレブンのコーヒーマシンのデザインとかね。
-あぁ、話題になっていましたね。
鯖:せっかくかっこいいのに、お客さんが使い方がわからなくて、いっぱいテプラで説明が貼られちゃうとか。
鬱P:結局CDジャケットも同じようなものだなと思って。どこにもバンドの名前とか書いてなかったりするので。じゃあ、テプラ貼ってわかりやすくしようみたいな。
梛:それもデザインのうちですね。
鬱P:それで名前も"Design EP"ってことで、ジャケットの案とタイトルから先に決めて、曲を作っていったんです。ちなみに表面はこんな感じですけど、裏面は"バーコードはこちら"とか、キャラメル包み部分の"剥がすのはこちら"とかもペタッと貼ってあったりします。
-アートワークからだいぶ皮肉が利いてますね。
鬱P:本当はもっといろいろ貼ろうと思っていたんですけど、表面はこのくらいシンプルな方がいいんじゃないかっていうことで、"おはようございます(バンド名)"と"デザインEP(CDタイトル)"というのだけになってます。意外とあんまり伝わらなかったけどね。
梛:たしかにね。
鯖:もっとやっても良かったかもね。
鬱P:でもまたそれも、実際に手に取ってもらえばわかるんじゃないかなって。
-そういったところから、曲についてはどのあたりからできていったんですか?
鬱P:基本的に、すべて曲を先に作ってから歌詞を書いていくんです。この"デザイン"というワードを使った曲を歌詞にしようとか、先にタイトルの一部やテーマみたいなものを単語から考えるんです。1曲目の「真面目にやる」は、"真面目"という単語ありきで、2曲目の「やさしくなる前に」は、"やさしい"という単語ありきですね。その単語も、これはあまりタイトルとかに使われてないなっていう感じが多いです。よく、アニマルズなんとかみたいなタイトルの曲はあるけど、そういえば"植物"っていうタイトルは聞いたことがないなっていうので、"植物大爆笑"って付けたりとか。
-そういう発想なんですね。
鬱P:そうです。基本的には、使われないものとか、人がやっていないことを先に思いついて、そこからなんとかこじつけられないかなっていうことなんです。
-でも内容的には意味があるものになっていくじゃないですか。シリアスなものじゃなくても、深読みもできるような内容にはなっていて。でも意外とその発信点は、誰もやらないだろうとかこれは誰もやっていないだろうというところなんですね。
鬱P:そうですね。先にテーマを浮かべてそこから組み上げていく感じで。