－メタル畑出身ではないんですね。そういう人がこのバンドで叩いているのは面白い。

山﨑：全然違うんですよ。ポップスばっかりやってきたんです。ドラムを始めたころは、Janne Da Arcを聴いて。そこで初めてバンド・サウンドっていうものを意識するようになって、SLIPKNOTを聴いてツイン・ペダルを買うっていうところまでは、メタラーっぽい流れだったんですけどね（笑）。そこからフュージョンに行き、ポップスに行き、ずっとポップス畑で。こういう感じのドラムは、おはござ（おはようございます）をサポートするタイミングからですかね。

鯖：そうなんだ（笑）。

山﨑：たまたまその1年前くらいに、ツイン・ペダルちゃんと踏めるようになろうって練習はしていたんですけど、練習と実際バンドの大きな音の中でやるのはまた違うので。身体痛くなりましたからね、最初のころ。

鯖："鍛えに行った"って言ってましたもんね。

山﨑：最初のおはござのライヴが終わったあと、フィジカルが足らないなと（笑）。

鬱P：山﨑さんが加入する前の最初のころの作品は、何も考えてない、手数重視の曲があったりするし（笑）。メタル・ドラマーを想定して作ってるのもありましたしね。

山﨑：ただ絶妙なのは、絶対に2本の手と2本の足でできる曲になっているんです。

鬱P：そりゃ当たり前ですよ。

梛：はははは（笑）。

山﨑：いや、あるんですよ、たまに。できない前提でも入れてあったりすることがあるんですよ、必要だから。でもおはござは、ちゃんとできるようになっているから、そのときの曲は自力でやらざるを得ないですよね。

鬱P：生音しかないバンドではないので、もし足りなければ、同期ありでもいいから、とにかく曲の完成度を重視でと考えているんです。だから生ドラムじゃないドラムの音もたまに入っていたりはするんです。それでも、できあがった曲が良ければいいんじゃないかなって思うんですよ。

－なるほど。とはいえ、今回かなりバンドっぽい感じになっていると思いました。

鬱P：そうですね。前作の完成後に山﨑さんが加入したので、今回の方がよりバンドっぽいと思いますね。

－自分たちでは、こうしてパーマネントなメンバーとして4人が揃って、"バンドっぽくなっているな"という感覚はあるんですか？

梛：仙台でライヴをやったときに、急にセットリストを変えたいっていうことがあったんですよね。どうしてもサポートだとその場でセットリストを変えることは難しいんですけど、山﨑さんが加入してからは、全曲わかっている状態なので、セットリストを変えるのも、少し打ち合わせすれば大丈夫っていうのは、"あぁ、バンドっぽいなぁ"って（笑）。

鬱P：まるで19歳くらいのバンドみたいな（笑）。

梛：そのころに経験すべきようなことですけどね。あとは、リーダーシップとフォロワーシップというのがあって。結構もともとこの3人はフォロワーシップ型というか。例えばリーダーがいて、良きに計らってそれぞれの持ち味を発揮するのが得意なのが、フォロワーシップなんですけど。山﨑さんは、すごくリーダーシップがあって、いろんなことを決断してくれるんです。そこからは、みんな得意分野が違うので、スムーズに進められるんですよね。

鬱P：ものを作るとかは僕が中心ではあるんですけど、どちらかというとリーダーシップタイプではないんです。普段の作曲家としての活動もそうですけど、誰かに"これをやって"と言われてやるっていうのが基本だったりするし、縛りがあった方が作りやすかったりするんです。あまり人を引っ張っていくタイプじゃないんですよね。逆に山﨑さんは、"ここはこうした方がいいんじゃないですか？"とか、"セトリはこんなのどうですか？"とか、ゼロからイチの信号を送ってくれる人なので。そのイチを貰ったらこっちが100まで持っていって出すみたいな感じで、うまく回るようになりましたね。

－司令塔がこんなところにいたんですね（笑）。

鬱P：考えてみると、さっき『前田EP』からここまであまり変わってないという話をしましたけど、変わるのはこれからという感じがしますね。いろんなものが機能していくのが、今回が発売されたあとだと思うので。ここからいろいろ変わってくるのかなと。

－3人で話していたときともだいぶ違う感じですか？

鬱P：そうですね。3人のときは誰かが話しても、スーッと流れていってしまうこともあったので（笑）。

鯖："あれどうなりましたか？"、"わかんない"みたいなね（笑）。

鬱P：それで、3ヶ月くらいライヴがないとかもあったんですよ。

－え？ そんなことまであったんですか。

鯖：僕はセトリとかを決めるのが嫌いだったんですけど、それをいつの間にか山﨑さんがやってくれるようになっていてすごく助かっているし、山﨑さんはドラマーとしていろんなサポートをやっていたこともあって、いろんなところに知り合いがいるんですよ。知り合いじゃない人がいないんです。

山﨑：そこまでじゃないから！

梛：顔が広いよね。

鯖："その人は会ったことありますわ"とか、直接は知り合いじゃなくても、こういう人だと聞いてますよとか。あとはこういうライヴに出た方がいいとか、間が空いちゃうからこのあたりでライヴをした方がいい、取材をした方がいいとか、そういうのを放り込んでくれるのが、すごくいいんですよね。

山﨑：今回のツアー（2018年9月～10月にかけて開催中の"NIPPON IS JAPAN TOUR"）場所とかに関しては、今までの自分の活動で、いい人に出会えていたんだろうなっていうのは感じました（笑）。

鯖：だいたい山﨑さんが知り合いに話を投げると、ちゃんとみんな返事してくれるんですよ。山﨑さんはちゃんと関係結んできたんだなって思って。

山﨑：人の打ち上げで大騒ぎをするっていうのを繰り返していたらね（笑）。